お坊さんマタギ野宿土木建築など多種多様、ひたすらディープな様相を呈している業界専門誌。その奥深き世界をふたたび皆さんに垣間見ていただきたく、今回は新たな1冊をご紹介したいと思います。

それは賃貸不動産オーナー向けの経営情報誌『家主と地主』。入居者獲得法やリフォーム術などほのぼのしたトピックスが多いのかと想像しながら2018年5月号を購入してみたところ、表紙からして「明日は我が身 賃貸経営に激震 衝撃の事態に迫る」との文字が……ぜんぜんおだやかじゃない!

自分が不動産経営者ならマジで他人事とは思えませんが、私はマンションもアパートも何ひとつ経営していない身のため、不謹慎ながらドキドキしつつページをめくります。

【自殺に異常行動……衝撃の事態が次々と】

今号の目玉となっているらしき特集「明日は我が身 賃貸経営に激震 衝撃の事態に迫る」


誌面では家主や管理会社から聞いたという実体験にもとづく事例が次々と紹介されているのですが、本誌よりもツイッターで話題になっていた新聞広告の見出しがとにかくキャッチーなので書き写したいと思います。

・入居者が大阪女児誘拐の容疑者でマンション騒然
・空室のはずなのに愛知県警から自殺発生の連絡
・集合ポストに排泄物をばらまく異常行動に入居者
・生活習慣の違いが原因で外国人が漏水事故起こす ほか

……家主、たいへんすぎるでしょ! 大家さんに関する本といえば、少し前に矢部太郎さんの『大家さんと僕』がベストセラーとなりましたが、ああいうほっこりエピソードとは真逆も真逆。どちらかというと火曜サスペンス劇場的な要素が満載です。脳内で火サスのオープニングテーマ曲流しながらトピックスを読んだらめちゃくちゃハマるし!

【たとえばこんな事例が……】

どれも間違いなく「衝撃の事態」ですが、解決策も書かれているのがまだ救いです。たとえば、ふだんから不審な行動が見られていた70代の女性入居者が郵便ポストに無作為に排泄物を入れたという事例に対しては、

「監視カメラを設置し管理会社に毎週巡回してもらい、不審な行動を未然に防ぐ」

との解決策が。とはいえ、若干の不安を感じるのは私だけ? こんな対策だけでおばあちゃんの奇行はおさまるのでしょうか。アパートの住人たちは安堵できるのでしょうか。なんだかイヤミス(読んだあと嫌な気持ちになるミステリー作品)のような後味の悪さを感じてしまいますが……。

【不動産経営のリアルが詰まってる!】

このほかにも特集「長年抱える悩み 借地権トラブル解消法」や連載「賃貸管理トラブルお悩み相談室」「家主のためのクレーム対応術」など不動産経営の実態がうかがえる内容が盛りだくさん。リアリティのある話ばかりで、「定年後は退職金でのんびりアパート経営だな」なーんて冗談は気軽に言えなくなりそうです……。

専門業界誌の魅力について、「自分の日常では役に立たないことを知れる」と、これまでも主張してきた私ですが、『家主と地主』にもそれはあてはまります。大家になる予定がない方でも、予定がないからこそ楽しめるのではないかと思いますので、一読してみてはいかがでしょうか?

『家主と地主』2018年5月号は全国賃貸住宅新聞社より好評発売中です。

参照元:家主と地主.com
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch