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全体的に暗めのトーン、色は多くを使用しない。フォルムは洗練されたグラマラス、どこかアンダーグラウンドな雰囲気を漂わせるファッションの端々からは、物語を感じさせられる……。

リック・オウエンス(Rick Owens)がフランス・パリで行った2016年春夏コレクションのランウェイには、このブランドならではの特徴が全面に表れています。

とりわけ「物語を感じさせられる」ことについて強調されているのが、今回のショーの特長で、タイトルは「CYCLOPS(サイクロプス、ギリシャ神話に登場する巨人種の名前)」。

ところが、ショーの公式動画を見てみると……颯爽と歩くモデルたちに交じって、なんと、逆さになった人の両足を肩に担ぎ、前にぶら下げるように抱っこしている(!)モデルが登場

他にも、逆さになった人の両足を同じように肩にのせ、手を使わずにおんぶして歩いているモデルさんもおりまして。もはや空いたお口が塞がらないっ。

なのに、モデルさんたちは一様に涼しげに、ランウェイを通り過ぎてゆくというシュールな演出。観客らが度肝を抜かれたことは想像に難くありません。

【どんな思いで「人間リュック」しているんだろう……】

コンクリートがむき出しの無機質な会場に現れたモデルたちが身にまとっていたのは、ベージュにカーキ、ブラック、そしてホワイトといったシンプルでベーシックなカラー。

しかしながら、そのかたちは独特、ドレープや布のうねりが生み出すフォルムにより、類を観ない存在感を放っています……とかなんとか語ってしまいましたが、記者(私)としては、やっぱり気になる。逆さになった人間を肩に乗っけたまま真顔で歩いているモデルさんたちの心情が、気になって仕方がないよおおお!! 

【完全に一体化しています】

モデルさんの肩へ両足をひっかけた状態で、ブラ~ン。ぶらさがったモデルさん、そして彼女たちをかついでいるモデルさん。両者が “一体化” しているかのようなその様相は、ハッキリ言って異様です。正直、ちょびっと怖いです。

【プロのダンサーたちが活躍】

海外サイト「Vogue」に掲載された、ショーのキャスティングディレクター、アンガス・マンロー(Angus Munro)さんのお話によれば、彼らのチームはこの世界観を実現するために、パリをベースに活躍するダンサーたちを総チェックしたのだそう。

鍛錬を重ね、上半身が強い女性たちを選び抜き、まるで組み体操のような「抱っこ&おんぶ」スタイルのランウェイを、見事かたちにしたのだそうよ。

【ダンサー「めちゃめちゃ苦労した」】

とはいえ、ダンサーたちの最高レベルに鍛え上げた肉体を持ってしても、今回のショーは相当苦労を伴ったとのこと。

そりゃまあ、そうでしょうね……。「ファッションショーの仕事が決まったよ!」って言われてついて行ったら、「犬神家の一族」ばりの、逆さ吊りの格好をキープするように言われるだなんて、きっと想像もしていなかったと思うよ、うん。

【意表を突くショーを数多く展開してきたリック・オウエンス】

人形かと思いきや、まさかの “本物の人間” というサプライズ。

ちなみに海外サイト「Fashionista」によると、リック・オウエンスの「2015秋の女性服のショー」では、モデルたちが顔全体にシルバー・ゴールド・イエローゴールドの金箔を貼付けて登場しております。今回の演出に負けず劣らず “攻めて” るっ。

【ショー自体を楽しみに来ている人も少なくなさそう】

ここまで来ると、もはや奇抜な演出は、お家芸。彼のコレクションを観る人々の間では、もしかすると、その演出が楽しみで来ている人も、いたりして? 

な~んて想像をついつい巡らしてしまう同ブランドのショー。その驚きの全貌を、それではたっぷりとお楽しみくださいませ~!

参照元:YouTube(Rick Owens) Vogue Fashionista
参考:Rick Owens
執筆=田端あんじ (c)Pouch

▼モデルをつとめた皆さま、お疲れさまでした……!!