不可解な状況で失踪した行方不明者。事件や事故に巻き込まれたのか、それとも自ら姿を消したのか。

そんなとき頼るべきは、捜査官。通報を受けた以上、失踪者の安全を守らなければなりません。

刑事ドラマとはちがう、アメリカ・オハイオ州リッチランドの保安官事務所・失踪者捜索課に所属する、捜査官たちの日々とはーーー。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixドキュメンタリー『ミッシング: 行方不明者捜査官たちの戦い』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

重大犯罪科の捜査官として22年ものあいだ働いてきたレインズ。殺人や誘拐事件などに関わるなかで「人々が危害を加えられる前に助けたい」という思いが募り、失踪者捜索課へ移動を申し出ます。

レインズは大人の捜索担当。未成年担当のJ.P.、巡査部長のニーナ、部隊を率いるハイディ警部らと共に、失踪者を捜索します。

レインズたちは、2カ月前に失踪した61歳の女性・ロレインを捜し続けてきました。

聞き込みから明らかになった「ロレインは息子から虐待を受けていた」という事実。家や車庫に充満した漂白剤のにおい。不自然にはがされたカーペットとごみの山。

誰がどう見たって「“何か” が起きているとしか思えない」状況によって、現場に緊張感が走るなか、行方知れずだったロレインの息子から電話がかかってくるのですっ!

【ココが見どころ!】

<その1:自分の意志で失踪する人もいる!?>

「失踪」と言っても、その理由はさまざま。

息子に虐待されている疑いがある初老の女性に、親権が父親になった幼い少女。宝くじが当選した直後に消えた男性や、里親の元からいなくなったティーンエイジャー……。

事件や事故に巻き込まれるケースもあれば、家族への憎悪や警察不信により自らの意志で姿を消すケースもあります。

身近な人がいなくなったら、まず先に「なにかあったのでは!?」と考える人が多いけれど、探してほしくないと願う人もいるーーー。人の数だけ理由があるのだと、改めて気づかされます。

<その2:失踪によって暴かれた秘密>

いつだって熱心に捜索に取り組むハイディ警部。とある失踪事件の真相を知ったときに彼女が口にした、

「さまざまな問題があるから綺麗な結末ではない」

というひと言に、本作のすべてが集約されているような気がします。

印象的だったのは、宝くじが当選した直後に消えた男性のケース。失踪によって、長年一緒に暮らしてきた家族さえも気づかなかった秘密が明らかになるのです。

善人でも悪人でもどちらでもなくても、誰だって、なにかしら秘密を抱えている。本作を通じて、まざまざと実感させられました。

<その3:捜査官たちが事件の解決を急ぐ理由>

つい最近、父親に親権が父親に渡り、初めての面会で母親と姿を消した幼女。

実の親と一緒であろうとも、無断で連れ去ったら「誘拐」。子どもを奪われるくらいなら、刑務所に行ったほうがマシ。そんな考えが親の頭によぎったとき、想像できる結末は「悲劇」しかありません。

未成年の失踪を担当しているJ.P.は、過去の苦い経験から、一刻を争う事態だと顔を曇らせます。だからこそ、捜査官たちはいつでも「最悪の事態」を想定した上で、事件の解決を急ぐのです。

【どの視点で鑑賞するかによって観方も変わる】

本作は、1話あたり31〜67分×全4話。4つの失踪事件が登場するのですが、1話ごとに1つの事件を取り上げるのではなく、2話またいで1つの事件を解決していきます。だからこそ、猛烈に続きが気になる……!

「失踪者」「その家族や周辺の人々」「捜査官」、どの視点で鑑賞するかによって観方が変わる本作。それぞれの立場になって作品と向き合ったとき、気づかなかったことが見えてくるかもしれません。

■今回紹介した作品

Netflixドキュメンタリー『ミッシング: 行方不明者捜査官たちの戦い』(原題:MISSING : DEAD OR ALIVE)
2023年5月10日配信

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch