ずっと真面目に生きてきたのに、何をやってもうまくいかないーーー。

運が悪いうえに仕事もプライベートもうまくいかない男が、ひょんなことから実業家の女とトラブルに。あおり運転から次々起こるディスり合い、やってやられてやり返されて、やがて物語は予期せぬ結末へと着地するのです。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixドラマ『BEEF/ビーフ ~逆上~』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

一生懸命仕事をしているのにお金が貯まらないし、クライアントからは嫌われる。家族と仲良く幸せに暮らしたいのに、金銭的事情で父母とは一緒に住めないし、弟からは疎まれている。

ツキにも人にも恵まれない男・ダニーは、ある日立ち寄ったホームセンターの駐車場で、実業家の女・エイミーとトラブルに!

互いにイライラしていたこともあり、そのまま「あおり運転×カーチェイスバトル」へと発展。そしてこれをきっかけに、ふたりの壮絶なディスり合いが幕を開けるのです。

【ココが見どころ!】

<その1:すさまじいディスり合いを盛り上げるキャスト>

A24製作による本作でW主演を務めるのは、ダニー役のスティーブン・ユァンさんとエイミー役のアリ・ウォンさん。

ダニーとエイミーは “あおり運転” を機に、家の中におしっこをまき散らしたり(!)、車にひどい落書きしたり、SNSで別人になりすまして相手の腹を探ろうとしたり……さまざまなバトルを繰り広げます。

そんなスティーブン・ユァンさんは海外ドラマ『ウォーキング・デッド』のグレン役としてもおなじみです。

そして、ふたりのディスり合いを盛り上げるキャスト&スタッフにも要注目!

たとえば『search / サーチ』のジョセフ・リーさん、『エミリー、パリへ行く』のアシュレイ・パークさんといった俳優たちが主要人物を演じているほか、監督はイ・サンジンさん&HIKARIさん。

アジア勢が一丸となる作品は、同じくA24が手がけた『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』や『ミナリ』があってからこそですね。

<その2:コメディだけど人間ドラマでもある>

コメディタッチに進んでいく、男と女のディスり合い。

はじめこそクスクスと笑って見ていられますが、ふたりの心の奥深くにある葛藤や絶望があらわになるごと、感動的な人間ドラマへと移行していくからスゴイ……!

体を震わせて泣きじゃくるほど追い詰められているダニーと、全てを手にしているのにトラウマから逃れられないエイミー。

誰にも本音を話せずに孤独を抱えているふたりが “ディスり合うことで互いを求め合っている” ようにも見えてきて、だんだん愛おしく思えてくるんです。

<その3:考察したくなるストーリー展開>

1話あたり30分前後×全10話というコンパクトな構成、スリリングな展開によって、イッキ見しちゃうこと確実な本作。

わかりやすいストーリーであるものの、ところどころ「おや?」と気になるシーンも盛り込まれているので、友人や恋人と感想を語り合いたくなること必至です。

最も考察が捗るのは最終話! 観る人によって、さまざまな受け取り方ができるんじゃないかと思います。

【エンディング曲まで最高かよ】

本作をひと言で説明するならば「とにかくずっと面白い」。

そのうえ「共依存」「ネットの誹謗中傷」「アジア系アメリカ人が直面するさまざまな問題」などについて描いているのですから、参りましたというほかありません。

そして本作を語るうえで忘れちゃならないのが「音楽」。主人公2人と同年代と思われる、80年代前半生まれの人が懐かしいと感じる楽曲ばかりが使われているんです!

第1話のフーバスタンク『ザ・リーズン』をはじめ、オフスプリングにキーン、ビョークやスマッシング・パンプキンズなどの名曲が流れるエンディングにも、ぜひ注目して♪

■今回紹介した作品

Netflixドラマ『BEEF/ビーフ ~逆上~』(原題:BEEF)
2023年4月6日より独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:ANDREW COOPER/NETFLIX、© 2023 Netflix, Inc.

▼ドラマ本編ではスティーブン・ユァンさんの美声も聴けちゃいます(歌がめちゃ上手い)