今年2025年に戦後80年を迎えた日本。

しかしそのいっぽうで、世界のどこかではいまもなお戦争が起きています。それに、国交が緊張状態にある場合はいつ戦争がはじまってもおかしくありません。

21世紀になっても、私たちは絶望と背中合わせの状態にあるのです。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

ある朝、アメリカにあるミサイル防衛大隊の基地が「1発のミサイル」を感知。そしてすぐさま、その事実がホワイトハウスに共有されます。

弾道から推測するに、どうせまた北朝鮮のミサイルでいつものように日本海に落下だろう。また “お騒がせ” か。

誰もがそんなふうに思っていた矢先、ミサイルが「アメリカ本土のどこか」に着弾することが明らかになるのです。しかも、着弾までわずか19分しかないといいます。

ミサイルはいったいどの国が、誰が、発射したのか。その目的はなんなのか。どう対策を打つべきなのか。大統領、国防長官、危機管理室のメンバーなど、さまざまな人々が対応に追われることになり……。

【ココが見どころ!】

<その1:とんでもない緊迫感にあふれた政治劇>

本作における最大の魅力は “手に汗握る緊迫感”。1時間55分のあいだ、1秒たりともホッとできるタイミングがないんですよ。

ミサイルは誰がなんの目的で発射したのかわからない。もしかして、ロシアや中国、それとも中東あたりが「仕掛けて」きたのだろうか。慌てて監視してみるも、結局すべての国が怪しく見える……。

まさしく四面楚歌の状態で疑心暗鬼になるアメリカ。そのいっぽうで、刻一刻と迫る「決断のとき」。最初から最後までものすごい緊張感で、息をするのも忘れてしまうほどでした。

<その2:立場の違う人々からみる一連の騒動>

本作には政治家や官僚、軍人、そしてその家族など、さまざまな立場の人が登場します。彼ら1人ひとりをとおして「それぞれが見た19分間」を描いています。

自分の仕事に徹する人もいれば、どうにかして家族を逃がそうとする人もいる。そしてアメリカ大統領は、核兵器で報復するか否かを迫られる───。

核のボタンを押してしまったらどうなるのか、きっとあなたも想像できると思います。核の抑止力がこれほどまでにもろく、頼りないものだということを、実感せずにはいられないのです。

<その3:えっ!ここで終わり!? 賛否を呼ぶラスト>

本作においてもっとも印象的だったのはラストシーン。すでに鑑賞した人からは賛否が寄せられているというけれど、私個人としてはものすごく好きでした。

きっと世界の終わりは、私たちが想像している以上にあっけない。だからこそ、おそらくあれ以上のラストは存在しないんじゃないかと思うのです。

【ヒーローはいない】

ミサイルがアメリカ本土に着弾するまでの時間は19分。たったの19分で私たちはいったいなにができるというのでしょうか。

動画を観たり、料理をしたり、おしゃべりすることくらいはできるでしょうが、国を救うことはほぼ不可能に近い。けれど、なにかしなければ、傍観しているあいだに世界は終わってしまうかもしれないのです。

だから本作の登場人物たちは、19分のあいだに自分ができることをします。

けれど、彼らは普通の人間であり、決してヒーローではない。だから、できることはかぎられている。それはつまり……いざとなったら誰も救ってくれない、ということでもあるわけで。

そんなリアリティーをまざまざと感じさせてくれる、心に残る1本です。

■今回紹介した作品

Netflix映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』(原題:A House of Dynamite)
2025年10月24日から独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Eros Hoagland © 2025 Netflix, Inc.

▼なんと劇場公開もおこなわれています!