2017年3月31日、4月1日公開の「ぴあ映画初日満足度ランキング」で、1位を獲得。各映画関連サイトのレビューでも軒並み高得点をたたき出しているにもかかわらず、大手メディアではさほど話題にのぼらない……そんな映画があります。
その映画の名は『レゴバットマン ザ・ムービー』。レゴブロックで作られた『バットマン』作品です。
私も遅ればせながら観に行ってまいりましたが、向かったのが土曜日ということもあってか、英語字幕版を上映した新宿ピカデリーの座席はほぼ満席。映画が終わって劇場を出ようとすると、後ろのほうから「良すぎて涙が止まらない……」とすすり泣く女性の声がいたしまして(本当です)、人気のほどをまざまざと見せつけられました。実はわたしも、ちょびっと泣いちゃったんですけどね。
【バットマンについて知っていたほうがより楽しめるかも】
で、私の感想を一言で申しますと……。大人も子供も思いっきり楽しめるDCオールスターが大集合の一大スペクタクルムービー!といった感じ。約2時間という時間があっという間に過ぎさる、笑いと涙に満ちた作品でした~!
その一方で、この映画がおもにフィーチャーしているのは何十年ものあいだ人々に愛され続けているバットマンシリーズ。レゴ要素もふんだんに盛り込まれているものの、それと比べものにならないほどバットマンに関する小ネタが満載なんです。
だからあらかじめバットマンシリーズを観て予習しておいたほうが、より深く楽しめるのではないかとも思った次第。ただしバットマンやDCキャラに関して深く知らなくても十分楽しめますし、ゲラゲラ笑えてじんわり泣けるので、まっさらな状態で行ってもフツーに楽しめると思いますよぉ!
【前作も高い評価を受けていました】
今回の作品は、レゴブロックから生まれたCGアニメーション・シリーズの第2弾。前作『レゴ・ムービー』が子供だけでなく大人の心をもガッツリつかみ、世界中の批評家から高い評価を受けているという時点で、映画ファンからのそもそもの期待値が、まあ高かったはず。
そんなプレッシャーをはねのけ大多数のレゴ映画ファンやバットマンシリーズファンを喜ばせた『レゴバットマン ザ・ムービー』。最高傑作との呼び声高いこの映画から感じた魅力を5つ、挙げてみようと思います。
※ややネタばれアリです。
その1:DCコミックのヒーローとヴィランズ(悪役)が大集合! (マーベル・コミックのあのキャラも名前だけ登場)
DCを代表する2大ヒーローといえば、バットマンとスーパーマン。バットマンがジョーカーに対し「宿敵はおまえじゃない、スーパーマンとベイン(最強のヴィランと呼ばれるバットマンの敵)だ」と言うシーンがあるのですが、この映画にはスーパーマンをはじめ名だたるアメコミヒーローたちが大集合しています。
今作でヒーロー以上に光が当たっているのはヴィランズのほう。ジョーカー、ハーレイ・クイン、先ほど挙げたベイン、キャットウーマン、ポイズン・アイビー……書ききれない数のヴィランズが登場し大暴れしているので知っているキャラを探してみるといいかも!
なおバットマンが秘密基地「バットケイブ」に入るときの合言葉は、あのマーベルヒーローの悪口です。
その2:ジョーカーがめんどくさくて可愛い(笑)
ハーレイ・クインという可愛い彼女がいるジョーカーですが、実はバットマンに対してある想いを募らせているみたい。
自分を唯一のライバルだと認めてほしい。憎んでいると、言ってほしい。ただその一言が欲しいだけなのに、あの人は全然言ってくれないの……と目に涙をいっぱいためてイジけちゃうから、可愛いったらありゃしない! ストーリーの肝となっている大騒動を起こす発端も、バットマンへの歪んだ愛情ゆえなのです。
可愛さ余って、憎さ100倍。バットマンに「ウザい」とまで言われたジョーカーが、最後の最後に、バットマンからもらったひと言で満面の笑みになるシーンは見逃すべからず~!
その3:コアなファンにしかわからないであろう『バットマン』ネタが満載
バットマンシリーズの過去作を観ていないとわからないセリフやアイテムがこれでもかというほどに出てくるところも、今作の大きな魅力。
例えばサメ除けスプレーは1960年代のバットマンに実際に出てくるアイテムだし、映画『ダークナイト』のシーンを連想させる “二者択一” も登場。映画版のみならずテレビ版やアニメ版のバットマンネタも所かまわずブッこんでくるので、長年のファンは1秒たりともまばたきできないかも!?
その4:他作品に出てる有名ヴィランズたちも登場!
バットマンを倒すためにジョーカーがゴッサムシティに解き放ったのは、選りすぐりの極悪人たちが幽閉されている宇宙監獄・ファントムゾーンの囚人たち!
そのメンツがとにかく豪華で、『ハリー・ポッター』のヴォルデモートにキングコング、グレムリンにドラキュラ、『マトリックス』のエージェントスミスなどなど豪華にもほどがあるっ。
『指輪物語』などに出てくる溶岩を放つでかい目ん玉サウロンに間違って大ダメージをくらわしちゃうキャラがゴジラによ~く似ているんだけど……ホントのところはどうなんでしょうかね?
その5:「バットマンの心の成長&自分だけの家族を作るまで」のくだりが泣ける
バットマンは幼いころ、両親を目の前で殺されています。以来執事のアルフレッドに育てられてきたのですが、アルフレッドにすら心を許していないんですよね。
悪を倒し家に帰ってきてまずやることは、夕飯を電子レンジで温めること。たった1人、だだっ広い空間で夕飯を食べ、ギターをかき鳴らし、大画面でトム・クルーズ主演の映画『ザ・エージェント』を観て大笑いする毎日(観ているシーン、大笑いするとこじゃないんですけど)。ふとしたきっかけで養子にした息子・ロビンのことも、冷たく突き放してしまいます。
でもバットマン、ほんとは寂しいんです。家族が欲しいけど、また大切な人を失うんじゃないかと怖がっているだけなのです。
このあたりをどう乗り越えてゆくのかが今作最大の見所であり、泣き所! バットマンが所持しているDVDのほとんどが恋愛ものか家族もの、ヒューマンドラマばかりな点(めっちゃ人恋しいんだね)にも、ぜひ注目してみてくださいっ。
【想像している以上に楽しめると思いますよ~!】
そのほかにも、レゴでしかできない表現がたくさん出てくるのでレゴ好きは期待しておいて~! 特にラストシーンに出てくる問題解決方法はレゴならではなので、ぜひご注目ください。
バットマンに興味がない人でも、この映画を観ればバットマンについてもっともーっと知りたくなること必至。「子供向けなんじゃない?」「レゴ……ホントに面白いの~?」という先入観があったとしても、観終わった後に考えが変わると思いますので、上映中に劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
参照元:映画『レゴバットマン ザ・ムービー』、YouTube、プレスリリース
執筆=田端あんじ(c)Pouch
▼日本語吹き替え版もあるのでお好きなほうをどうぞ~
レゴバットマン観た! 過去のあらゆるバットムービーを越えるという噂は、妄想でもフカシでもなかった! キートンよりクールでベールよりクレバーでウエストよりクレイジーでキルマーやクルーニーよりフーリッシュでアフレックよりダメなバットマン! レゴである事を最大限に活用したメタなギャグ! pic.twitter.com/NIPhWvQdHF
— ブラスコウ/秋友克也 (@sjxqr393) April 12, 2017
『ムーンライト』前回予測したとおり、それでも『レゴバットマン』の感動には及ばないのだが、それは『レゴバットマン』の名作度が超絶的なだけ。『ムーンライト』もまた、映画史に輝く名作であることは間違いない。『ラ・ラ・ランド』ではなく本作の方を作品賞に選んだオスカー会員は凄い。
— ぼのぼの (@masato009) April 8, 2017
『レゴバットマン』はバットマンの物語でありつつも、やっぱりレゴの映画でもある。バットマンと、彼がいる世界の本質を、正にレゴというものの性質を使って描ききってしまう!
その上で前作レゴムービーへのオマージュもあるし、更にそれどころか…な驚きの展開まで!全方向に敵無しな娯楽映画だぜ!— tomtom (@ss_wasshoi) April 8, 2017
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