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九州出身、だけどドラゴンズファンの記者。なぜかというと、生まれて初めて野球を観たのがナゴヤドームだったからなんです。それも、割と最近のこと。ドラゴンズファンの友人に連れていってもらったので、そのままドラファンになってしまいました。多いときは年に10回くらい、各地のスタジアムに足を運びます。

スタジアムではもちろんビール片手におつまみだよね! ナゴヤドームでの記者のお気に入りは、『からししたらば』という、カニカマの中にからしマヨネーズが入った一品。……だけど、それ以外のものが地味すぎて記憶にないんです。

同行者が買ってくるものもバラバラ。「何か買ってこようか?」と訊いても、「何でもいいよ~」と、リクエストが返ってこない。そういえば、球場弁当を食べている人を見たことがない。「球場に行ったら○○を食べないとはじまらないだろ!」 という、アツい一品が『からししたらば』以外に思いつかないんですよね。

ナゴヤ歴の浅い記者が知らないだけで、実は隠れた名物があるのでは? そこで、「ナゴヤドームでオススメの食べ物は?」を調査してみました。すると、悲惨な結果が明らかに!

【ナゴヤドーム飯をとことんdisる名古屋人】

■ 全否定派
「ドームのメシなんか、どえらいマズくて食べられたもんじゃあらせんわ」(50代男性)
「なんでわざわざ、あんなめちゃんこマズいもんを買わにゃいかんの? 高いし」(40代女性)
「食うもんないから隣のイ○ンで買っていく」(40台男性・カープファン)

うわっ! とことん全否定! ちょっとかわいそうになってきました。じゃあ、記者の好きな『からししたらば』は?

「知らん知らん!」(30代男性)

……撃沈。

■ あきらめてる派
「これしかないから、しゃあないもん」(30代女性)
「何か食べさせときゃあ、子どもが大人しくしてくれるもんでね」(30代男性)
「高速のさあ、サービスエリアみたいなもんだと思うしかないよね、サービスエリアよりヒドいけど」(40代女性)

しぶしぶ買ってるだけなんだそうです。

■ ナゴヤ球場の矢場とんが懐かしいよ派
「ナゴヤ球場のときはなあ、矢場とんの串カツがあってなあ……(以下、ナゴヤ球場の思い出話)」(60代男性)
「そりゃ、矢場とんの串カツだがや! 中日スタジアム(現ナゴヤ球場)のバックスクリーン裏にあったやつ! えっ? ナゴヤドームにはないんか? 子どものときはなあ……(以下、ナゴヤ球場の思い出話)」(50代男性)
「ナゴヤ球場で矢場トンから火事になったことがあってなあ、俺、そのときおったんだわ! ……(以下、ナゴヤ球場の思い出話)」(50代男性)

……みんなお願い! 人の話を聞いて!

名古屋でスタジアム飯の話題を振るときは、相手を選ばないと「ナゴヤ球場の思い出話」を聞かされることになるので注意です。

うーん、名古屋人は、ちょっと口が悪いだけなのかな? よーし! 現地調査してくるぞ!

【現地調査を装って野球観戦に参りました】
そしてとある日のデーゲーム。練習風景を眺めながら、まずはビール!
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乾杯っ!
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よし、1杯目を飲み干して、試合開始前に、さっさと調査を済ませてしまおう!

■ 試合開始前に売り切れる弁当
ナゴヤドームには『球弁』というお弁当がひっそりと発売されています。記者も当日知りました。売っている場所もひっそりしていますからね。行ってみると……あれ? 売り切れてる。どこに行っても売り切れです。売り切れ必須の球弁! でも、食べている人を見たことがありません。

……と、いうことは。そもそも、ほとんど数を作っていないのでは? イヤーな予感がしてきました。

■ 店員さんに売れ筋を訊いてみよう!
ナゴヤドームのテナント、それぞれで店頭に立っているアルバイトさんに、人気商品を訊いてみることにしました。

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A店「カツサンド」※すでに売り切れ

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B店「串カツ」

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C店「鳥の唐揚げ」

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D店「ふつうのビーフハンバーガー」

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E店「フライドポテト」

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F店「カツサンド」※ここもすでに売り切れ

とにかく目立つ『売り切れ』の文字。そういえば、『からししたらば』も売り切れ買えなかったことが何度かありました。

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調査に時間がかかって、試合開始後30分たっていましたが、いろんなフードが売り切れています。

■ 購入者にも訊いてみよう!
「今買ったそのフード、お好きなんですか? いつも食べてるんですか?」と、数人に突撃インタビューしてみました。

「別に。何でもええんだわ!」(男性・フライドポテトを購入)
「無難だから」(女性・串カツを購入)
「すぐ買えるから」(女性・たこ焼きを購入)

うわぁ……一切の情熱が感じられないよ!

■ 記者もフードを購入
ここで記者も、『ドラゴンポテト』、『串カツ(味噌)』を購入してみました。もちろん、『からししたらば』も。

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ドラゴンポテトは初めてみた一品ですが、できあがるまでに15分くらい待ちました。時間かかりすぎだよ! 食べごたえはあるけど、もうちょっと小さいサイズが欲しいかも。15分待ってまで欲しくない……かも。せっかく試合を観にきてるのに。

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串カツは、味噌が別になっているタイプを購入。味噌に漬けてある店舗もあります。4本ってけっこう多いですよね。1人で球場にくる人はそんなにいないだろうけど、これだと他のものが食べられないなあ。 冷めても衣がガリッとしているのはいいですね。

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記者イチオスのからししたらばは、カニカマを刻んで太めに再成型してあるタイプ。縦に裂けないので食べやすいんです。中のからしマヨネーズはかなりパンチが効いてるので、お子様注意。ただし、これと似た商品を、つい最近ファミリーマートで発見してしまったため、希少感がなくなってしまいました(涙)

■ どうしてこうなった!
名古屋人がナゴヤドーム飯を徹底的にdisっている理由が、ちょっとわかるような気がしました。では、どうして魅力がないのでしょうか? 商品のラインナップだけで判断すると、こういうことかも……。

・魅力的な商品(選手とのコラボ商品など)がないので、買い手は無難なものを買わざるを得ない
・メニューの品数が多すぎるので、売り手は人気商品に的を絞って販売できない
・他店舗とかぶる競合商品があるのに、差別化ができていない

つまり、買い手の「ワクワク感をそそる演出」が足りないんです。決して安くはないお金を払って観戦にきてるんです。フードだって、少し高いとはわかっていながら買うんだもの。野球ファンでない人でも、「球場にくるのは楽しいイベント」と思ってもらえれば、そこから新しい野球ファンが生まれるかもしれない。フードは、「球場にわざわざ足を運ぶ」というイベントを盛り上げる小道具であってほしいなあ!

と、記者が切に感じたのは、このしばらく後に訪れたヤフードームの魅力に圧倒されたからであります。

スタジアム飯シリーズは、他の球場に比べるといまいちインパクトに欠けるナゴヤドームからお届けしました。続いては、ヤフードームレポートをお送りします!

ちなみにこの日のドラゴンズは負けちゃいました。コテンパンにね!

取材・撮影・執筆=綾部 綾 (c)Pouch
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