漫画家のさくらももこさんが、2018年8月15日に逝去されました。

さくらさんの代表作といえば、今や誰もが認める国民的アニメとなった『ちびまる子ちゃん』が有名。そしてもうひとつ根強い人気を誇っているのが、『きみとぼく』(ソニー・マガジンズ)にて1994年から1997年まで連載され、その後アニメ化もされた、『コジコジ(COJI-COJI)』です。

小さくてかわいらしくてお空をビューンと飛ぶことができるコジコジの正体は、 “宇宙生命体” 。半魚鳥の次郎や雪だるまのコロ助といった愉快な仲間たちと一緒に、メルヘンの国に暮らしています。

【コジコジ全巻から名言をピックアップ!】

『コジコジ』を一言で説明するならば、 “シュールなギャグ漫画” 。ですが笑いの中に哲学の香りを感じられるといいますか、コジコジをはじめとする登場人物たちからふいに発せられる言葉に、ハッとさせられるんです。

そこで今回は、『コジコジ』が好きすぎて全4巻を何度も繰り返し読んでいるわたしが、印象的な発言を選りすぐってみることにしました。

【1巻】

コジコジ「コジコジだよ コジコジは生まれた時からずーっと 将来もコジコジはコジコジだよ」

(第1話『コジコジはコジコジ』より)

メルヘンの国の学校の先生に「将来はなにになりたいのか」問われたときに、コジコジが返した言葉。あまりに真理すぎて先生も生徒たちも「ガーン!!!」と衝撃を受けていたけれど、読んでいるこっちも「ガーン!!!」と頭を殴られたような気持ちになる名言です。

コジコジ「えっ悪いの? 遊んで食べて寝てちゃダメ?」「盗みや殺しやサギなんかしてないよ 遊んで食べて寝るだけだよ 何が悪いの?」

先生から「キミは一体毎日なにをしているんだ?」という質問に正直に答えたコジコジ。すると怒られたので、返した言葉です。うん、コジコジはなにも悪いことしてないよ。

コジコジ「体が死んでも “たましい” は生きてるよ ブヒブヒもスージーもまたいつか会えるのに 次郎君そんな事も知らなかったの?」

(第4話『メルヘンの国の悪者達』より)

またコジコジはこの後、「次郎君も何回も死んでいるのに忘れているだけ」「(死んだら)別に今とそんなに変わらないよ 急に宇宙にポンって浮かんだりしてさ」とも話してます。

コジコジ「相手にしてくれなきゃこっちも相手にしなきゃいいのに」

(第7話『手紙を書こう!!』より)

憧れの人に手紙を書こうとしているクラスメイトに、コジコジが放った一言。好きだけどなかなか相手にしてもらえない相手に手紙を書こうとしていると知って、この発言が出ました。なるほどたしかに、ごもっとも!

タコ「おまえバカだろ バーーーカ」→コジコジ「そうだよ よく知っているね キミは物知りだね」

(第9話『海水浴へ行こう』より)

小さなタコにバカにされまくるも、 “暖簾に腕押し” 状態。「その帽子変なの」と言われれば「そうだよ、変なんだ」と返し、すねて「帰っちゃおうかな」と言われりゃ「ああそう さようなら」と引き留めることもしない、すべてを受け入れる姿勢に感動すら覚えます。

【2巻】

コジコジ「コジコジもコジコジだよ どんな時もコジコジだよ」

ミミズ君「そりゃそうさ 誰でもいつでもそうなのさ」

(第11話『ファッションショーをやろう』より)

ミミズ君の「ミミズはどんなかっこうをしても ミミズだからね」という発言から続く、コジコジとミミズ君の会話。誰でもいつでも、何を着ていても、その人はその人でしかないのだと実感する一言。

コジコジ「でも生きているよ 吾作君は生きている」「息を吸って吐くっ!! それが生きる道」

(第13話『きょうはクリスマス』より)

自らの顔の造作を気にする天使の吾作くんを見て、コジコジが放った言葉。どうでもいいけど「吾作君は生きている」って発言、テレビ朝日系ドラマ『ハゲタカ』っぽいですよね(知らない方はすみません)。

コジコジ「正月君 飛べない時はゆっくり休めばいいじゃん 仕方ないよ 飛べないんだからさ」

(第14話『正月君の活躍だ!!』より)

傷ついて空を飛べなくなってしまった正月君にコジコジがかけた言葉。そのとおりにしてみたら、すんなり力が戻ったのでした。人生も案外、そんなものなのかもしれません。

【3巻】

カエルたち「役に立つかどうかなんてさ あとから誰かが言う事だろ」

「オレたちゃ誰かの言う事より 自分の事は自分で決めるさ」

(第19話『カエルの生き方』より)

自分が何の役にも立っていないと落ち込むコジコジのクラスメイト・ジョニー君に、カエルたちが言った言葉。「ただモーレツに生きているだけ」と朗らかに話すカエルたちの言葉が、やたらと胸に沁みます。

コジコジ「神様は心の中をウロウロしているので この辺をウロウロしていません」

(第22話『江戸ッ子の国のゲタ屋一家がやってきた』より)

コジコジの発言ですが、元々は、神様を歓迎しようと探しまくるメルヘンの国の人たちに対し、江戸ッ子の国のゲタ屋のおやじが言った言葉。神様はそれぞれの心の中にいるもの……これも真理のような気がします。

【4巻】

おかめちゃん「コジコジにはムダがない」

(第32話『クールのひけつ』より)

いつもクールなおかめちゃんが “クールでいられる秘訣” を問われて返した言葉が、「ムダなことはしない」。その後クラスメイトとの会話の中で、おかめちゃんはコジコジについてこう話しているんです。つまりは、コジコジは超絶クーーールだってこと!

【未体験の人はぜひ読んでみて!】

さて、いかがでしたでしょうか。

終始笑いの要素が散りばめられているにもかかわらず、時折ドキッとする言葉に出会えるから、わたしはコジコジの持つ魅力から逃れられないのかもしれません。もしまだ読んだことがないというのなら一読の価値あり、ですよ☆

参考リンク:さくらももこ劇場 コジコジ
撮影・執筆=田端あんじ (c)Pouch