美食大国として知られるフランス。しっかり手をかけて料理する人々ばかり……というイメージとはうらはらに、じつはインスタント大国でもあるんです。冷凍食品はもちろん、缶詰の種類もまた、驚くほど豊富です。
加熱すればすぐに食べられる「鴨肉のコンフィ」や「鶏肉の赤ワイン煮」などのメイン料理から、もやしやほうれん草など調理する手間が省ける野菜類、さらにタパスのようなおつまみまで、フルコースが作れちゃいそうなラインナップが缶詰で売られているんです!
そんななか見つけたのが、驚きの「クロワッサンの缶詰」。なにそれ! フランスではクロワッサンといえばどんなに小さな村のパン屋でも買えるもの、それが、なななんと缶詰になっているのです!!
フランス南西部の自宅近くにある大型スーパーで、ゲットしてきました「クロワッサンの缶詰」。どんなクロワッサンが入っているのでしょうか!? ドキドキ……。
【想定外の展開】
それではさっそく、日本ではたぶん見かけることのない超珍品缶詰を開けてみたいと思います!
缶切りをつかってキコキコ……ではなく、横から手で開けろという指示が。開け口から側面をむいていくと、画用紙のような厚みのある紙がお目見え。え、ナニこれ!? 上下はスチール缶なのに、側面はアルミ箔をコーティングした厚紙でできていました。
厚紙を取り終えると、うずまき状の真白い生地が出てきました。
つまりこれ、自分でクロワッサンを成型して、焼かなくちゃいけないってことみたいです。出来上がったクロワッサンがどーんと入っているのかと思いきや、そうじゃなかった……。
開けたらすぐ食べられるのが缶詰のよさなのに、この面倒さ! 缶には「簡単にできますよっ(Facile à préparer)」って書いてあるのに、全然カンタンじゃなぁあああああい! ……気を取り直して、次のステップに進むことにします。
【生地を成型します】
うずまき状の生地を広げてみると、直角三角形が4つ取れるように点線がついています。この点線に沿って、生地をカット。
底辺から頂点に向かって、生地をくるくる三日月型に整えていくと……。あぁ、やっとクロワッサンになりました。これこれ、これを求めていたの!
クロワッサンを焼成するときには、おいしそうな焼き色をつけるために、ふつう卵液を塗って仕上げます。パッケージにはそうした指示はなかったけれど、右サイドの2つだけ卵液を塗って違いを確かめることに。
【クロワッサンが本当にできるのか】
パッケージの指示にしたがって、200℃に予熱したオーブンで15分間焼きます。焼き始めて数分、キッチンにクロワッサンの香ばしい匂いが漂ってきました。オーブンから取り出してみると……わーーー、クロワッサンになってる!!
卵液を塗った方は焼き色が濃く、縦に大きく膨らみましたが、下の方が膨らみすぎてカエルのように。(※粗熱が取れたら、普通の見た目に戻りました)
【クロワッサンというより、ロールパン】
焼きあがったばかりのクロワッサンは、表面がサックサク。生地をちぎってみると、中身はロールパンのようにふわふわ。
バターを使ったものだと、中身の白い部分はサクサクした層になるんですが、植物性油脂を使ったクロワッサンは中身がふわっとした仕上がりになります。
缶詰クロワッサンは、油脂分としてマーガリンを使っているということで、ふわふわ感に納得。味も食感も、クロワッサンよりはロールパンに近い気がしました。バターとジャムを塗って食べたら、おいしくいただけましたよ!
焼き立てアツアツのクロワッサンが自宅で味わえるのは、ちょっと贅沢な気がしますよね。とはいえ、これほど手間がかかる缶詰に出会ったのは、初めての経験でした。
レビュー・撮影・執筆=sweetsholic (c)Pouch
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