【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのは映画『コンフィデンスマンJP』(2019年5月17日公開)です。フジテレビの月9ドラマとして人気を博した信用詐欺師(コンフィデンスマン)のトリオを主人公にしたコメディドラマの映画化。本作はドラマよりも詐欺のレベルがスケールアップしており、めっちゃ楽しいですよ! では物語から。
【物語】
欲望にまみれた大金持ちから大金を奪う「コンフィデンスマン(信用詐欺師)」のダー子(長澤まさみ)、リチャード(小日向文世)、ボクちゃん(東出昌大)。
新しいターゲットは香港マフィアの女帝ラン・リウ(竹内結子)。彼女が所有する伝説のパープルダイヤを狙って、3人は香港へ向かいます。さっそく占い師になりすましてランに近づこうとしますが、そこにヤクザの赤星(江口洋介)やダー子の元彼のジェシー(三浦春馬)がからんでくるのです。
【二転三転する展開で観客を驚かせる楽しい企み】
結論から申しますと、思い切り騙されました! 『コンフィデンスマンJP』の素晴らしさは、ダー子たちがターゲットを騙す手口を観客に見せつつも、最後は観客も思い切り騙されるところでしょう。特にドラマ版を観ているファンは、彼らが最後にどんでん返しを仕掛けてくるのがわかっているのに騙されちゃうという……。本当に練りに練られた脚本なのだと感服します。
【ダー子の元カレが登場する “ロマンス編”】
本作とドラマ版が決定的に違うのは、ダー子の恋愛に触れていることです。ドラマでは3人の家族、過去、恋愛など個人情報は完全に封印。しかし、映画ではダー子の元カレで結婚詐欺師のジェシーが登場し、彼女の失恋経験も語られます。
妙にしんみりするダー子が見られるのですが、個人的にはそこが少しゆるいと感じたんですよねえ……。やっぱりダー子には「私のオサカナちゃん!(ターゲット)」とハイテンションで弾けまくっていてほしい!と、思っていたのですが、このロマンスがラストに驚きの展開を見せるのです。やはり一筋縄ではいかないコンフィデンスマンたち。さすがです!
【ドラマを見ていなくても無問題!】
ターゲットを騙すためにさまざまな職業人に変装するのがお約束のダー子。本作では24変化を披露します。そしてゲスト出演の竹内結子さんは、あの「ナッツ姫」を彷彿させる「氷姫」として登場し、結婚詐欺師のジェシーを演じる三浦春馬さんは、春馬史上最高に甘いセリフで女性陣をとろけさせます。
もともと1話完結のドラマだったので、連ドラを見ていない人が映画を見ても無問題。とにかく見どころ満載でスカっと楽しく騙してくれますよ! テーマパークに遊びに行く気分で劇場へと足を運んでくださ~い。
執筆:斎藤 香 (c)Pouch
『コンフィデンスマンJP』
(2019年5月17日より、全国東宝系にてロードショー)
監督:田中亮
脚本:古沢良太
出演:長澤まさみ 東出昌大 小手伸也 / 小日向文世
織田梨沙 瀧川英次 Michael Keida / 前田敦子 佐津川愛美 岡田義徳 桜井ユキ
生瀬勝久 山口紗弥加 / 小池徹平 佐藤隆太 吉瀬美智子 石黒 賢
竹内結子 三浦春馬 江口洋介
(C)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会
▼予告編
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