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Pouchで原稿を書き始めたころはまだまだアラサーで通った私(記者)も、数年経ち、気づけばアラフォーといっても差し支えない歳になってきた。よ、よんじゅうとか……正直、怖い。

40歳といえば不惑の年。なのに……実際の自分は不惑なんて言葉とは無縁、しょっちゅう焦ったり悩んだり怒ったり。仕事もプライベートも惑いまくり。それどころか、ともするとどんどんどんどん迷走していきそう。こんなんで40代を迎えてよいのかと考えだすと不安で怖い。誰か、誰か……私にアラフォー女性の心構えを教えてーっ!

そんなときに見つけたのが芸人・大久保佳代子さんの著書『美女のたしなみ』。人気芸能人といえど社会人経験アリ・非常に平均的な顔立ちをした大久保さんからはきっと、リアルな40代像が見えてくるはず! 今回は大久保姉さんのエッセイよりアラフォー女性の心構えについて学んでみたいと思います。

■ 明るく誰にでも好かれるベッキーを目指したものの

自分で言うのもなんですが、私(記者)はけっしてキラキラオーラ発してないしポジティブな性格でもない。なので、大久保さんが35歳のときにした決意にはひどく共感できます。

今年1年は、自分をガラッと変えていこう。人見知りをやめ、必ず自分から話しかけていこう。で、顔は常に口角を上げて、微笑みベース。声は1トーン上げて、面白くなくても笑っていこう。明るく誰にでも好かれる好印象な人、そうだ、私、ベッキーになろう!

素敵なこころがけ! 私もこうすれば今からだって職場のヒマワリ的存在になれるんでしょうか!? しかし、大久保さんのその後を読み進めてみると……。ベッキー宣言の半年後、無理がたたったらしくリウマチが発症したとのこと。そうか、やはり35からのベッキー化はハードルが高かったのか。ためになります。

■ 生き霊を飛ばせるようになる

40に近くもなれば、そろそろ恋愛でオロオロするのもやめにしたいところ。いい年したオトナ女性のノロケは見てて「アイタタタ……」な感じだし、見境ない嫉妬はホラーですらあります。

……というのは頭ではわかってるんだけどさ、やっぱり気になる彼がTwitterで若い女子とイチャイチャしてれば気が気じゃないし、Facebookで元カレが結婚して子どももいることを知っちゃった日にはテキーラあおりたくもなる。

大久保さんはそんなとき、42歳にして生き霊を飛ばしちゃったそうです。「この男を逃したら次はない」という思いが強すぎたらしい。午前4時過ぎに目が覚めて彼のTwitterをチェックしたところ、いつものお店にいることを知り、「女といるのでは」とモヤモヤ。眠っている自分を自覚しながらも自分の分身が体から抜け出し、パジャマのまま裸足でお店へ走って行く感覚を体験したとのこと。

考えようによっては、源氏物語の六条御息所みたいでロマンチック……なような、そうでないような。目指せ、40歳からの生き霊マスター!?

■ 嫉妬との付き合い方。オトナの仕事論

大久保さんもよく出演するテレビ番組「ロンドンハーツ」に「格付けしあう女たち」というコーナーがありますが、女性って何歳になっても格付けしあうものなのかも。大久保さんも基本、嫉妬深く、僻み、恨み、つらみ、ねたみ、そねみが常に充満状態なのだそう。特に同性同業者(女性芸人)に対してはジェラシー火種がふくらみ、出火しかねない状態になると書いています。

出火と言っても、心の中が黒いもやもやした煙で覆われだし、「あ~あ」とか「うおおおっ~」などの寄声を発しだし、歌舞伎揚げを一袋一気食いしだすというものだが、はたから見ると結構な奇行だ。

とのこと。これも気持ちがわかります。私、奇声は発しないけど。そして歌舞伎揚げの一気食いもしないけど。そして、

仕事が増えてきて、自分にちょっとでも自信がついてくると、「自分は自分」って思えるというか、「どう思われてもいいや」といい意味でなげやりに思えたりするようになるし。人と比較して、ふつふつしている時間に、もっと自分のために時間を使って、自信に繋がる何かをすることが大事なんだよな。

とも書かれていて、これまた納得。やっぱりもうこの年になったら、甘えたり騒いだりせず自分で仕事がんばって自信つけてくしかないんだな。それがオトナの矜持ってもんなのだと思います。

ほかにも仕事や恋愛、人間関係などにおけるヒントがいっぱい。結論としては、40代女子の心構えが体得できたかというとけっしてそんなことないのですが、大久保さんのリアルに悩んだりあがいたりする姿を見ると、40代、まだまだ惑ってていいんだとちょっと気持ちがラクになったというのは正直なところ。

文章が面白く、エッセイストとしての才能も大アリな大久保さん、やはり才媛な方なのだと感じさせられます。『美女のたしなみ』は徳間文庫より好評発売中。私と同じく40代に向けて迷走中の女子はぜひご一読あれ。

参考:徳間書店, 人力舎
執筆・撮影=鷺ノ宮やよい (c)Pouch