街でたまに見かける「2DK・月額9万円・敷金1カ月・礼金1カ月」など、簡単な説明しか書かれていない張り紙がズラリと並ぶ、古くからある不動産屋さん。
アニメ『サザエさん』に出てくる花沢さんのお父さんのお店「花沢不動産」も、まさにこういったタイプの不動産屋さんだったような気がします。そしてカツオがいつ尋ねていっても、お店はガラガラ……。
しかし花沢さんのお父さんは、カツオにうな重をご馳走してくれるなど太っ腹だし、いつもにこやか、かつ常に穏やかで、とても生活に困っているようには思えない。失礼ながら儲かっているようには見えないのに、なぜ「花沢不動産」は存続できているのでしょう?
その疑問を解決してくれるのが、齋藤 智明さんの著作『サザエさんの「花沢不動産」はなぜ潰れないのか?』(宝島社)です。
【カツオの特性=不動産業に適した特性】
著者の齋藤さんは、プロの不動産業者。
彼の視点で「花沢不動産」をのぞいてみると、花沢不動産はいったい何で儲けているのか、その答えが丸わかり! そのほかにも「花沢不動産が磯野カツオを欲しがる理由」なども推測されておりまして、そこから不動産業に適した特性というものが見てとれます。
【家を借りるとき絶対参考になる】
不動産の世界とその儲けのカラクリ、お金のこと。知りたくても知る機会がなかった「不動産」にまつわるアレコレがたっぷり詰まった同書は、今後生きていく上で誰もが直面する「家を借りる」「家を買う」という体験においても、強い味方になってくれることでしょう。
【不動産屋を見分けるポイントは「広告」にあり】
「磯野邸の資産価値」など、興味深いテーマが満載な同書の中で、記者(私)が特に気になったのが、家を借りる上で参考になるであろう、いくつかの項目です。
たとえば「第2章 花沢不動産はなぜ潰れないのか」にある、「店頭広告は不動産屋を見分けるポイント」、という項目。
・店頭広告の場合
物理的にどうしても遅れが出てしまうのか、ただの怠慢なのか、はたまた意図的な「おとり広告」なのか。理由はさまざまあるでしょうが、いつも同じ店頭広告を貼りだしている不動産屋よりも、情報をこまめに更新している不動産屋のほうが安心できるのでおススメである。
・インターネット広告の場合
インターネットで気にいった物件を見つけて、問い合わせをしたとする。しかし相手の不動産屋からは「その物件はもう契約が過ぎてしまったので、別の物件を紹介する」との返答が。こういった場合は「おとり広告」である可能性が高いので、その不動産屋にお世話になることはおススメできない。
街中はもちろんインターネット上にもたくさん存在する、不動産情報。どうせなら、信頼できる不動産屋と出会いたいもの。だからこそこの「不動産屋の見分け方」という項目は、借り手にとって非常に参考になります。
【知っておきたい「仲介手数料」のこと】
一方「第4章 花沢不動産が直面している問題」にある、「花沢不動産はしっかり仲介手数料を取るべき」という項目も、ぜひ一読してほしい部分。
「仲介手数料無料」のからくりには様々なパターンがあるようで、「結局は礼金を多く支払っていた」「仲介料がないからか、サービスの質が低かった」といったトラブルも少なくないのだそう。こちらも信頼できる不動産屋さん探しをする際、見るべきポイントになるのではないでしょうか。
【「不動産のお守り」になる1冊☆】
このように「借り手」はもちろん、「買い手」「貸主」になった場合に、参考になる情報も満載。あとがきで齋藤さんもおっしゃられておりますが「いつか役に立つ “不動産のお守り” 」になり得ると、読み終えた瞬間に感じた次第です。
新生活がスタートする季節は、もうすぐそこ。近々家を借りる、あるいは買う予定がある方は、さっそく同書に目を通してみてはいかがでしょうか。
参照元:宝島社
撮影・執筆=田端あんじ (c)Pouch
▼「磯野邸の資産価値」も必読です
コメントをどうぞ