東京おとな日和

「10代のころは20代になるのが怖くて20代になったら30代になるのが怖かった」「40代、いまが一番楽しい」。これは、『東京おとな日和』の冒頭に書かれた言葉です。

皆さん、松尾たいこさんというイラストレーターをご存知ですか? 松尾さんは直木賞作家角田光代さんの『Presents』などの装丁画から広告のイラストまで幅広く活躍し、多くの人から憧れられている方。その松尾たいこさんのエッセイ『東京おとな日和』がキャリアチェンジをしようかと悩むアラサー女子の心をぐわっと鷲掴みにして、その後ふわっと楽にしてくれると思ったので、紹介します。

皆さん、キャリアに悩んでいませんか? 松尾さんは、実は32歳まで地方OL。32歳でイラストレーターを目指して上京し、専門学校に通ったという経歴の持ち主です。
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■他の仕事にも応用可能な「仕事のヒント」が書かれている

この『東京おとな日和』には、松尾さんがイラストレーターを目指した理由、32歳で新しいことを始める時の不安な気持ち、それをどう考えて乗り越えたか、そして仕事を軌道に乗せていったかが丁寧に書かれています。

書かれている内容は、イラストレーターだけに役立つものではなく、他の仕事にも応用可能。例えば松尾さんが多くのイラストレーターの中から見つけてもらい、使ってもらうためにしていることとして「自分から提案する」「発信し続ける」など工夫が書かれていますが、これって別の仕事にだって応用可能ですよね。パティシエになりたかったとしても、営業職でトップになりたかったとしても、真似できる工夫ではないでしょうか。

この書籍を読むと「好きなことを仕事にするために、ちょっと頑張ってみようかな」という気持ちになってしまいます。

■『東京おとな日和』が出版された経緯

松尾さんPouch用

松尾さんはこの本を出した経緯を、次のように話してくれました。

「長い間、自分の考えていることを書いたり話したりするのは好きじゃないと思っていたんです。でも、少しブログで自分の考えていることを書いてみたら、喜んでくれる人がいました。それで『エッセイを出したい』と思い始めました。方法がわからなかったから友人にアドバイスをもらって、自分で企画書を書いて、出版社に持ち込んだんです。

32歳でイラストレーターを志してから、常に自分からチャンスを掴みにいった松尾さんらしい経緯です。
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■エッセイの中に書かれたアラサー女子へのエール

エッセイの中の松尾さんの言葉は、キャリアに悩むアラサー女子にエールを送ってくれているようです。

「なにかいつも冷めた目で、すこしあきらめ気味にしていた私が、30歳を過ぎて、初めて好きなことに取り組んでみようと思った。そして好きなことってこんなに集中してできるんだとびっくりした。

今になって思うのは、私にはやはりあのタイミングがベストだったんだなということ。スタートはとても遅かったけれど、はじめるタイミングは人それぞれ。なにかをやるのに、遅すぎることも早すぎることもない」
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ちなみにお仕事について書いてあるのは第3章。第1章「松尾流・おとなの流儀」には、ファッション、おいしいもの、旅行等に対する松尾さんの考えが書かれていて、自分のセンス磨きの参考になりそう。第2章「おうちスタイル」には、ジャーナリストの佐々木俊尚さんとの結婚生活や飼い犬との暮らしについて書かれていて、勉強になります。

どの章も決して押し付けがましくなく、松尾さんのおしゃべりを聞いているような気分ですっと読めちゃう。女性誌のようにおしゃれで、キャリアに対するエールも送ってくれる『東京おとな日和』は、アラサー女子必読の書! 記者もよく読んで、松尾さんのような40代になりたいと思います!

【書籍情報】
松尾たいこ『東京おとな日和』(幻冬舎/1,365円)

取材協力=松尾たいこさん
(文、取材=FelixSayaka