butterbeer
『ハリー・ポッター』で、ホグワーツ魔法魔術学校の3年生以上の魔法使いの子供たち行くことを許可される魔法の街ホグズミード。その街にあるパブ、「三本の箒」ではバタービールという、体が芯から温まる、泡立った熱い飲み物が飲めます。『ハリー・ポッター』の登場人物たちは、バタービールが大好き!

あれ、飲んでみたいなあと思いながら調べてみたら……、どうやら「バタービール」って作者J・K・ローリングさんの創作した飲み物みたい。でも、温かくておいしい飲み物なら、寒い時期に飲んでみたい! ということで、レシピを再現してみましたよ!

【バタービールの描写の整理】

バタービールは、13歳の魔法使いが飲んで良いとされる飲み物です。飲酒に関して魔法界の法律はわかりませんが、たとえ魔法使いだとしても、いくらなんでも13歳にあんまりお酒を飲ましちゃダメよね。ということでバタービールはノンアルコールか、アルコールは入っていても香り付け程度のはず。

味に関しては「HOT」、「こんなおいしいものは飲んだことがない」「体のしんから隅々まで温まる」という以外の記述はありません。でも、とにかく飲んだ後「あったまるー」と思わないとバタービールではありません。

それから見た目。書籍からはマグやジョッキに入っていて泡だっていることがわかります映画では薄い茶色の液体に、白っぽいものがのっています。

【バタービールの「ビール」って?】

バタービールはどうやらノンアルコールか、入っていても香り付け程度のはず。じゃあ、ビールってどうして呼ばれているのか。

ビールと呼ばれているのにノンアルコールのものといったら、ルートビア(root beer)とジンジャーエール(ginger ale、aleはビールの意味)。これらの共通点は、「炭酸が入っていること」。つまり、バタービールは炭酸飲料だと推測されます。

【炭酸飲料を温めると……】

バタービールは炭酸飲料だけれど熱い飲み物。不思議な感じですが、昨年9月にジンジャーエールのホット版が出ています。それから香港では、熱が出たときにコカコーラを温めて飲むのはわりと一般的なんだとか。

ただ、温めて飲む炭酸飲料の問題点は泡。映画ではビールの泡のように白いものがグラスの上部に乗っていますが、炭酸飲料を温めるとやや炭酸は弱まります。そこに溶かしたバターを混ぜてもそこまで泡立たないしねえ。

【バタービールは、ジンジャーエールにバタークリームをのせたようなものかも!】

そこで閃いた! ベースになるのはジンジャーエールじゃない? ジンジャーエールの生姜成分が体を温めるし、ホットジンジャーエールも発売されたし。「HOT」というハリーポッターのバタービールの表現には、「熱い」という意味と「辛い」という意味もあるので、ジンジャーエールと合っている!

それから上に乗っているのはメレンゲを使ったバタークリームかも。メレンゲを使っていれば空気を含んでいるから水分に浮くはず! 生姜もバタークリームもどっちもスイーツによく使われるものだから、味もそこまでケンカすることはなさそう!

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【ということで、作ってみた再現レシピはこれだ!】

<材料(1杯分)>
・ ジンジャーエール……150cc
・ 卵白……1個分
・ 有塩バター……60g
・ 粉糖……40g
・ オレンジキュラソー……大さじ半分

ジンジャーエールには、生姜が使われていないものが多いです。そういうものは、温めるとおいしくないです。また、生姜の成分が体を温めるという発想でレシピを考えたので、生姜が使われているものを使うのがオススメです。

バタークリームは上記が作りやすい分量ですが、バタービール1杯分としては余ります。バタービール3杯くらい作るか、パンなどと食べてください。

<必要な器具>
・ 木べら(穴があいているものや、先が割れているものが便利)
・ ハンドミキサー
・ メレンゲを作るための容器
・ バターを泡立てるための容器
・ スプーン
・ 湯煎用のお湯
・ 電子レンジ
・ レンジ可の耐熱グラス

魔法の杖は、今回は不要です。

<作り方>
1. バターを室温に戻し、木べらでバターをマヨネーズ上になるまですり混ぜる(寒い時期はレンジにバターを温めて、溶けないけれど指がめり込むくらいに温めるとやりやすい)
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2. 卵白に粉糖を加え、湯煎にかけて人肌程度に温めながら、ハンドミキサーで角がピンと立つくらいしっかりと泡立てる
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3. 1に2を少量ずつ加えながらしっかりと混ぜ合わせる
4. ジンジャーエールを耐熱グラスに入れて電子レンジで加熱する
5. 4に3を適量のせてできあがり
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バタークリームは分離しやすいですが、ちょっとくらい分離しちゃっても大丈夫。ホットジンジャーエールに落とすと、下から炭酸の泡がワーッとあふれてくるので、ちょっぴり泡となじませればバタークリームが分離していても気になりません。

味は……ピリッとしてシュワッとしてスイーツのよう。生姜成分たっぷりのジンジャーエールをそのまま温めて飲もうとするとむせますが、バタークリームがあるおかげでマイルドに。飲むときはかき混ぜて、クリームを溶かしながら飲むと飲みやすいです。

ジンジャーエールにはそもそも砂糖がけっこう入っているし、バタークリームもカロリーたっぷり。デザートのような感覚で飲むことをお勧めします。

ちょっとカロリーは高いけれど、生姜の成分か、はたまたホットという温度のせいか、指先まであったまりますよ! ふわふわのバタークリームを作るのは少し手がかかるから、たぶんホグスミードでは魔法を使っていると思う。でも、マグルも手をかければ作れるから! ハリー・ポッターファンは、ぜひ試してみてくださいね!

料理・撮影・執筆=山川ほたる (c)Pouch

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