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白髪にひげをはやし、セーラー服を身につけたおじさんといえば、日本のネット上では有名人。そのセーラー服おじさんにアメリカのニュース専門放送局CNNが取材しました。セーラー服おじさんはインタビューに英語で対応。本業は大手企業のシステムエンジニアだそうで、理路整然とした話し振りにイメージが覆されます。

CNNのインタビューに答えて「単にかわいいものが着たかった」と語るセーラー服おじさん。「はみ出ること」を良しとしない社会のなかで、「自分らしく生きることの大切さ」を語っています。

CNNのサイトには、記事を読み、放送を見た外国人の反応が多数寄せられています。でも日本在住経験のない外国人に見えているものと、日本を良く知る外国人に見えているものはちがうかも。

この番組を見て、日本在住経験のある外国人はどう思ったのでしょうか。4人の外国人に感想を教えてもらいました。

平日はスーツやビジネスカジュアルの服を着ているのだろうけれど、日本企業ではこの髪とヒゲだけで相当目立つはず。日本にいると、日本人にとっては「人と同じであること」が本当に重要だと気づく。自分の頭で考えるのではなく周りの反応を見て自分の行動を決める人が多いほどだ。それに対して外国人である自分は息苦しさを感じるけれど、日本人だって感じているんじゃないかな。そんななかで、セーラー服おじさんは自分の頭で考えたことで行動している。こういう人が増えると、日本はさらにおもしろい国になるんじゃないかな。(日本在住暦17年のフランス人)

この人からは知性を感じる。CNNのインタビューを見始めた時には変わった人だと思ったけれど、英語はまともだし、話している内容を聞くとまったくエクセントリックでもないし。セーラー服おじさんがやっているのは、パフォーマンスアートだと思う。パンを顔に括り付けて「パン人間」というパフォーマンスを行なうアーティストの折元立身さんのようだ。この人の存在を知ることで、多くの人がいろんなことを考えたらいいよね。(日本在住暦3年のカナダ人)

セーラー服おじさん、良い表情をしているよね。日本企業で働いていると、表情のない人が多いと感じる。すべての人間は少しずつおかしなところや変わったところを持っているものだと思うけれど、そのおかしなところや変わったところを日本社会はあまり許容していない気がするよ。「まとも」と言われる人間の幅が小さい感じがする。多くの人が枠からはみ出たところを隠そうとして必死だから、表情がなくなるんじゃないかな。正直言えば、表情のなさがちょっと不気味に感じることもある。セーラー服を来ている中高年男性は僕の好みではないけれど(笑)、この人となら一緒に仕事をしたいな。(日本在住暦4年のイギリス人)

外国人として日本に住んでいると、「この人は『別枠』だ」と扱われている感じを強く受ける。どんなに日本語がペラペラになっても、見た目が外国人だったら永久に他の日本人と分け隔てなく受け入れられるということはないとすら思える。たぶん、こういう「別枠扱い」というのはオタクとか女性とか至る所にある。もちろんこういう「別枠扱い」は日本だけでなく海外にもあるし、日本で住んでいるときには「外国人としての別枠扱い」のメリットを感じることもあるんだけれど、日本の「枠」は特に固い感じがするんだ。セーラー服おじさんのことも、「別枠」扱いしちゃったら残念だなと思うよ。(日本在住1年フランス人)

最初は「こういう人、パリにもいるよ! ルイ14世みたいなウィッグをかぶって人形を乳母車に入れている人!」などと笑いながら話していた彼らですが、CNN番組でセーラー服おじさんの話している様子を見るとかなり好意的な印象を持ったようでした。記者の周りにいる外国人に聞いた話ですので色んなバイアスはかかっているとは思います。でも、コメントから「在日外国人に見えている日本の姿」が透けて見えるのではないでしょうか。

参照:PR TIMESCNN

取材・執筆=FelixSayaka (c)Pouch