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1/20のサイズの緻密な作りの戦車。この戦車、何でできていると思いますか? 戦車に取り付けられた牽引用ロープから、排気パイプ、爪の先ほどもないくらいの小さなネジの頭の部分まで、なんとすべてダンボールでできています! 

戦車だけでなく、このクリエイターさんはガンダムや原寸大の銃までダンボールで作っちゃう。いったいどんなミリオタ男性が作っているのかと思いきや、作っているのはなんとうら若き23歳の女性クリエイターなんです!

◼︎Amazonのダンボールと、ハサミとボンドだけで作品を作る作品たち

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そのクリエイターとは、大阪芸術大学を卒業したばかりの大野萌菜美さん。彼女が使っているのは、Amazonのダンボールとハサミとボンド。それに定規やカッター、マスキングテープなど、どこの家にもあるようなものばかり。

ダンボールで制作を始めた理由を、萌菜美さんは次のように語ります。

「もともとアニメが好きで大阪芸大に入り、大学2年生の時に立体アニメーションに進む選択したのですが、立体アニメーションって材料費がかかるんです。どうしようと思った時に手元にあったのがAmazonのダンボール。作ってみたら、ダンボールという素材が意外なほどおもしろくてハマりました」

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ちなみにAmazonにこだわっているのは、タダで手に入ることに加えて、ちょうどいい厚みで手が疲れないこと、ダンボールの色味を統一できることにあるんですって。

◼︎ミリオタでもない彼女が戦車にはまったのは「萌えポイントをくすぐられたから」

そんな萌菜美さんが戦車に興味を持ったのは、大阪芸術大学3年生の頃。オタキングこと岡田斗司夫さんが講師をやっていた授業で、岡田さんが「戦車ってキャタピラの車輪が1つ外れただけで動けなくなる」という話をした時でした。

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「『戦車って、弱い! なんかかわいい!』って萌えポイントをくすぐられちゃったんです。そこで戦車プラモを作ってみたのですが、自分で好きに形を変えられるわけではないし、怖いイメージばかり強調されてしまいます。でも、私が表現したいのは、『萌えポイント』が伝わる戦車。水に濡れたらフニャフニャになってしまうような、弱いダンボールで戦車を表現したらおもしろいかなって思ったんです」

と語る萌菜美さん。

確かに、迫力はあれど簡単にぎゅっと潰すこともできるダンボールの戦車からは、いろんなメッセージを感じます。

◼︎「萌えポイント」がないものは作らない

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萌菜美さんはガンダム、銃など、強そうなイメージのものをたくさん作っています。銃は映画配給会社の依頼を受けて作ったものですが、依頼を受けたとしても、萌菜美さんが「うわー、ダメだなあ。弱いなあ」と思うような「萌えポイント」を感じられるものでないと作れないとのこと。ガンダムには燃料がなければ巨大なオブジェになってしまうだけ、銃には弾丸がなければただ重いだけの無用なものになるといったような「萌えポイント」があったそうです。
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「萌え」を表現するために、ダンボールは極力ハサミで切るという工夫も。ハサミで切ると、ダンボールの切断面は圧迫されて少し丸みを帯びます。それが彼女の作品に温かみを加え、戦車なのにかわいく仕上がっているのです。

◼︎丸1年かけて作る予定の等身大の「人間」

そんな彼女が2015年の丸1年かけて作ろうとしているのが等身大「人間」。人造人間のような、ロボットの部分もある人間を作るのだとか。すでに両手の部分はできあがっていて、2月には頭か足を作ろうと考えているそうです。萌菜美さんにとって、今、最大に「萌えポイント」をくすぐられるものが人間だということなのかもしれません。
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◼︎何もかもお膳立てされた楽しさではないものを

萌菜美さんは言います。

「今の文化は『あるものを買って使う』『提供されたものを選ぶ』というのが当たり前になってしまっています。何か必要ならば買ってくる。遊ぶときにはゲームを選ぶ。そういった具合に、何でもかんでもお膳立てされた世界に生きている感じです。でも、それはおかしいと思うんです。

作ろうと思えば意外といろんなものが作れるし、自分で作れば愛着がわきます。何より楽しいです。ダンボールなら、お金も場所も道具もなくても物が作れます。今の文化からちょっと外れるために、手始めにまずはみんなダンボールで遊んだらいいのにって思います」

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そう話す萌菜美さんは、ダンボール戦車を作るワークショップも開催中。老若男女問わずに楽しめそうなので、是非一度行ってみてはいかがでしょうか。

<ワークショップ情報>
「大野萌菜美から直に学ぶ!ダンボール戦車ワークショップ」
制作戦車:ドイツヤクトタイガーかドイツティーガー戦車(どちらか1台) 1/25スケール
日時:前編2/15(日)、後編2/22(日)
場所:ワニスタ(東京都台東区元浅草1-15-9 地下鉄 稲荷町・新御徒町より徒歩3分)
時間:午後1時〜4時(初めて参加する場合は、1時時間厳守で!)
費用:前編・後編の合計6,000円+材料費1,500円で、7,500円(材料費・税込み)
備考:ダンボールはすでにパーツ状態にカット済み。 小学生の図工と同程度の工作レベルです。
持ち物等、詳しい情報はこちらをご覧ください:
https://www.facebook.com/events/346510618884122/

取材協力、写真的強=大野萌菜美さん
取材、撮影、執筆=FelixSayaka (c)Pouch

▼ワークショップで作る戦車のうちの1つ▼

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▼銃の引き金までダンボール。細部にもこだわっています▼

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▼作品に一切着色せず、ニスも塗らないのが、かえって味を出しています▼

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