
本が大好きなみなさま。本の世界に入りたい、登場人物に会ってみたい、と思ったことはありませんか? 本日ご紹介するSu Blackwellさんの「本の彫刻」は、そんな夢をかなえてくれます。
彼女は題材となる本を納得がいくまで読み、そこから得たインスピレーションをもとに登場人物や風景を切り取っていきます。そうしてできた繊細な紙のオブジェは、それだけでもため息が出るほど美しいのですが、さらにそれを見開きの本の上に置いてしまうと……もーう読書好きにはたまりません! まるで本から物語が飛び出してきたかのように見えるのですもの!!
【ブラックウェルさんの生い立ち】
読書好きの心をぎゅっとつかんでしまうブラックウェルさん。一体どんな方なのでしょう? 1975年、イギリスのシェフィールドで生まれた彼女は、幼い頃、森の木々に名前をつけるような空想遊びをしたり、学校の授業で物語をつくったりするのが好きだったそう。「不思議の国のアリス」やアンデルセン、グリム童話などを読んで育った彼女は、今も読書が好きだと語ります。
【はじめての本の彫刻】
大学でテキスタイルを学んだ彼女は、卒業後に旅したタイで、美しい古本に出会います。本の余白にタイ人に読まれた跡が残されているのを見て、そこに書かれている以上の何かを感じた彼女は、はじめて本を切り抜いてみようと思いつきます。また、東南アジアで紙がスピリチュアルな儀式に使われること、木から生まれ、いずれ土に戻る性質に魅力を感じ、紙でできた本を題材に活動していくことを決意します。
【制作過程】
作品をつくるとき、まず、彼女は自ら書店へ出かけ、本を探します。その際、希少な本は避け、彼女が作品に使わなければ古本屋で朽ちていくしかない本を選ぶとのこと。大好きな本を切り刻むことへの葛藤があるのですね。次にそれを読みこみ、作品をつくり始めます。最初から確固とした完成イメージがあるのではなく、イラストや紙の質感といった、本の個性に導かれるようにして仕上げていくのだそうです。
【紙の本へのこだわり】
ブラックウェルさんは、本に書かれた物語だけでなく、紙という材質や、以前の持ち主が本に残していった跡など、その本が持つ歴史をとても大切にしています。そんな彼女に近年普及が進む電子書籍についてどう考えているか、きいてみました。彼女は、「わたしの個人的な意見だし、トシのせいかもしれないけど」と前置きした上で、「スクリーンで本を読む行為は『impersonal(非個人的)』に感じる」と言っていました。
確かに電子書籍には、読んでいるときに感情が高ぶって力をこめたときの指の跡や、涙の跡は残りません。いい本は何度も読まれ、くたびれていきますが、電子書籍のデータは作られたときのまま。そんな風に、「本らしさ」も読む人の個性も、電子書籍には刻まれないのかもしれません。
また、ブラックウェルさんは、「手触りを感じながらページをめくるのも、表紙も好きなの」と言っていました。普段あまり意識しませんが、こうした文字を読む以外の行為も読書にくみこまれているのですね……従来の本と電子書籍。それぞれのメリットがあり、どちらか一方を否定するのはナンセンスですが、少なくともこんな素晴らしい作品を生み出す紙の本、なくならないでほしいものですね。
参考元:Su Blackwell
執筆=大井たま(c)Pouch
写真提供=Su Blackwell
▼記念すべき第一作。タイで出会った古本『The Quiet American』から制作。
▼風に舞う落ち葉が美しい!
▼日本人も大好きな『不思議な国のアリス』より、マッドハットのお茶会。
▼またしてもアリス。うさぎの穴が本に掘られているなんて、ニクい演出ですよね!
▼今度は『鏡の国のアリス』
▼小屋の灯りが何ともほっこりします。
▼『秘密の花園』
▼グリム童話より、『おどる12人のおひめさま』
▼ブラックウェルさんによると、「紙という素材は繊細にみえるけれど、意外に強いところが魅力」
▼幼い頃、森でよく遊んだためか、ブラックウェルさんの作品には木が多く登場します。
▼『雪の女王』
▼アンデルセン『野の白鳥』
▼ほんとうに本から飛び立っていくよう!
▼本のイラストを上手に使っているのですね。
▼おなじみ『赤ずきん』
▼細部にも注目。オオカミの影が見えますか?
▼宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』みたいですね~
▼草に注目!本当に生えているみたい!
▼『白雪姫』ですよ~
▼アラブ首長国連邦の建築物。これをみると、『アラビアン・ナイト』を題材にした作品も見たくなります~
▼イギリスのゴシック・ファンタジー小説に登場するゴーメンガースト城。
▼『星の王子様』。王子様のぽつねんと立っている姿が作品によくあっていますね!
▼こんなシンプルな作品も!
▼イギリスの草花たち。
▼読書に熱中したとき、物語がリアルに迫ってくる感じに似ていませんか?
大井たま

























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