ここ最近増えている、高齢ドライバーによる事故。死亡者が出ていることもあって、運転免許返納の是非についてネット上でも議論が巻き起こっています。

そんな今だからこそ観ておきたいのが、NEXCO東日本が2019年2月26日にYouTubeに投稿した動画、『父と母の卒業旅行 ~The Last Long Drive~』。

運転歴48年、78歳の父が母と連れ立って出かけたのは、 “運転卒業旅行” のロングドライブ。思い出の地をめぐる父を最後に待っていたのは、家族による感動的なサプライズでした。

【実際の家族の物語です】

動画に登場するのは、役者ではなく実際の家族

高齢の父を心配する家族が、次の更新で免許を返納するよう促すものの、当の本人はなかなか納得がいかない様子。そこで提案されたのが、夫婦ふたりきりで行く “運転卒業旅行” だったんです。

【父を待っていたのは「運転卒業式」】

旅の最終地点は、息子や娘、孫たちが待つ、 “運転卒業式” の会場。

巨大スクリーンやマーチングバンドの演奏といった演出によって幕を開けた卒業式は、家族から父に向けた “感謝” であふれていて、実は仕掛け人のひとりだったと思われる母も、涙を浮かべながらしたためてきた手紙を朗読。

運転を終えることに寂しさを感じているであろう父を気遣いつつ、

「これからはふたり仲良く、バスや電車の旅を楽しみ、一緒に同じ景色を眺めながら楽しみましょう」

という言葉で締めくくっていて、最後には “運転卒業証書” を手渡したのでした。その後、父は運転免許返納を約束してくれたということです。

【動画を「きっかけ」に】

ここまでするのはさすがに難しいでしょうが、年をとった本人だけではなく、その周囲にいる家族でしっかりと話し合うことが大切。

「免許返納の話をしても本人が納得してくれない」という悩みを抱えている人もいるでしょうが、長年運転してきて、運転することが生活の一部になっていたという背景を思えば、その気持ちもわからなくもありません。

特に車が必需品である土地に住んでいれば、なおのこと。ですが判断力があるうちに決断してもらわなければいけないと、車を運転する両親を持つ身としては、切実に感じています。

そういった場合のきっかけづくりとして、ひょっとしたら、この動画が役立ってくれるかもしれません。

参照元:YouTubeプレスリリース
執筆=田端あんじ (c)Pouch
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▼社会全体の取り組みにも期待したいところですね