uji
皆さんは学生のころ、古典って好きでしたか? キライ、苦手だったって人も多いのではないでしょうか。古文を読んでも意味がわからない、かといって現代語訳を読んでもちっとも面白くない……これじゃあ好きになれなくてもしょうがないですよね。

今回ご紹介するのは、芥川賞作家・町田康さんによる「こぶとり爺さん」の現代語訳……そのタイトル、「奇怪な鬼に瘤を除去される」。いやいや、タイトルからしてふざけてますって!

こちら、『宇治拾遺物語』の中の一話で、皆さんもよく知るあの優しい爺さんと意地悪な爺さんのお話なんですが……これがめちゃくちゃ、めっちゃくちゃ面白いっ!! 今まで読んだことないような新感覚すぎる現代語訳として衝撃を受ける人が続々と出ている様子。

マジでパねえ鬼に爺さん……まさか「こぶとり爺さん」読んで大笑いすることになるとは思わなかった!

【ポップすぎる鬼&爺さん】

町田さんの現代語訳、読んでいてキラリと光る表現は山ほど出てくるのですが、たとえばこんな一節。

「最高。今日、最高。でも、オレ的にはちょっと違う感じの踊りも見たいかな」
リーダーがそう言うのを聞いたとき、お爺さんのなかでなにかが弾けた。
お爺さんは心の底から思った。
踊りたい。

もうね、読んだ瞬間、私(記者)の中では鬼の集団はヒップホップ系のヤンチャなグループとして即座に脳内変換されちゃった。そのパーティーに迷い込んじゃった哀れな爺さんだなんて、設定として面白すぎる。しかも爺さん、まさかの「怖い、けど踊りたい」って葛藤するっていう。もう無茶苦茶すぎて最高!

【瘤、いこうよ、瘤】

そしてやっぱりいちばんはここ。「瘤を取らないでくれ」と訴える爺さんに鬼のリーダーが放ったひとこと。

「ここまで言うんだからマジじゃね? やっぱ、瘤、いこうよ、瘤」

解説するのも野暮なんですが、「瘤を取ってやろう」という表現を「いこうよ、瘤」ってするセンス! これはもう町田康さんならではのセンスといえましょう。

【衝撃を受ける人、続出】

町田康さんの宇治拾遺物語現代語訳を読んだ人たちの声をTwitterで見てみると、

・町田康が現代語訳した宇治拾遺物語。こぶ取りじいさんとか、知ってる話もあるんだけど、「若い鬼がポップでフリーな即興の歌詞を歌いながら」とか、「あり得ないルックスの鬼」とかやりすぎな訳でかなりいけてる!古文の教科書もこれくらい親しみ易さがあればよかったのに。
・町田康さん訳の「宇治拾遺物語」、「奇怪な鬼に瘤を除去される」(こぶとりじいさんの原話)は鬼たちの宴会がEXILEオーガナイズのパーティに脳内で変換されるというマジックが体験できます。
・ちょうど読んでる途中だけど笑いが止まらなくて本当にやばいのでみんな読んでみな。
・日本文学全集「宇治拾遺物語」町田康訳読んでるがおもしろすぎてとまらないし、一話終わるたびにひとりで”何の話やねん”とツッコミ、さらには”おほほほほぉ”と爆笑している。
・町田康さん訳の宇治拾遺物語、本気で面白い。予想斜め上すぎて何度吹いたことか…「マジ、出家しよ」って本当に書いてあるwww

などあまりの面白さにノックアウトされる人が続出しています。

【河出書房のサイトで無料公開中!】

町田康さんによる現代語訳「奇怪な鬼に瘤を除去される」は『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08』に収録。現在「河出書房新社」のサイトで無料公開されていますので、まずはそちらから読んでみて。きっと他の現代語訳も読みたくなるはず! もし昔、古典の教科書にこんな面白い訳が載っていれば、もっともっと興味を持って勉強できたのにと思わずにはいられません。

参照元:町田康訳「奇怪な鬼に瘤を除去される」(『宇治拾遺物語』より)
執筆=鷺ノ宮やよい (c) Pouch

▼『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08』。表紙の帯装画はしりあがり寿さん!

tumblr_inline_nuv8lwIRMa1tzxp5o_500

▼河出書房新社によるツイート。“笑ってはいけない「宇治拾遺物語」へようこそ”