[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは4月7日公開の人気ドラマ「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」(TBS)を映画化した『劇場版 SPEC~天~』。主演の戸田恵梨香、加瀬亮はじめ、主要キャストはドラマから引き続き出演しています。監督はもちろん堤 幸彦。ていうか、堤監督じゃなくちゃ撮れないでしょこの映画! というくらい、堤監督の色がばっちり散りばめられた作品です。

ざっくりとドラマのおさらいをしますと、警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係(以下・未詳)のIQ201の変人捜査官の当麻と元特殊部隊の筋肉バカの瀬文が、科学では証明できない事件にぶつかっていく物語。

事件の関係者は皆スペック(特殊能力)の持ち主で、それを未詳のメンバーが解決していくのです。超常現象やバイオレンスに堤監督ならではのギャグが盛り込まれ、これまでのTVドラマを超えた世界観は、熱狂的なファンを生みだしました。

正直ドラマの視聴率はいまひとつだったのですが、DVDは圧倒的な人気!さらにオンデマンド(動画配信サービス)では驚異的な売り上げで歴代1位の配信数になると言われています。「もっとSPECを!」というファンが多いのも納得。映画化は待ち望んだリリースなのです。

実は連ドラが最終回を迎えても、このドラマには謎が多く「いずれ映画化?」というのは誰もが思っていたことでした。それが「SPEC~翔~」というスペシャルドラマを経て、本作へと繋がったのですね。「~翔~」で当麻のギプスした左手の秘密などが明かされましたが『~天~』では

◎「シンプルプラン」「ファティマ第三の予言」とは?
◎当麻の左手は善か悪か?
◎当麻の弟、ニノマエの正体は?
◎瀬文の過去の恋人が登場!そして子供も?

ネタバレになるので多くは語れないのですが、当麻と瀬文のファンは、二人の関係も気になるところでしょう。堤監督のドラマは「TRICK」でも山田と上田という男女の人気コンビを生みだし「SPEC」の前身である「ケイゾク」の柴田と真山も、深い絆で結ばれながらも男女の関係にならないところが、じれったいながらも魅力的でした。そういえば堤作品ではないけれど「LIAR GAME」の直と秋山もくっつきそうでくっつかない微妙な関係でヤキモキしましたね。

当麻と瀬文もこの映画で、お互いの感情に微妙な変化が見られます。でも当麻演じる戸田嬢は「恋愛感情を強く表現してしまうと普通のドラマになってしまうので、二人にはこのままでいてほしい」と願い、瀬文演じる加瀬氏も「二人の間には私情も生まれてきていると思いますが、ギリギリのところであえて任務に向き合う方が二人らしいです」と語っています。ナルホド、役者はくっつくことを望んでないようです。が、まだまだわかりませんよ!

ちなみにこのシリーズは起承転結で作られているようです。連ドラが「~起~」スペシャルドラマが「~翔~」映画が「~天~」ってことは……。そして、映画版でチラリと出演するあの人は……! 気になる謎ポイントがありすぎの『劇場版 SPEC~天~』。まずは劇場で、その面白さを確かめてくださいね!

(映画ライター=斎藤 香

『劇場版 SPEC~天~』
4月7日公開
監督: 堤 幸彦
脚本: 西荻弓絵
出演:戸田恵梨香  加瀬 亮、伊藤淳史 栗山千明 三浦貴大 でんでん、 浅野ゆう子(特別出演)、福田沙紀 ・ 神木隆之介 椎名桔平(特別出演) 竜 雷太
(C)2012「SPEC 天」製作委員会