ディズニー実写映画最新作『クルエラ』の日本版声優に抜擢された女優・柴咲コウさんに直撃インタビュー!

柴咲さんにクルエラ(エマ・ストーン)の魅力や初めて挑戦した実写映画吹替の裏側について語っていただきました。

【映画『クルエラ』について】

まずは映画『クルエラ』についてサクっとご紹介しましょう。クルエラは、ディズニーアニメーション『101匹わんちゃん』に登場する、犬で毛皮のコートを作ろうとするヴィラン=悪役。

本作は、平凡なデザイナーを夢見るエステラが、なぜディズニー史上最も悪名高いヴィラン・クルエラになったのか……という誕生秘話を描いています。

実写版ではエマ・ストーンがクルエラの葛藤と変貌を振り切った芝居で熱演しています。柴咲コウさんは『クルエラ』の吹替版で、クルエラの声を担当しているのです。

【過去の自分と重なったクルエラの姿】

―できあがった映画を見た感想を教えてください。今作のクルエラはアニメーション版とはどうイメージが違いますか?

実写版は、クルエラが信じているかっこよさやファッションセンスが突き進んで覚醒していく様子が描かれていて、アニメーション版とは印象が変わると思います。

音楽もファッションも華やかで、とても楽しい作品ですが、クルエラというキャラクターを通して「ハングリー精神を持ち、自分を生きるとはどういういことか」と考えさせられたり、学んだりできる部分も多くありました。

とくに、働き方や社会での受け入れられ方に複雑な思いを抱えている人には、刺さる映画だと思います。

―公式インタビューで、映画『クルエラ』は「20年前の自分を掘り起こさせられた」と語っていましたが、20年前のどのような自分と重ね合わせたのですか?具体的に教えていただきたいです。

クルエラは以前、エステラという名前だったのですが、その時の彼女と20歳の頃の自分が重なりました。

エステラがホテルである行動に出たとき「つまらない!」と言うシーンがあるのですが、本当にやりたいことじゃないから、つまらないと思ったんだろうなと。「じゃあ、やりたいことって何?」と聞かれても答えられない。そんなモヤモヤした気持ちに共感しました。

20歳くらいの頃は、自分自身がやりたいことと、世間から求められていることが必ずしもマッチするとは限らなくて「じゃあ、やりたいことを100%の力でできるのか?」と問われたら、そこまでの力量はまだないわけです

それでも、夢があれば、たとえ叶わなくても、走り続けられるけど、その夢もないと「どうしたらいいんだろう」と悩んでしまう。そんな葛藤が、10代の私にもあったなあ……と、エステラを見て思い出しました。

【「自分で決めて仕事をする」ということ】

―今は独立され、お仕事は柴咲さん自身が決めていて、クルエラ役もUS本社の審査をクリアして決まったそうですね。決まったときの気持ちを教えてください。

私はプロの声優ではないので、やるからには、いろいろな課題があると思い、身が引き締まる思いでした。

実は2、3年前から、ずっと声優の仕事をしたいと思っていました。俳優はセリフがない表情だけの演技でも成立しますが、声優はそれができない。

声だけで表現するお芝居は、自分の演技に振り幅を持たせてくれると思いましたし、女優として学ぶことがたくさんあると思っていたんです。


ーアニメ作品では声優経験があるそうですが、実写の吹替のお仕事は初めてですよね。声優のお仕事はいかがでしたか?

やってみて感じたのは、すでに完成している作品に日本語を乗せていくことの難しさです。

アニメはファンタジーな世界観がありますが、実写はリアルな人間の動きなので、そこに言葉を正確に乗せていくのが大変でした。

―たしかにエマ・ストーンの芝居に声をあてていくわけですから、アニメとはまったく違いますよね。柴咲さんは今回、すべて録り終えてOKが出たあとで、自ら「やり直したい」とおっしゃったという話を聞きました。それを言うのは勇気がいると思います。

声の収録が終わり、監督からOKはいただいたあとに、最初から最後まで通して聴いてみたんです。監督が「通して聴くと、演じていたときとは感覚が変わる」とおっしゃっていたんですが、その通りでした。

気になるところがあったらその部分だけを直そうという話だったんですが「もっと抑揚をつけたい」「ここはもっと強く表現したい」など、気になる箇所がいくつも出てきたんです。

監督が「もう1度やりましょう!」と言ってくださったので、録り直しました。

【他の誰かと同じじゃない生き方に】

ー最後に女優としての将来について、青写真はありますか?

会社としてはヴィジョンを作らないといけないと思っていますが、個人的にはないです。女優としても、もしかしたら隠居生活してるかもしれないし(笑)。

70代、80代の方から見れば今の私も若いですよね。その年代年代でできることがあると思うので、常識的なことは参考程度に。自分の考え方が凝り固まらないように、自分がときめく、ワクワクできることをチョイスしていければいいなと思っています。

誰かに似ているというより、自分のオリジナルの生き方をしたいし、オリジナルな生き方を提示することで、若い人が勇気づけられたりすることもあるという思いでやっています。

ーオリジナルな生き方、自分らしさを求めるというのはクルエラにも通じる部分がありそうですね。

映画『クルエラ』を見ると、柴咲コウさんの声はエマ・ストーンの声質に近くて、まさに適役だったと思います。またインタビューを通して、柴咲さんがクルエラの人生の深いところまで理解していたことがわかり、さすが!と感服しました!

映画『クルエラ』は映画館 & ディズニープラス プレミア アクセスにて公開中。
※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。詳しくは公式サイトをご覧ください

執筆・インタビュー:斎藤 香 (c)Pouch

クルエラ
監督:クレイグ・ギレスビー
出演:エマ・ストーン、エマ・トンプソン、ポール・ウォルター・ハウザー、マーク・ストロングほか
日本版声優:クルエラ役 柴咲コウ

柴咲コウさん衣装協力/Shiatzy Chen
スタイリスト/stylist Kei Shibata (tsujimanagement)