【映画批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、人気のアニメーション映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(2022年4月15日公開)です。劇場版の『名探偵コナン』シリーズは本作で25作目! 今回登場するのは、トリプルフェイスを持つ男・降谷零(またの名を安室透、バーボン)です。今回は彼が大ピンチに陥るんですよ。降谷ファンは気が気じゃありませんね!

では物語からいってみましょう。

【物語】

ハロウィンシーズンで賑わう東京渋谷。そんな中、渋谷ヒカリエで行われた、警視庁の佐藤刑事と高木刑事の結婚式。

ところが突然暴漢が乱入してきます。

そのとき佐藤刑事は、3年前に松田刑事が連続爆破事件に巻き込まれて殉職したときに見た死神の幻を目にするのです。そして同じ頃、連続爆破事件の犯人が脱獄。公安警察の降谷零は親友の松田を死に追いやった犯人を捕らえようと行動に移しますが、逆に捉えられ、爆破装置のついた首輪を装着されてしまうのです!

【『ゼロの執行人』の降谷が再び大ヒットに導く?】

トリプルフェイスの降谷零が、『名探偵コナン ゼロの執行人』(2018)以来、再びメインキャストで劇場版に降臨! 降谷がコナンとともに事件解決のために闘った『ゼロの執行人』は、劇場版コナンが初めて国内興収90億円を超えたメガヒット作ですから、期待は高まります。

そして本作は、人が大勢集まるハロウィンの渋谷が舞台。かなり身近な場所ゆえに意外な舞台設定だと思ったのですが、ストーリーにとんでもない罠が仕掛けられていました……!

【降谷の過去が事件を呼ぶ?】

本作は、冒頭で降谷が首輪爆弾をはめられてしまい、いきなり危機一髪の大ピンチに陥ります。身動きできなくなった降谷のために立ち上がる名探偵コナン!

いっぽうの公安は、降谷の爆弾を解除するために彼を地下シェルターに隔離。降谷はさぞ辛い思いを……と思ったら、コナンたちにあれこれ指示を出してきて、爆弾を首に装着されているのに余裕の表情。なんという強心臓なのでしょう!

とはいえ、警察学校時代の仲間が爆死していることもあり、彼は命を懸けてでも絶対に犯人を捕らえたいはず。何しろ今回の爆破事件は、過去の爆破事件にからむ仮装爆弾犯「プラーミャ」との関連性が見受けられたからです!

【伏線、真犯人などミステリーの醍醐味がつまってる】

事件の真相を探り、降谷の首輪をはずすべく、コナンは頭脳をフル稼働させて推理。しかし真犯人は、チビッコだが頭脳が冴えまくるコナンを苦々しく思ったのか、コナンと仲間たちにも魔の手を伸ばしていくのです。

謎解きアニメでもあるので詳しく伝えられなくて歯がゆいのですが、後半の伏線回収は見事でした。平和なシーンにさえ伏線が隠されているので、ぜひコナンと一緒に推理してほしいです。

また降谷零ファンは、彼と警察学校の仲間たちのエピソードに胸アツになるかも。とはいえ、気を取られていると目の前で起こっている真実を見逃してしまいますよ! 事件を解くカギはあちこちに散りばめられています。

コナンと降谷零たちのド派手なアクションが繰り広げられるなど、ミステリーの醍醐味を堪能させつつ、スリリングなバトルも展開される、めちゃくちゃ楽しい『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』。

ちなみに冒頭で、江戸川コナン誕生の裏側と、コナンを取り巻く人間関係などが、実にわかりやすくサクっと紹介されるので、コナン映画ビギナーの方でも置いていかれることはないので大丈夫。ぜひ劇場でお楽しみください!

参考リンク:名探偵コナン ハロウィンの花嫁
執筆:斎藤 香(C)pouch
Photo:(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』
(2022年4月22日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:満仲 勧
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、古谷徹、高木渉、湯屋敦子 白石麻衣ほか