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7月13日(水)は「オカルトの日」。1974年(昭和49年)のこの日、オカルトブームの火付け役となったアメリカ映画「エクソシスト」が日本で初公開されたことから、オカルト文化を記念する日としているものです。

今日は記念日にちなみ、オカルト話をひとつ。記者(私)が、ある夏休みに体験した不思議なできごとをご紹介します。

【広い和室で寝ていると…】

お盆の時期は「あの世からご先祖様が帰ってきているので、不思議なことがよくある」といわれています。

夏休み、父の実家を訪れたときのことです。日中は祖父母やいとこたちと花火をしたり、プールへ行ったりして楽しく遊び、夜はみんなで布団を並べて寝る、という日々を過ごしていました。

そんな、ある晩のこと。ふと目を覚ますと、部屋の空気がなんとなく、いつもとは違う。私は布団の中でうつ伏せになり、枕の上に顔を乗せて部屋の様子をうかがっていました。

部屋の奥にはテレビがあり、その上に置いてあるデジタル時計がオレンジに光って「01:50」という時刻を示していました。

そのテレビの横に、青い縦縞の着物を来た男性が立っているのです。男性は時計に手をふれながら、横向きに立っています。寝ている私から男性の顔は見えず、着物姿の彼をオレンジ色の灯りがぼんやりと浮かび上がらせていました。

あ、おじいちゃんだ、と思ったのですが、それにしては様子がおかしい。何してるんだろう? 

というか、人ってあんなに微動だにせず、同じ場所で動かないでいられる……?

私は、次に起きた時に、まだそこに立っていたら声をかけてみようと決めて、なんとか寝ようと試みました。しかし男性の様子が気になって、どうにも眠れません。

「きっとあれは、おじいちゃんに違いない。トイレに行くついでに、時計の調子がおかしいから様子を見ているんだ」とむりやり考えることにして、私は布団にもぐりこみました。

【ふと目が覚めると】

私は少しだけウトウトし、また目が覚めたので部屋の様子をうかがってみました。デジタル時計の数字は「02:10」になっていました。そしてなんと、時計の横にはまだ男性が立っているのです。しかも、20分経ったにも関わらず、まったく同じ場所に、同じ姿勢で。

怖くなった私は、となりで寝ている弟を起こそうと布団の中から弟の脚に触ってみましたが、目を覚ます気配はありません。祖父に似た男性は、ただ黙って、じっと立っています。

そして、私はあることに気づきました。布団におじいちゃんが寝ていたら、どうしよう? おじいちゃんがそこにいるなら、テレビの横にこうして立っているのは……!

私はどうしても、同じ部屋に寝ているはずの祖父の方を見て確かめる、その勇気が出ませんでした。

……。

【やがて朝に】

いつのまにか寝てしまったようで、朝が来ていました。

私は朝食の席で祖父に「ゆうべ、テレビの横に立ってるのを見たんだけど、あれは何だったの?」と思い切ってたずねました。

祖父は「ああ、それはデンパショウガイだよ」と言って、テレビの画面を指差しました。テレビには高校野球の中継が写っていました。メインのピッチャーの横に、ブレたピッチャーが2人、ボヤボヤと写っています。

「おじいちゃん……テレビの中の人じゃないんだけど……テレビの外側に立ってたんだけど……。」と私は言いましたが、祖父は耳が遠く、同じ話を何度もしているうちにちょっと不機嫌に。それで私は、それ以上聞くのをやめてしまいました。

その後、男性の姿を見る事はありませんでした。夢にしてはあまりにはっきりと見えた、あの着物姿の祖父にそっくりな男性。祖父だったのか、そしてもし、そうでないのなら……あれは、いったい誰だったんでしょう?

今となっては遠い夏のこと。すでに祖父も世を去っています。このできごとも、不思議で懐かしい夏の思い出です。

画像:ぱくたそ
執筆=はちやまみどり (c) Pouch