【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのはディズニー映画最新作『ラーヤと龍の王国』(2021年3月5日映画館&ディズニープラスプレミアアクセス同時公開)です。

2021年、ディズニーからニューヒロインが誕生しましたよ。その名もラーヤ!

試写で観させていただきましたが、よかったですよ~! では物語から。

【物語】

龍の王国「クマンドラ」は、聖なる龍に守られ、人間と龍が共存する平和な国でした。そこに邪悪な魔物「ドルーン」が現れ、龍を滅ぼし、多くの人間も犠牲になります。残された人間たちは分断されてしまい、信じる心を失い、憎しみあうことも……。「龍の石」の守護者一族の娘ラーヤは、バラバラになった世界をひとつにしようと伝説の最後の龍「シスー」を探す旅に出ることにするのですが……。

【人を信じられないヒロイン、ラーヤ】

結論から言いますと、さすがディズニー映画、エンタティメント性とメッセージ性がいいバランスで融合した作品で楽しかったです!

壊された王国の復活をかけてヒロインが戦い抜く物語なのですが、彼女は昔のトラウマで人を信じられません。それが物語の枷になっています。

ラーヤと父親は、魔物に破壊されて5つに分断した国を統一しようと各国に働きかけますが、実は5つの国がみんな同じ思いでいるわけではなく……。偉大な力を持つ「龍の石」をめぐる争いの末に石はバラバラになり、魔物が暴れ、大切な国が崩れてしまいます。

そして、ラーヤは人を信じられなくなるのです。「裏切られた。信じた私がバカだったわ!」というわけですね。

【旅の仲間たちが個性豊か!おすすめは赤ちゃん詐欺師のノイ】

とはいえ、ラーヤは基本的に正義の人なので、殺伐とした世界を救い、石にされてしまった国を復活させたいんです。

それには龍の力が必要なので、彼女は龍の生き残りのシスーを目覚めさせます。シスーの復活をきっかけに、シスーと相棒のトゥクトゥク(超かわいい!)と共に分断された国をまわり、仲間を増やし、龍の石を手に入れていきます。

この仲間たちがいいキャラなんですよ。中でも赤ちゃん詐欺師のノイは最高。

3匹の猿みたいな動物オンギを従えて、赤ちゃんの可愛さを武器に泥棒を働く。ものすごい身軽でぴょんぴょんと障害物を乗り越えて逃げてしまうわ、表情豊かで可愛かったり邪悪だったり、ずっと見ていたい面白さ。

ちょっと『ボス・ベイビー』にかぶるけど、ノイのスピンオフを作ってほしいくらい!

【女性の背中を押してくれるディズニー映画】

『ラーヤと龍の王国』は、アジアのエキゾチックワールドが美しく映し出され、アクションもスピード感があり、素晴らしい映像美が続きます。

何よりヒロインのラーヤが、トラウマに苦しみ、心に傷を負いながらもちゃんと前進していく姿はたくましかった。『ムーラン』も闘うヒロインだったし、『アラジン』のジャスミンも自立するプリンセスだったように、作品を通して女性の背中を押してくれるのがディズニー映画の魅力。そんな作品がまたひとつ増えたことはうれしい限りです。

ちなみに『ラーヤと龍の王国』は劇場公開に加えディズニープラスプレミアアクセスでも動画配信されています。劇場へ行けない方は動画配信での鑑賞も選べますよ。詳細は『ラーヤと龍の王国』公式サイトをチェックしてくださいね。

執筆:斎藤 香 (c)Pouch

ラーヤと龍の王国
(2021年3月5日より、全国ロードショー&ディズニープラス プレミア アクセス 同時公開
監督:ドン・ホール(「ベイマックス」)、カルロス・ロペス・エストラーダ(「ブラインドスポッティング」
声の出演:ケリー・マリ・トラン、オークワフィナ、ダニエル・デイ・キムほか
日本語吹き替え版:吉川愛、高乃麗、森川智之
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