2017年2月22日、オザケンこと小沢健二さんの約19年ぶりのシングル『流動体について』が発売されました。あわせて約20年ぶりに「ミュージックステーション」に出演、生演奏を披露するというおまけつき。
90年代にサブカル方面で生きてた人間の多くをひっかけたこの曲。歌詞に、なぜか「カルピス」が出てくるんです。
その「カルピス」をめぐって、ちょっとした、いや、思いっきりジェネレーションギャップなんじゃねえかこれ!という事案が発生してるんです! ていうかもうね、オザケン関係なくていい。あなたにとって「カルピス」ってなんですか?
【カルピスの意味が世代によってぜんぜん違うっぽい】
オザケンの新曲『流動体について』の歌詞に、こんな一節が登場するのです。
「誓いは消えかけてはないか?
深い愛を抱けているか
ほの甘いカルピスの味が 現状を問いかける」
齢40を越えた身としては、「わかるわかる! あこがれだったカルピスを大人になって飲むことで、素直な心をもっていた子供時代の自分が呼び覚まされるってことよね!」と思ったんですが……これが、若い世代とぜんぜん話が通じないの!
【カルピス=そのへんのジュースという世代】
ライター仲間とこの新曲の話をしていたところ、「カルピスなんていうどうでもいいドリンクを出してくるあたりさすがオザケン!」とか言うんです。いやいやいやお前、どうでもいいドリンクなわけねえだろ!
20代の彼女は続けます。
「ジュースがいろいろ売ってるなかで、わざわざ水で薄めて飲むカルピスは面倒くさいっていう感じですよ。あんまり飲まなかったですね」
なんてこと! なんてことだ! 意味がぜんぜん変わるじゃないか!
じゃあ横にいる20代編集ボーイ、君はどう?
「夏の風物詩ってイメージだけど、別にそんなに好きじゃなかったですね。他にも美味しいジュースたくさんあるし」
ウワーイ! そんなもんなのか!
物心ついたときにすでに、コンビニにステキなドリンクがたくさんあった世代の人たちにとって、カルピスはどうやらたいした魔力は持ち合わせていないようです。
【カルピス=冷蔵庫にある至宝という世代】
ひるがえって、純正昭和世代のわたくし。子供のころは市販のジュースなんて、たいしておいしくもない果汁ドリンク「Hi-C」とか、果実の味がぜんぜんしない「ファンタ」くらいしかなかったわけです。
そこに、お中元でやってくる箱入りの「カルピス」。うやうやしく水玉模様の紙に包まれた、茶色い瓶に入っています。キャップの下には王冠、これをわくわくしながら外して、やっと原液とご対面!
5倍濃縮だから、水道水で好きな濃度にうすめるのだけど、超貴重だから味を感じられる限界ギリギリまで薄くして飲む、それがカルピスの流儀!! でありました。
大事に飲む宝物だったから、平成も30年近く過ぎ大人になった今でも、懐かしく飲むことができる。それが私にとってのカルピスです。50歳近いオザケンも同じ想いのもと、「今の自分」と「遠い昔の自分」を対比させる意味で登場させたのだろう……。
と思ったら、20代のみなさまにはまるで通じてないわけですよ! 驚きすぎてカルピスがのどを通らないよ!
【歌詞の受け取り方は人それぞれ、カルピスも人それぞれ】
歌詞のほんとうの意味は、小沢健二さんご本人にしかわからないのかもしれない。聴き手によって解釈が分かれるのも、また面白いところ。
でもカルピスという飲み物の意味が世代によってこんなに違うなんて、まったく思いませんでした! ありがとうオザケン、またひとつ無駄に大人になれたよ!
みなさんにとって、「カルピス」ってどんな飲み物ですか? 昭和っ子のわたしにとっては、幼き時代の夢をまた見せてくれる、唯一無二の飲み物です。
撮影・執筆=纐纈タルコ (c) Pouch
▲プラスチックで軽い、いまのカルピスボトル……そうじゃないんだよ
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