
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、レビューをします。
今回ピックアップするのは『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年12月9日公開)です。西岸良平の原作漫画「鎌倉ものがたり」の実写映画化で、人間や幽霊、魔物や神様などが混在するジブリアニメのような世界での夫婦愛を描いた、素晴らしいファンタジー映画。
監督は大ヒット作『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴です。では物語の説明からいってみましょう。
【物語】
ミステリー作家の一色(堺雅人)と亜紀子(高畑充希)が結婚。亜紀子は一色の暮らす鎌倉に住むことに。魔物や幽霊と人間が共存する不思議な古都・鎌倉に驚くものの、新婚生活は幸福でした。
ところが亜紀子は事故で亡くなり、黄泉の国へ。この死にはある魔物の企みがあり、一色は明子を取り戻すために黄泉の国へと向かうのです。
【結婚願望が高まる! 前半のラブラブ夫婦】
一色と亜紀子の新婚シーンから始まるこの映画。前半は鎌倉へやってきた亜紀子と一緒に、一色を取り巻く人間関係&魔物関係と彼らとのユニークなエピソードに一喜一憂できます。
とにかく亜紀子の良妻ぶりが可愛く、日本全国の男子は心奪われるに違いありません。夫を支えながら上手に甘える姿は、女から見ても可愛いんですよ。下手な人が演じるとイラっとする甘えるしぐさも、高畑さんは上手いので嫌じゃないんですね。
夫の一色はオタク系。鉄道模型収集、熱帯魚マニア、鎌倉署の捜査にも協力している作家で、少年の心を持った大人です。演じる堺さんも歴史や文学の知識に長けたマニアっぽさがあるので、ウンチクを語る姿に違和感がなく、ドンピシャのキャスティング。
マイペースな夫に亜紀子は振り回されますが、ケンカもイチャイチャに見えるほどのラブラブぶりで、こちらもニヤニヤ。未婚の皆さんは結婚したくなるかも。彼氏のいる人は、自分から彼にプロポーズしたくなるかもしれません!
【奇想天外な物語を支える役者の力】
人間と妖怪や魔物が共存する世界を映画で描くのはすごく難しいもの。中途半端な映像ではチープに見えて興ざめだし、人間の物語の中に妖怪や魔物を存在させながら大人の物語として成立させるのは、並大抵のことではなかったと思います。しかし、本作はその壁を完全に乗り越えました。
それは、脇役に至るまで演技巧者で固めたことも大きいです。100才超えの家政婦に中村玉緒、一色を担当する編集者に堤真一、死神に安藤サクラ、小料理屋の女将に薬師丸ひろ子、貧乏神に田中泯などを配役。
うまい人が演じることでファンタジーに真実が宿ることが、この映画を見ると本当によくわかります。役者の力って偉大!
【死んだ人のイメージで構築される黄泉の国マジック】
また山崎監督の演出の素晴らしさも、大いに堪能できます。『ALWAYS 三丁目の夕日』で、昭和30年代にトリップさせてくれた山崎監督。今度は「黄泉の国」に観客を連れてってくれます。
一色が亜紀子を助けるために黄泉の国へ行く列車に乗り込み、たどり着いた先の黄泉の国の映像が、美しさと面白さと奇想が混在するヴィジュアルで素晴らしい。黄泉の国が遊園地みたいに楽しそうでいいのかと思う人もいるかもしれないけど、いいのです!
映画でも語られますが、この物語の黄泉の国は、死んだ人がイメージするヴィジュアルが現れます。だから映像で繰り広げられる黄泉の国のイメージは、一色の脳内でイメージされた黄泉の国であり、山崎監督の想像でもあります。
山崎監督は「超巨大な温泉街」とインタビューで語っていますが、そんな風にも見えますし、なんとなくジブリな世界観も感じさせます。ここで繰り広げられる妻を取り戻すために奔走する一色の冒険がスリリングで楽しく、かつ、究極の夫婦愛が泣けるんですよ。
ヴィジュアルの見せ方が上手い監督はドラマ部分が弱い印象があるのですが、山崎監督の映画は『ALWAYS 三丁目の夕日』同様に、ドラマもしっかり胸に響きます。今回、監督自身が脚本を執筆していることも大きいかもしれません。
どの年代の人が見ても「楽しい」「泣ける」「素敵」と思えるような映画に巡り合えることはめったにありませんが、『DESTINY 鎌倉ものがたり』はまさにそう思える映画。映画の魔法を堪能できますよ。
執筆=斎藤 香 (C) Pouch
『DESTINY 鎌倉ものがたり』
(2017年12月9日より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー)
監督&脚本:山崎貴
出演:堺雅人、高畑充希、堤真一、安藤サクラ、田中泯、中村玉緒、市川実日子、ムロツヨシ、要潤、大倉孝二、 鶴田真由、薬師丸ひろ子、吉行和子、橋爪功、三浦友和、古田新太(声の出演)ほか
(C)2017「DESTINY 鎌倉ものがたり」製作委員会
▼映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』予告編











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