一人暮らしでない限り、トイレという場所は、家族という名の社会における公衆便所でございます。みんなが気持ちよく用をたせるように、お互い気を使いながらキレイに使っていきたいもの。

ところが、先日こんなことがありました。私がトイレで用をたし、さあてトイレットペーパーを……引きつまんだ瞬間、手応え無し。コロコロとトイレットペーパーが回る重さを微塵も感じず、私の手にあったものは、長さ15cm幅11.5cm、たった1カットのトイレットペーパーだったのです。

一体なぜ、交換しないッ!? この1カットで何ができると申すのか。何かができると思ったからこその「1カット残し」でござるのか? すぐそこには新品のトイレットペーパーがあるから緊急事態にはならないことは分かっている。だがしかし、後々の人を考えれば、交換しておくのが思いやりというものだ。許せん、許せんッ、犯人は誰じゃーッ!?

というわけで、第一容疑者の夫を事情聴取してみると「たしかにその時間、トイレに入ったのはこの俺だ」と使用したことを認めました。しかし、「1カットだなんて知らなかった」と述べているではありませんか。そんなハズはありません。だいたい3~4カットあたりで、「そろそろヤバいな」と気付くはず。

本人の前で1カット状態を再現し、「これでも気付かぬと申すのか!」と問い詰めると、「ごめん、実は気付いてた」と、あっさり罪を認めました。しかしながら、交換しなかったのには訳があると。「会社に遅刻しそうになっていて、時間がなかったから」であると述べたのです。

トイレットペーパーの交換なんて、ホルダーのタイプにもよりますが、10~20秒もあればできるはず。本人の前でスピーディーに交換をし、「これでも時間がかかると申すのか!」と問い詰めると、やっと本心を語り始めました。

「ごめん、実は単に、めんどくさかったんだ」と。

さらに、「誰か(つまり私)がやってくれると思っていた」とも付け加え、ごめん、すまん、次からは……と反省しきり。たしかに何かと忙しい朝方は、1分1秒が電車やバスに乗り遅れるか否かの勝負にもなります。許してあげたい気持ちもありますが、1カット残しをされた側の心情は、トランプのババ抜きでババを引いてしまった気持ちと同じくらいのガッカリ感に相当します。

みなさんも、あと少しで終わる状態のトイレットペーパーに出会ったら、すすんで交換するようにしましょう。

(文・写真=長州ちなみ