【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、ディズニー映画『リトル・マーメイド』(2023年6月9日公開)。ディズニープリンセスとしてもファンの多いアリエル。めちゃめちゃ期待を胸に、試写で鑑賞してきました!
個人的にはツッコミたいところがあるのですが、とても楽しかったです。では、物語から。
【物語】
美しい歌声をもつ人魚のアリエル(ハリー・ベイリーさん)は、人間の世界に興味津々で陸での生活を夢見ています。しかし、父のトリトン王(ハビエル・バルデムさん)から「人間は恐ろしい。海を出てはいけない」と禁じられていました。
ある日、掟を破ったアリエルは、難破した船から落ちて溺れる王子エリック(ジョナ・ハウアー=キングさん)を助けます。
この運命の出会いによりエリックに恋をし、ますます海から出たい気持ちが高まるのです。
そこへ現れたのは、海の魔女アースラ(メリッサ・マッカーシーさん)。3日間、人間の姿にする代わりにアリエルの美しい声を差し出すように囁くのです……。
【キャスティングが最高!】
主役に大抜擢されたのは、ハリー・ベイリーさん。
彼女のキャスティングにはさまざまな意見が飛び交いましたが、彼女のエキゾチックなルックスは、ファンタジーの世界に生きるアリエルそのもの。きれいな歌声も含めて全く違和感がありませんでした。
ハリーをキャスティングしたロブ・マーシャル監督も、
「はじめて会ったときのハリーは、若くてちょっと異世界の雰囲気があり、歌声は天使のようでした」(公式インタビューから抜粋)
とコメントしており、納得。アリエルは人魚なので異世界の雰囲気は作品にとって超重要だし、その条件にハリーはドンピシャにハマったのです。
【最高に魅力的なヴィラン、魔女アースラ】
でも、私が最も心を奪われたのは魔女アースラです!
トリトン王に追放されて「いつか海を支配してやる!」と復讐を誓ったアースラにとって、王に反発しているアリエルの存在は絶好のチャンス。「アリエルを利用して復讐開始だ!」と思ったわけです。
派手なメイクにタコ足をブンブン振り回して、悪巧みをするアースラは迫力満点。全ての登場シーンで圧倒的存在感とユーモアを爆発させ、主役をかっさらう勢いでした!
アースラを演じたメリッサ・マッカーシーさんはコメディもシリアスも文句なしの演技派ですが、その才能が最大限に発揮されていました!
コミカルな要素がアースラをより魅力的に見せていましたし、「アースラ、早く出てこないかな」と出待ちをしてしまうほど。
アースラはアニメーションを完全に超えていたと思います。最高だった〜 !
【王子エリックが惜しい…!】
物語のベースはアニメーションに忠実で、アリエルも魅力的。敵役のアースラは最強のヴィラン、トリトン王を演じるハビエル・バルデムさんも威厳に満ちた芝居で見応えたっぷり。
……ですが、惜しかったのは “王子エリックの存在感”。
俳優の良し悪しではなく、なぜか、いつも縁の下の力持ちで「アリエルもいいけど、王子様も素敵〜♡」と思えるような見せ場がもっと欲しかったなと思います。
ディズニー映画において、プリンセスの相手役の王子様は重要キャラクターのはず。そういえば、ディズニー映画『シンデレラ』『マレフィセント』の王子も存在感が薄かったことを思い出しました。
もっと、ミッキーとミニーに負けないくらい、最高に魅力的なカップルが見たかったな……!
少々辛口なことも書いてしまいましたが、『リトル・マーメイド』は真夏にぴったりの作品であることは間違いありません。アリエルの歌声に、劇場でうっとりしてください!
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
『リトル・マーメイド』
(2023年6月9日より全国ロードショー)
監督:ロブ・マーシャル
音楽:アラン・メンケン&リン=マニュエル・ミランダ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
出演:ハリー・ベイリー、ハビエル・バルデム、メリッサ・マッカーシー
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