ある日のことです。私(男性記者)が新宿・歌舞伎町を夜22時頃歩いていると、「先輩! 先輩!」と声をかけて来る男がいました。メガネ姿の中背のこの男、まったく見覚えがありません。「先輩、久しぶりじゃないですか」というと、「いいとこあるんですよ」と道案内を始めようとしたのです。実はこの男、『キャッチ」』と言われる客引きで、歌舞伎町に推定で50人前後いるものと思われます。

当然ながら女性は知らないと思いますが、男性を相手にした歌舞伎町の客引きの、巧妙な手口についてお伝えしましょう。これらは、私自身や親しい友人が経験したものです。常に悪意のある客引きに出くわすわけではないのですが、男性は参考にして損はないはずです。

「呼び込み」と「キャッチ」の違い
最初に「呼び込み」と「客引き(キャッチ)」の違いをお伝えしましょう。このふたつは若干異なります。店頭でお客さんを店内に招こうとするのが呼び込みで、客引きは特定の店舗に属しておらず、複数に口利きをして、お店からマージンをもらっています。紹介した人数のポイントが、報酬に反映されます。また「キャバクラは●●さんが付き合いのあるお店が多く、性風俗は■■さんが得意」というように、役割分担がされています。一人で客を落とせない場合は、2~3人で客を説得に当たることもしばしばです。

1.若い女性の呼び込み
キャバクラやガールズバーなどのスタッフがお店の外に出ていることがあります。これは騙しというよりも、空き時間に店の呼び込みをしているケースが多いです。ごく稀にですが、表で呼び込みをしていた女性が気に入って店内に入ると、店内では働いていなかったり、ひどい場合にはお店に全然女性がいないということもあるようです。しかしこれは本当に稀なケースです。

2.年配女性の客引き
1番とは異なり、客引きの年配女性がわずかですがいます。彼女たちは「歌舞伎町で女の客引きは私だけなのよ」と、物珍しさを強調したうえで「外国人には気をつけなさい」とアドバイスをします。これだけ聞くと、ちょっといい人なのかな? と勘違いしますが、連れて行かれるのは外国人の店。しかも、「店長にお金を渡すと外に(女の子を)連れ出せる」と、非合法な行為をあっせんするようなこと言う場合があります。

3.戸外で女性の写真を見せる客引き
この手の輩には十分に注意が必要です。無店舗型の性風俗店のように振舞って、戸外で女性の写真を見せます。何軒か飲み歩いて気分がよくなった男性を相手に、女性を売り込んできます。もしも客が乗ってしまい、お金を払うと所定の場所に日本語が片言の女性がやってきます。そして案内した本人は、その場から姿を消してしまいます。

4.アジア人のマッサージ
歌舞伎町に限った話ではありませんが、中国・韓国系のマッサージ店の呼び込みが、「お兄さん、マッサージ」といって声をかけてきます。彼女たちはマッサージをするだけでなく、別途お金を要求して性的なサービスをほのめかすことがあるようです。本来の業態とは異なることのために、非合法の可能性があります。また、お酒の入った客の財布からお金を抜き取るといった話もあります。彼女たちが巧妙なのは、財布から全額取らずに適度にお金を残しておくことです。酔った客は減額したことにすぐには気付かないのです。

5.外国人の呼び込み
もっとも危険なのが、外国人の客引きです。歌舞伎町では主にアフリカ系の黒人男性が多いようです。彼らはかなりフランクに話しかけてきて、ユニークなことを言って酔っ払いの相手をします。もしも彼らについてお店に行くと、非常に暗い店内で相手の女性(おそらく外国人)が、客におごらせてものすごい勢いでお酒を飲み、目が飛び出すような金額を請求されることがあるようです。

お酒を飲んで気が大きくなることはよくありますが、男性諸氏は口車に乗せられないように、気をつけてください。花見の帰りなどは要注意ですぞ!

(文=チェシー猿渡)