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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、1月31日公開の感動作『メイジーの瞳』です。アメリカの芦田愛菜ちゃんみたいな天才子役・オナタ・アプリールちゃんに目が釘付け! 切なくてちょっとピリ辛な家族の在り方を描いた作品です。

【物語】
6歳のメイジー(オナタ・アプリール)の母はロックシンガーのスザンナ(ジュリアン・ムーア)、父はアートディーラーのビール(スティーヴ・クーガン)。両親は常に大ゲンカをしているけれど、メイジーはシッターのマーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム)と平然と過ごしています。罵り合いが聞こえても平気なのは、彼女にとってそれが日常だからです。

やがて両親は離婚。メイジーは10日ごとに父と母の家を行ったり来たりしながら生活することになります。父はシッターだったマーゴと、母はバーテンのリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)と、それぞれ再婚しますが、両親はあいかわらず自分の都合が最優先。それでもメイジーは穏やかで面倒見のいいマーゴやリンカーンとの時間を楽しみますが、スザンナとビールは再婚相手ともトラブルを起こしてしまうのです……。

【自分勝手な親の元に生まれた子供の苦労】
親と子供の関係を描いた映画やドラマは数々あるけど、これほど自然な形でリアルに描ききった作品は珍しいかもしれません。この映画の父と母は、決してメイジーのことを愛していないわけではありません。逆に愛しているからこそ、離したくなくて、結果10日ごとに行き来することになるわけです。スザンナは娘に「愛しているわ」と何度も言いますし、ビールもメイジーが気に入るようにとラブリーな子供部屋を用意します。この両親の問題点は、娘への愛情はあるけど、愛し方がわからないというところです。それは娘と同じくらい、いえ、それ以上に自分の事が大好きだからでしょう。

メイジーはワガママを言ったり、行かないでと叫んだりしません。幼い頃から両親の壮絶なケンカを見たり、シッターと過ごしたりするのが普通だったので、親に甘えるという感情が普通の子とちょっと違い、抑制されているのです。寂しい気持ちを両親に言ったら、ふたりは心配しつつも都合は変えない。そしたら自分はもっと傷つく……だから何も言わないかもしれません。傷つかないように家族間を上手にすり抜ける方法を、幼いながらも身に着けてしまったメイジー。見ている方にはそれがわかるから、パパとママを傷つけないように振舞う彼女のけなげさにキュンとしてしまうのです。

【アメリカの芦田愛菜か?】
それにしてもメイジーを演じたオナタ・アプリールちゃんは凄すぎです。メイジーはとても無口でセリフはそれほどないのです。「大丈夫」「うん」「行かない」とかそんな感じのセリフばかり。それでも、うなずいたり、見つめたり、うつむいたり、笑顔を見せたりという表情と行動でメイジーの心の内を表現していきます。その自然な佇まいは清らかで天使みたい。背中に羽根があるのでは?と思っちゃいましたよ。

またスザンナの自宅インテリア、メイジーの新しい子供部屋やお洋服など、いずれもセンスよく、ヴィジュアルも抜群にいい! 「いつかママになりたい」と思っている女子のみなさん、子供心を知る上でも『メイジーの瞳』、見ておいて損はありませんよ!
(映画ライター=斎藤 香)
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『メイジーの瞳』
2014年1月31日公開
監督: スコット・マクギー
出演: ジュリアン・ムーア、アレキサンダー・スカルスガルド、オナタ・アプリール、 ジョアンナ・ヴァンダーハム、スティーヴ・クーガンほか
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