夏になると観たくなる、ホラー作品。この夏、日本に世にも恐ろしいチリ発のストップモーション・アニメーションが上陸しちゃいます。

本作がいかに恐ろしいかーーー。その答えは「ミッドサマー』のアリ・アスター監督がひと晩に何度も鑑賞&自ら監督にコンタクトを取った」というエピソードに集約されています。

あのアリ・アスター監督が「ひと晩に何度も観た」というだけで、震えるほどコワいんですけど……!

【あらすじ】

チリの2人組監督クリストバル・レオンさん&ホアキン・コシーニャさんによるストップモーションアニメ『オオカミの家(原題:La Casa Lobo)』。

物語の舞台は、美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。「助け合って幸せに」をモットーとするその集落には、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていました。

ある日のこと、ブタを逃がしてしまったマリアは、厳しい罰に耐えられず集落から脱走。逃げ込んだ家で出会った2匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名前を付けて、世話をすることにします。

安心したのも束の間、森の奥からマリアを探すオオカミの声がーーー。さらには、子ブタが恐ろしい姿に形を変えて、家は悪夢のような禍々しい世界へと変貌を遂げるのです……。

【アリ・アスターが惚れ込んだ=恐怖しかない】

ピノチェト軍事政権下のチリに実在した「コロニア・ディグニダ」、というコミューンにインスパイアされた本作。

製作に5年の歳月を費やした結果、第68回ベルリン国際映画祭をはじめ、名だたる映画祭で賞を受賞するまでになりました。

輝かしい経歴もさることながら、やはり「『ミッドサマー』のアリ・アスター監督がひと晩に何度も鑑た」というエピソードほど説得力があるものはない!!!!!

アリ・アスター監督は、

「レオン&コシーニャは、まぎれもなくヤン・シュヴァンクマイエルとクエイ兄弟の後継者だ。『オオカミの家』のような作品が作られたことは、過去に1度もない!」

と大絶賛しており、彼が褒めれば褒めるほど、なぜか恐怖感が高まると思いませんか……。

日本公開に先がけて公開されたポスタービジュアルもなかなかの恐ろしさ。マリアの顔がおどろおどろしくコラージュされているほか、なぜか子ブタの手足が長く描かれていてまるで人間のよう……!

【同時上映作品も怖いです】

レオン&コシーニャ監督とコンタクトを取り、意気投合したアリ・アスター監督は、自身の最新作『Beau is Afraid』内の12分にもおよぶアニメ・パートを依頼したそう。

さらには、今回同時上映される短編『骨(原題:Los Huesos)』の製作総指揮にも名乗りを上げました

1901年に製作された世界初のストップモーションアニメという設定の『骨』。

「2021年、新憲法草案の議論が進むチリで、ある映像が発掘された。それは、少女が人間の死体を使って謎の儀式を行っているもので……」

といったストーリーからしてすでに恐ろしいけど、観たい気持ちと恐怖がせめぎ合う〜〜っ!

『オオカミの家』&『骨』は2023年8月よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開されます。背筋が凍るヒンヤリ体験をしたい人は劇場へGO☆

参照元:『オオカミの家』公式サイトTwitter @lacasaloboJP、プレスリリース
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018、© Pista B & Diluvio, 2023