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数年前から奇想天外なアートで熱い注目を集めているアーティスト、スプツニ子!さん。

YouTubeでも公開されている「生理マシーン、タカシの場合。」という作品では、女の子になりたい少年が生理を体験できるマシーンを作るストーリーが語られるし、「カラスボット☆ジェニー」では、人間とうまく付き合えない女の子がテクノロジーを使ってカラスとコミュニケーションをとるというストーリーが語られています。飛び抜けてるぅ!

そんな彼女が出した書籍『はみだす力』(宝島社)は、人とずれちゃうはみだしっ子が前向きに生きていくのに役立ちそうなので紹介します!

■スプツニ子!さんのはみだし具合

スプツニ子!さんの書籍の表紙には薔薇に飾られた美女の姿が。イギリス人と日本人の数学者の両親を持ち、アメリカンスクール出身。マサチューセッツ工科大学の助教授までされていて、さらにここまで華やかな容姿を持っているならば、さぞリア充な生活をしていたのではないかと思いきや……、スプツニ子!さんは保育園時代からいじめられっ子

日本の公立小学校では「外人、ハーフ」だといじめられ、中学から通った女子だけのインターナショナルスクールでは「ハーフなのにブス」といじめられてしまいます。かわいくなりたい気持ちがこじれて正常な判断ができなくなり、高校一年生のときには髪型を角刈りに。

スプツニ子!さんは、内面的にも「普通ではないこと=間違い」とすることや画一的な正解像を押し付けられることになじめず、違和感を感じていました。つまり、スプツニ子!さんは、決して自分からかっこよくはみだしたのではなく、性格的にも外見的にも、はみだしちゃっていたのです。

■はみだしっ子が書いた「はみだす力」

スクールカースト最下層にいて、非リア充で、学校の先生との相性も悪く、スクールカースト上位の人たちから陰湿な嫌がらせをされたりしていたスプツニ子!さん。そんな彼女がどう考え、どう行動して、単にはみだしているのではなく「はみだす力」を持ったアーティストになったかが、この書籍にはいろんなエピソードを交えつつ書いてあります。

その中の一部はこんな感じ。

「AランチかBランチかを選ぶみたいに、『優等生のリア充パターン』『悪い子のリア充パターン』『人気女子のリア充パターン』と、いくつかの選択肢から選ぶことはしなくていい。
たとえまわりに『変なやつ!』と思われても、自分なりの楽しみ方を見つければ、どんな環境もそれなりにサバイバルできたりするのだ!」

「妄想は自由だし、時空を超えて友情を温めるのだってアリだ。(中略)美術館にいったり、本を読んだり、音楽を聴いたりすると、そこは必ず“おもしろいやつ”であふれていた。
『こんな人がクラスにいたら、絶対友だちになるのに!』と思える人。
『すごい! カッコいい!』とびっくりできる人。
現実の世界での友だちは少なかったけれど、アートを見るたび、本を読むたび、友だちが増える気がした。」

「ドアがちゃんと開いていて『ここに一列に並んでください』って看板があるところに並ぶだけが、就活じゃないと思う。気になる仕事や会社があれば、募集してなくても書類を送り、自分からドアをノックしたっていいんじゃないだろうか?」

読み終わった後は自分のことを肯定できる気持ちになるし、「私も、やってみよう!」とパワーがもらえるはず。

はみださないように、はみださないようにと注意して生きている皆さん! どうせなら、自分のはみだし気味なところを「はみだす力」に変えて自由に生きてみてはいかが? スプツニ子!さんの『はみだす力』、おすすめです。

【書籍情報】
書籍名:『はみだす力』
価格:本体1300円+税
著書:スプツニ子!(http://sputniko.com/)
出版社:宝島社
(文=FelixSayaka

▼スプツニ子!さんの作品「生理マシーン、タカシの場合。」▼

▼「カラスボット☆ジェニー」▼