【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのはティム・バートン監督作『ビートルジュースビートルジュース』(2024年9月27日公開)。前作『ビートルジュース』(1988年)から35年後の世界を描く続編です。
30年以上の年月を経て制作される続編って?と思って試写で観させていただきましたが、何もかもが楽しくて最高の作品でしたよ!
では、物語からいってみましょう。
【物語】
死後の世界で生きるビートルジュース(マイケル・キートンさん)は、人間と結婚をして死後の世界から人間界へと移り住むことが目標。なぜなら、かつてプロポーズしたけど叶わなかったリディア(ウィノナ・ライダーさん)に未練タラタラだから。
そのリディアは娘のアストリッド(ジェナ・オルナガ)を育てるお母さんになっていました。しかしある日、アストリッドが罠にかけられ、死後の世界へと連れ去られてしう!
娘を助けたいリディアは、ビートルジュースにお願いすることにし、ふたりは35年ぶりに再会したのですが……。
【ティム・バートン、出世作の続編を36年ぶりに公開!】
ティム・バートン監督といえば、闇の世界をポップにオシャレに描き、その独特なセンスが世界中で愛されている人気監督。そのバートン監督の原点と言えるのが前作『ビートルジュース』。30歳のバートン監督が初めて全米初登場No.1ヒットを獲得した作品なのです。
そして36年ぶりにリリースした本作。死後の世界に生きるビートルジュースはそのままですが、人間界に生きるリディアやリディアママは歳を重ねています。前作でティーンだったとリディアには娘がいて、思春期真っ只中。
リディアは育児に悩んだりして、時の流れを感じます。
【娘が死後の世界へ。さあビートルジュースの登場だ】
そのリディアの娘のアストリッドがある人物の罠にハマり、死後の世界へと連れ去られてしまう。救出できるのはビートルジュースしかいない! リディアはしぶしぶ「ビートルジュース」と3回唱えると……出てきました!ビートルジュース。
ここから向かう“死後の世界” が最高なんです!
とにかく衣装、美術、色彩、最初からゴス色強めでずっと可愛いんですが、死後の世界はもはやアトラクションのような楽しさ。常に死を感じさせながらも、死に対する悲壮感はゼロ。体の一部がない人間がゴロゴロしているし、血まみれキャラクターも愛嬌たっぷり。
みんな元気なのがおかしくて「ここに行ってみたいわ〜!」とさえ思ってしまうから不思議です。
ちなみに近年CG技術の発達で、特殊撮影はグリーンバックで行われることが多いけれど、この映画はセット撮影。あの死後の世界やさまざまな闇のキャラクターや美術はほぼ手作りなんです!
まさにバートン監督が原点に戻り、自身のこだわりをいっぱい詰め込んだブラックなおもちゃ箱なんだと思います。
【主要キャラが全員ヘンテコでチャーミング】
しかし、この映画の魅力はヴィジュアルだけではありません。人物関係もすごく練られ、物語が面白いからこそ見応えがあるんです。
リディアが思春期のアストリッドに手こずったり、アストリッドに好きな人が出てきてデートしたり、ビートルジュースはバツイチで、元妻(モニカ・ベルッチさん)が死の世界から蘇り、ビートルジュースを追いかけまくったり……。
母と娘、初恋、離婚夫婦の攻防など、変なキャラの皆さんが巻き起こす物語も最高に楽しい!
特に母と娘のエピソードは思春期あるある満載なので、母娘で観ても面白いと思いますよ。
ティム・バートン監督の遊び心がいっぱい描かれている『ビートルジュースビートルジュース』。ポップでおしゃれでキモ可愛い世界観は、絶対にスクリーンで観てほしい。ぜひ劇場でお楽しみください!
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:© 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved –
『ビートルジュースビートルジュース』
2024年9月27日(金)より全国ロードショー
監督:ティム・バートン
出演:マイケル・キートン、ウィノナ・ライダー、キャサリン・オハラ、ジャスティン・セロー、モニカ・ベルッチ、
アーサー・コンティ、ジェナ・オルテガ、ウィレム・デフォー
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