【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは二階堂ふみ主演の最新作『生理ちゃん』(2019年11月8日公開)です。本作は小山健の同名コミックの実写映画化。WEBメディア「オモコロ」で連載されている作品で、累計2000万PV突破のヒット作です。生理がくると突然やってくる生理ちゃんを通して見えてくる、女の子たちのモヤモヤな気持ち……。では物語からご紹介しましょう。

【物語】

女性ファッション誌の編集者として忙しい毎日を送る青子(二階堂ふみ)にはシングルファーザーの恋人の久保(岡田義徳)がいますが、彼の娘かりん(豊嶋花)は青子のことを認めてくれず、悩んでいます。一方、青子の働く編集部で掃除のバイトをするりほ(伊藤沙莉)は、バイト以外では、実家でゲームと漫画に明け暮れ、SNSで毒を吐きまくる毎日。そんな二人に生理ちゃんは「来ちゃった」と現れます。それぞれの悩みを聞いたり、気合いを入れてくれたりするのですが。

【短編エピソードを複数ミックスさせて映画化】

原作を知らないまま、タイトルに惹かれて本作を見たのですが、なかなか声を大にして語れない生理を擬人化して、女性と生理の関係を描くという設定とアイデアが良いですね~。それも「生理」がテーマなのに、原作者の小山健さんは男性という、なんかいろいろビックリの『生理ちゃん』。原作は短編なので、映画はいくつかのエピソードをミックスさせて話を膨らませています。

【生理ちゃんは女性たちの大親友だと気付く】

生理が来ると「面倒くさい」と思ったりしますよね。場合によっては「タイミング悪すぎ!」と思うこともあるでしょう。そんな気持ちを青子もりほも抱いています。青子はめちゃくちゃ忙しいときに生理ちゃんが来ちゃうと、お腹にパンチをくらうから、体がしんどくなる。けど、生理を理由に仕事を減らせないから、「ああ、もう~」となる。これって働く女性あるあるじゃないですか?

りほは、自分のダメさを呪い、世の中をナナメに見て、SNSでディスりまくり。誰も自分なんて見てないし、恋もうまくいかないし、一生ひとりだし……と思っていたところに生理ちゃん登場。するとりほは「来なくていい」と拒否しちゃうんですよ。これは、女を諦める宣言でもあるので、生理ちゃんが「マジで?」と。しかし、そんなりほも「生理ちゃんに会いたい」と思える日が来るんです!

この映画を見て改めて、女性と生理の密な関係に気づかされました。生理が来ると面倒くさいけど、来なければ「病気?」と不安になるし、彼氏とラブラブな人は「もしや!」ということもあるでしょう。生理ちゃんの存在は、女性たちの体と生活と人生にも深く関わっているんだなと思いました。

【キャスティングもばっちり大成功】

またこの映画はキャスティングもばっちりでしたね。青子は二階堂ふみさん、りほは伊藤沙莉さん。青子が恋人の娘とうまくいかなくて、彼との関係もグラグラしていきて、そして仕事も忙しいという三重苦の状態を、二階堂さんが絶妙な芝居で見せていました。

ヒロインとしての華もあるし、二階堂ふみが青子役で本当に良かった! そして伊藤さんも最高だった。恋に縁がないと思っていたけど、好きな人が出来て垢ぬけていく感じとか、生理ちゃんとケンカする姿とか、何もかもが可愛かった!

【着ぐるみ生理ちゃんの抜群な存在感!】

生理ちゃんを着ぐるみで表現するというのも良かったです。ブルースクリーンで撮影してCG映像で見せる手もあったと思うのですが、着ぐるみだからこそ、並んで語り合っている姿とか、ほっこりした気持ちになれたんだと思います。ちなみに着ぐるみの声は、二階堂さんや伊藤さんたちが自分の生理ちゃんを担当しているのもいいですね。自分の分身みたいなもんですから。

約75分の短い作品でB級感たっぷりですが、とても愛すべき映画『生理ちゃん』。ちなみに男性には童貞くんと性欲くんがやってきます。ティーンの男子のもとには、2人がセットでやってくるので、アワアワしちゃって、大いに笑わせてもらいました。男性にもゼヒ見てもらいたいですね!

執筆=斎藤 香 (c)pouch

生理ちゃん
(2019年11月8日より、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開)
監督:品田俊介
原作:小山健「生理ちゃん」(ビームコミックス/KADOKAWA刊)
出演:二階堂ふみ、伊藤沙莉、松風理咲、須藤蓮、狩野見恭兵、豊嶋花、信太昌之、藤原光博(リットン調査団) 、中野公美子、鈴木晋介、 広岡由里子、笠松伴助、小柳津林太郎、八木橋聡美、安藤美優、竹村仁志、田宮緑子、飯田愛美、岡田義徳
(C)吉本興業 (C)小山健/KADOKAWA