[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品の監督&主演俳優を直撃インタビューします。
今回インタビューしたのは超話題作『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』(2015年10月31日公開)のジョー・ライト監督と主演のリーヴァイ・ミラーくんです。
ライト監督といえば、キーラ・ナイトレイ主演作『プライドと偏見』『つぐない』『アンナ・カレーニナ』というクラシックな物語を流麗に見せる名監督! そして、ピーターを演じたリーヴァイくんは超大型新人! とても賢くて美しい少年です。
この二人に映画の裏話を聞いてきました。
【物語】
ロンドンの孤児院で暮らすピーター(リーヴァイ・ミラー)は、母が迎えに来てくれるのを待つ12歳の少年。孤児院でワンパクに過ごしてきたある日。突然、空飛ぶ海賊船が現れ、孤児院の子供たちが次々とさらわれてしまいます。海賊船のボスは黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)。そして黒ひげの魔の手はピーターにも!
【完全オリジナルなジョー・ライト版のピーター・パン】
英国の名監督であるジョー・ライトと主演のリーヴァイくんは、記者が部屋に入るや「コンニチワ」「ヨロシクオネガイシマス」と覚えたて(?)の日本語で挨拶してくれました。正直、ライト監督は繊細な映画を作る方なので「気難しいのかも……」と、不安だったのです。でも彼らのかわいい日本語で、そんな不安は思い切り払拭! 笑顔でインタビュー開始です。
まずは「ピーター・パンはこれまでもアニメ化、実写化されてきたけれど、なぜこんなにも世界中の人に愛されるのか」と、ジョー・ライト監督の見解を伺ってみました。
「確かにピーター・パンの実写やアニメは多いし、みんな大好きですね。でも原作を読んだことがある人はそんなにいないんじゃないかな。それでもピーター・パンが世界中の人に愛されているのは、ピーターには明確なコンセプトがあるからだと思います。大人にならない少年というコンセプトがね。でも今回、僕が監督した作品は、従来のピーター・パンの物語ではないから、大人にならない少年については描いていません」
そうなんです、ライト監督版『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』は、ピーターが空を飛べるようになる以前の物語。まさに“ピーター・パン ビギンズ”なのです。とにかくオリジナリティを重視したと語るライト監督。
「ピーター・パンの映画には様々なバージョンがあるけど、僕は新しいピーター・パンの映画を作るつもりで取り組みました。少年が母を探しに行く、その過程での成長を描いているわけ。僕の息子も母親への愛はとても強いし、そういう姿を見ているから、母と息子の強い関係性も描いていますよ」
【ピーター役大抜擢で、リーヴァイ・ミラー一家は大騒ぎ!】
さて、この大作で見事タイトルロールを演じきったリーヴァイくん。なんと取材日は13歳の誕生日! 「おめでとうございます!」とお祝いすると「アリガトウゴザイマス!」とまたもや日本語。かわいいったらありゃしません!
ピーター役のオーデョションについて聞くと、
「オーディションは4回ありました。まずはオーストラリアのブリスベンで2回あり、その後LAで受けて、オーディション最終地はロンドン。そこにはフック役のギャラット・ヘドランドも来ていて、相性をテストもしたんですよ」
と、リーヴァイくん。するとライト監督が
「本当はロンドンに来てもらったとき、すでにピーター役はリーヴァイに決まっていたんだけどね」
と。リーヴァイくんは超ビックリして
「えっ!そうなの? 今、初めて聞きました(笑)」
正式にリーヴァイに決定の知らせをしたのは監督自身。ロンドンでギャレットとの相性を見た3週間後、彼の家に電話をして「君に決まったよ」と伝えたら、彼の家族(特にお姉さん)が興奮してギャーギャー大騒ぎ! ライト監督は電話の向こうのあまりのうるささに速攻で電話を切ったそうです。
ちなみに、そのときリーヴァイくんはというと「うれしくて泣いちゃいました」と。お姉ちゃんは騒ぎ、リーヴァイは泣き、ミラー一家は大騒ぎだったようです。
【超知的な13歳のピーター・パン】
それにしてもリーヴァイくんは賢い! 13歳とは思えないほど、ピーター役について掘り下げて考えていました。
「撮影のとき、僕はピーターという人物を二つのパターンに分けました。ポジティブなところは、勇敢な孤児院のヒーローで権力に立ち向かう反骨精神があるところ。ネガティブなところは、自己中心的なところ。彼は母親を探す冒険に出るけど、それは誰の為でもない自分のためだからです。それと、この映画の彼はピーター・パンじゃくて、ピーター。ネバーランドでの経験によって空を飛ぶピーター・パンになる! そのプロセスは自分自身を探す物語とも言えると思います」
どうです、すごいでしょう! 映画初主演の13歳がここまで掘り下げているとは!
でもリーヴァイくん、この映画に決まるまでジョー・ライト監督のことは知らなかったそう。ライト監督がリーヴァイに「僕のことなんて知らなかっただろう? そもそも僕の映画を見たことないだろう?」と突っ込むと「見たよ、撮影のあと。『ハンナ』を見た」とあわてるリーヴァイくん。でもライト監督との出会いは大きかったようで「とっても勉強になった」と。
「監督は雰囲気作りがすごくうまいんです。森のシーンではレゲエ音楽を流したり、他のシーンではニルヴァーナの曲を流していたり。場面ごとに音楽を選んで役者が乗れるようにしてくれていました。とにかくライト監督は今の時代で最高の監督だと思います!」
ライト監督は、熱弁をふるうリーヴァイくんの横でニコニコ。そのまなざしはまるで父親のようでしたよ。
【ラルフ・ローレンのアンバサダーに】
ラルフ・ローレンのアンバサダーとして、来日してすぐショーモデルもつとめたリーヴァイくん。ルックスもよく、賢く、演技センスも抜群の彼は、絶対に未来のイケメンスター候補!
ジョー・ライト監督のめくるめく映像、ヒュー・ジャックマンの「誰?」というほど豹変したルックスの黒ひげ、そしてまぶしいくらいにかわいく輝くリーヴァイ・ミラーは必見。彼氏とでもよし、女友だちとでもよし、ひとりで見てもよし! 『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』は誰と見ても絶対に盛り上がる映画です。
取材・執筆=斎藤香(C)Pouch
撮影=高橋明宏
『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』
2015年10月31日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:ジョー・ライト
出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴァイ・ミラー、ギャレット・ヘドランド、ルーニー・マーラ、アマンダ・サイフリッドほか
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
▼映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』予告編
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