オーストラリアでカフェやバーに入り、他の人たちの話に耳をかたむけていると、あることに気がつきます。それは、オーストラリアの人たちがやたらと「チャー」「チャー」言っているということ。
チャーって、なんだ? 英語のあいさつにそんなのがあるとは習わなかったし……あ、たむらけんじさんのギャグか? ってそんなわけないしね……。
じつはこの「チャー」、覚えておくとオーストラリアの旅行がちょっとだけ、楽しくなるかもしれない便利な言葉なんです。
【「チャー」は親しみをこめた感謝の言葉】
英語で「ありがとう」を意味する言葉といえば、まず思い浮かぶのは「サンキュー(Thank you.)」ですよね。オーストラリアには、もう少し親しみを込めた、一番簡単で手短なお礼の言葉があるのです。それが、「チャ―(TA)」。正確な発音は「タ」のようですが、私にはどちらかといえば、「チャー」と聞こえるのです。
【「チャー」の使いかた】
誰かに何かをとってもらったら「チャ―」。
お店で商品を受け取るときに「チャ―」。
仕事を手伝ってもらったら「チャ―」。
日本でいう「どうも」みたいな感覚で「チャ―」。
もうとにかく日常が「チャー」でまみれてます。これでもかというくらいチャーが聞こえます。男女関係なくチャー。大人も子どももみんなチャー。軽く「ありがと!」っていうようなときはみんな「チャー」なんです。
ちなみに2、3歳の子どもは、何かほしいときに手を出しながら「チャー」と言うみたいです。日本でも同じように、子どもがよく「ありがとー」って言いながら「(それくれるよね?くれないわけないよね?)」って無言の圧力をかけてきますよね。
【どうして「チャー」なの?】
オックスフォード現代英英辞典には、「もとはイギリス発祥の幼児語。Thank youの短縮形」とあります。つまりは、サンキューを縮めて、チャー。
オーストラリアはもともとイギリスからの移民でできた国。それゆえ、イギリス英語由来の言葉が多く使われています。チャーもそのひとつですが、元の「幼児語」というところからは少し離れて、現在オーストラリアでは大人もみんな「チャー」言います。
【「チャー」の発音のしかた】
スペルはTAですが、実際に聞くと限りなく「チャ―」に近いです。桑田佳祐、河村隆一、両氏の「た」の音を想像していただくとわかりやすいかと思いますが、吐き出される息の量が多く「た」ではなく、「ちゃ」に聞こえます。あの感覚です。
そして、語尾は投げやりに、伸ばすでもなく止めるでもなく、チャの勢いはそのままで、声になるかならないかのギリギリのラインで、かすかに息は残ってるような感覚でいてください。それが、オーストラリアならではのお礼の言葉「TA」です。
みなさんも、オーストラリアに来た際には、ぜひカフェでコーヒーを受け取るとき、お店でおつりを受け取るときなどに「チャ―」と言ってみてください。たぶん、お店の人も、あなたの次に並んでる人も「チャ―」って言いますから。
撮影・イラスト・執筆=Black sky (c)Pouch
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