元祖ラブコメの女王として知られるジュリア・ロバーツさん。彼女の代名詞的作品でもある『プリティ・ウーマン』はあまりにも有名ですし、名前を聞くだけで、あのはじけるような笑顔を思い浮かべることでしょう。

もしもあなたも「ジュリア・ロバーツといえばラブコメ」というイメージを抱いているのなら、本作を鑑賞することでその印象が180度変わるかも。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Prime Video『アフター・ザ・ハント』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

名門大学で哲学の教授として働いているアルマは、精神科医医の夫とふたり暮らし。キャリアもプライベートも順調そうに見えるけれど、人知れず悩みを抱えているようです。

そんなある日のこと、アルマは目をかけている生徒マギーから衝撃的な話を聞きます。なんとアルマと親しくしている助教授ハンクが、マギーを襲ったというのです。しかもマギーは、ハンクを告発するつもりのよう。

助けを求めるマギーと無実を訴えるハンク。ふたりのあいだで板挟みになってしまったアルマでしたが、騒動はこれだけにとどまらず、今度はアルマの暗い過去まで明るみに出そうに……。

【ココが見どころ!】

<その1:いったい誰が本当のことを言っているの?>

本作は鑑賞する人の心を静かに揺さぶる心理スリラー。マギーとハンク、いったいどちらが本当のことを言っているのか、最後の最後まで翻弄され続けることでしょう。

そして、本作を観終わったとき「真実はそれぞれの心のなかにある」という気づきを得るはず。

あるいっぽうから見た視点と、その逆方向から見た視点では、とらえかたも変わります。起きた出来事でさえも、どの立場にいるかでまったく違った見え方になるし、解釈の仕方も変わってくるのです。

<その2:随所に見られる「映画的な演出」にしびれる>

これは完全に好みの問題なのですが……私は「質感」を感じられる映画が大好きで。体温や温度まで伝わってくる感覚、においさえ感じる風情など、映画演出としての「質感」にたまらない魅力を感じてしまうのです。

本作を鑑賞したとき、私は真っ先に「この感じ、大好きな質感だ」と興奮してしまいました。うっすら熱を帯びた空気、音の演出、感情を雄弁に語る手の動き。そのひとつひとつに見惚れ、聞き惚れているうちに、あっというまに時間が過ぎ去ったのです。それでもまだ足りなくて、ずっと眺めていたくなる───。

ちなみに、本作の監督を務めているのは『君の名前で僕を呼んで』などを手掛けるルカ・グァダニーノさんです。どうりで、すべてのシーンが美しいわけだわ。

<その3:ラブコメじゃないジュリアロバーツの良さよ>

主人公のアルマを演じているのはジュリア・ロバーツさんです。

ラブコメとは対極にあるシリアスな役柄を演じているわけですが、これがもう、すさまじくいい。けだるく、なにを考えているのかわからない物憂げな瞳にも惹きつけられてしまいます。

生意気なことをいうようですが、これは間違いなく、彼女の新境地だと思うのです。

【時間を忘れる面白さ】

本作の上映時間はなんと140分=2時間20分。正直、「ながいわっ!!!」と思ったのだけれど(笑)、ふたを開けてみれば140分とは思えないほど時間が早く過ぎていきました。

SNSを見るかぎり、賛否両論ある作品のようですが、私としてはすごく見ごたえがあったし非常におもしろかったです。もう1度鑑賞することで、さらにちがった気づきを得られそうなので近々2周目にトライするつもり!

■今回ご紹介した作品

アフター・ザ・ハント
Prime Videoで独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:©Amazon MGM Studios