[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップしたのはフランスのラブコメディ『バツイチは恋のはじまり』(9月20日公開)です。女性にとって人生のターニングポイントになるであろう結婚! でも自分の家族に代々、結婚にまつわるアンラッキーなジンクスがあったら、あなたはどうする?
『バツイチは恋のはじまり』のヒロインもそんなジンクスを信じ不運を阻止しようとありえない行動に出るのです。ではヒロインの超遠回りな結婚への旅を見てみましょう!
【物語】
イザベル(ダイアン・クルーガー)は、同棲中のイケメンの恋人ピエール(ロベール・プラニョル)と結婚を考えつつも踏み切れずにいました。それはイザベルの一家は1度目の結婚は失敗するというジンクスがあるのです。ピエールを愛するがゆえに失敗は避けたいイザベルは、彼に内緒で別な男と結婚し、即離婚する計画を立てます。
そのターゲットとなったのは、飛行機で知り合った旅行雑誌の編集者ジャン=イヴ(ダニー・ブーン)。人が好くかつ鈍感そうな彼なら、結婚も離婚も思いのままかも! そう思ったイザベルはジャン=イヴに近づいていくのです。
【女ならではのありえない結婚劇】
家族が代々バツイチゆえに初婚は失敗すると信じ込んでいるヒロインの単純さ、そして「じゃあ、男ひとり騙してとりあえず結婚してバツイチになっちゃえばいいんだ」という短絡的な考えにビックリですが、そこまでしても幸福になりたいのが女なんですよねえ。
「欲しい物は絶対に手に入れたい!」という握力の強さに行動力が加わったヒロインの一見ありえないような結婚劇ですが「意外とあるかも?」と思えてしまうのです。
第三者的に見れば、騙されるジャン=イヴが天然だけど良い人ゆえに気の毒に思えてしまうのですが、自分の目的を達成することに猪突猛進のヒロイン、こういう人いますよね。
「この女、ひどい!」と思いつつ、周囲の顔色ばかりうかがっている自分に嫌気がさしている人は、自分の欲望に正直に突っ走るイザベルのこと、ちょっとうらやましくも思ったりして。ま、彼女はやることが極端なので賛否両論巻き起こりそうですけどね。
【意外や奥手なフランス男の存在!】
イザベルに騙されるジャン=イヴを演じたダニー・ブーンは、イザベルのことを「爆弾みたいな女性」と言っています。
「手当たり次第に捕まえたような男にいきなり “あなたを愛しているわ。結婚する” なんて乱暴でしょう(笑)。ジャン=イヴは自分の身に何が起こったのかわからず、動転して、その言葉を信じてしまうのですが、彼と僕は似ているんですよ。それは女性と関係を結ぶのが苦手なところ。だから僕は彼のことが大好きですね」
フランス男は恋愛上手というイメージですが、こんな不器用な人もいるというのが逆に新鮮。最初は「なんで騙されるの~?」と呆れますが、その人の好さが魅力となって、イザベルが惹かれていくのと同時に、見ている女子たちもジャン=イヴの優しさに癒されていきそうです。
【イザベルのたくましさにあやかりたい!】
イザベルを演じたダイアン・クルーガーはこう語っています。
「イザベルの自分で人生を切り開こうとする姿や幸せをつかもうとする気持ちに興味を持ちました。ただ私は占いや迷信を信じないタイプ。自分と正反対だからこの役に惹かれたのです。やはり自分の求める愛について他人の言葉を信じてはいけないと思うし、思い込みも危険。イザベルみたいな女友達がいるのですが、彼女たちにはもっと視野を広く持った方がいいと伝えています」
つまりイザベルの思い込み激しいところは反面教師にした方がいいけど、幸福を自らつかみにいく姿勢はよし! ってこと。そう、今はイザベルみたいにガツガツと恋愛や結婚に立ち向かっていかないと行き遅れる可能性大ですからね。
『バツイチは恋のはじまり』はぜひ女子チームで見て、映画を見終ったあと、あーでもないこーでもないとしゃべり倒してほしい映画です!
執筆=斎藤 香(c)Pouch
『バツイチは恋のはじまり』
2014年9月20日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:パスカル・ショメイユ
出演:ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、ロベール・プラニョル、ジョナタン・コエンほか
(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN
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