以前、Pouchでご紹介したお坊さん業界の実務誌『月刊住職』。筆者である私のみならず、読者の皆さんも衝撃を受けた人が多かったようで、業界専門誌ワールドの奥深さを思い知らされたものです。
そして今回取り上げる業界専門誌もこれまたマニアック!! タイトルは『野宿野郎』といいます。この世に“野宿業界”なんてギョーカイがあるかは知りませんが、文字通り、野宿が好きな方たちに向けた専門誌であります。
もう、これだけで興味津々なわけですが、キャッチコピーを見てさらに悶絶。“人生をより低迷させる旅コミ誌”って! 意識高い系とか女子力アップとか自分を磨いて高めたい人が多いこのご時世にあえてこれって……バ、バカなの!? いや、最高にオモシロイでしょ!
【表紙も中身もマニアックすぎる】
では、さっそく詳しく紹介していきましょう。現在、私の手元にあるのは『野宿野郎』3号。よく知らないオジサンが寝袋に入って本を読んでいるという表紙もインパクト大ですが、中身も強烈。もくじには「始発から終電まで山手線20周」や「僕らの野宿ライフ②~なべと野宿と私~」や「野宿野郎の労働意欲 第二回」など、タイトルを見てもシロートにはさっぱり意味不明。しかし、業界専門誌というのはそういうもの。一般大衆にではなく専門の人たちに向けた雑誌なのですからマニアックで当然です。
【THE 誕生日野宿……だと?】
数々の特集が並ぶなか、個人的にいちばん興味深かったものを挙げるとすれば「THE 誕生日野宿」。野宿人育成プロジェクトとして「誕生日を寝袋の中で迎える」というものなのですが、今回挑戦するのは、とある女性の母親。彼女の53回目の誕生日を家の前の公園で母娘2人で野宿して迎えようというのです。そもそも企画意図からしてよくわからない……どういうことなの、コレ? なのに読んでるとなんだかめちゃめちゃ楽しそうだから困る、誕生日野宿。
【こんなに面白い雑誌なのに……】
しかし、この『野宿野郎』、残念なことに2010年3月発行の第7号で発刊が止まっています。いや、休刊、廃刊のお知らせはないので、次号までの間が空いているだけとも考えられる。しかしこの出版不況、なにか止むに止まれぬ事情があるのかもしれない……知りたい、その事情を!
【次号が発行されない理由】
そこで、『野宿野郎』編集長のかとうちあきさんにお話をうかがってみることに。
つくるぞつくるぞとおもってはいるのですが、とくにあたらしい号の気配はございません……。
それはなぜでしょうか?
なにぶんあまりにも長い間出していな過ぎて、なんでなんだかもよく判らなくなっ
ておりますが、おおむね 怠惰 ゆえ です。(原文ママ)
次号が発行されない理由。それは、「編集長の怠惰ゆえ」というとてつもなくシンプルな理由からだった……!! このユルさもまた『野宿野郎』の魅力です! たぶん!
【『野宿野郎』オフィシャルサイトは盛況!】
とはいえ、『野宿野郎』のウェブサイトは盛況。編集長・かとうちあきさんの著書『バスに乗ってどこまでも』の出版を記念して、先月9月の野宿の日には野宿イベントを行ったり、今月は「ミステリー(野宿)ツアーのようなもの」を行ったり。野宿情報についてはウェブサイトで「ひきつづき告知して参りますので、ご興味ある方はぜひぜひご参加ください!」とかとうさん。『野宿野郎』既刊誌の購入もこちらから可能です。
「野宿」と聞くとゴリゴリのサバイバルな感じを受ける人もいるかもしれませんが、『野宿野郎』はどちらかというと“野宿という精神的な自由”に重きを置いた雑誌のように私は感じました。野宿に興味はなくても、ふだんの生活に息苦しさを覚えるようなときに読むと心がふっとラクになるような雑誌。なんせ、“人生をより低迷させる旅コミ誌”ですもの。他にはちょっと見当たらないと思うよ、こういうの。
参照元:『野宿野郎』公式サイト
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch
▼『野宿野郎』3号もくじ。野宿好き、ユル旅好きにはたまらない!?
▼なんで野宿するの? どうやってしてるの? 野宿のアンケートページ……マニアックすぎるわ!
▼連載「THE 誕生日野宿」より。野宿しながらバースデーケーキの火をふぅ~っと消すお母さんに「妖怪吹きけしばばあ」なるキャプションをつけるこのセンス!
▼野宿情報満載の『野宿野郎』公式サイト。雑誌の販売店が限られるので、コチラから購入するのが便利かも
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