【第31回 肌を褒められても、ちっとも嬉しくない女心】

人間とは、褒められると、たいていは嬉しいものです。「仕事が早いですね」「完璧な報告書ですよ」などと褒められて嫌な気分になる人は、よほどのへそ曲がりでしょう。ですが、中には「褒められてもビミョーだな」と、素直に喜べない褒め言葉もあります。

先日、とある芸能人がテレビで美肌を褒められていた際に、「褒める部位が見つからない時って、みんな肌を褒めるのよね」と発言していました。インタビュアーは、「そうではなく、本当に美肌だと思いますよ」とフォローしていましたが、この芸能人が言うことも一理あるのではないでしょうか。

私たち一般人の中にも、肌を褒められることに抵抗感を抱くという女性が少なからず存在するようです。つまり、顔立ちやスタイルなどに、どうにもこうにも褒める部位が見当たらない場合、苦しまぎれに肌を褒められているような気がする、とのこと。確かに、目鼻立ちの配置が造形美学的に整っていれば、まずはそのことを褒めるでしょう。

「せっかく褒めてもらっているのに、そういうひねくれた考えは良くない!」と言う人もいるかもしれませんね。しかし、自分が褒める側の時のことを思い出してみてください。友達に彼氏の写真を見せられ、言葉に詰まった際に、「ヒゲが長いね」「平安貴族っぽいね」「米が好きそうな人だね」など、謎のコメントをしてしまったことがあるはずです。

以上を踏まえると、「肌ばかりを褒められるワタシって……」と、暗い気持ちになってしまいますが、捨てる神あれば拾う神ありです。「性行為の際に、肌の質感を重要視している」という男性も多いようです。性行為とは、暗いところで行なわれることが多いものですから、目鼻立ちがどうのこうのという点よりも、体を重ねた際の柔らかさやスベスベ感がクローズアップされるのかもしれません。性行為とは、肌と肌の触れ合いですから。

今まで、肌を褒められることで、目鼻立ちに関するコンプレックスが湧き上がってしまっていたという人は、今後は「肌を褒めてきたということは、私と一線超えたいのね!」くらい前向きに捉えてもバチはあたらないでしょう。ネガティブよりもポジティブでいたいものですね。

(恋愛コラムニスト=菊池 美佳子)