
医療従事者や介護者ではなく、認知症当事者の視点から、日常で起こる困りごとをまとめた「認知症世界の歩き方」。認知症の人から見た世界を自分ごととして体験できるプロジェクトです。
以前Pouchでは、誰でも体験できるWEBコンテンツおよび第1弾書籍『認知症世界の歩き方』をご紹介しました。
今回ご紹介するのは、第2弾書籍『認知症世界の歩き方 実践編 〜対話とデザインがあなたの生活を変える〜』(issue+design出版 / 1980円〜)。
読んでみたら、1家に1冊置いておきたくなる本だったんです!
【テーマは「対話」と「デザイン」】
ついさっき朝ごはんを食べたばかりなのに、30分も経たないうちに「ごはんは?」と言う。家族に財布を盗まれたと思い込む。ふとどこかへ出かけて迷子になってしまうーーー。
『認知症世界の歩き方 実践編 〜対話とデザインがあなたの生活を変える〜』では「認知症世界」という架空の世界を冒険しながら、認知症の方が直面している困りごとを知り、解決する方法を考えていきます。
旅の相棒は「対話」と「デザイン」。
認知症の方と「対話」することで理解を深めて、認知症の方が暮らしやすい環境を「デザイン」する。そうすれば、認知症の方も、その家族も、過ごしやすくなるはずです。
【行動の背景にある理由を推理→解決法を探す】
旅のスタート地点は、前作と同じ「ミステリーバス」。過去・現在・未来のことが全部わからなくなってしまう「ミステリーバス」は、まさしく認知症の方が見ている世界そのものです。
たとえば、「電車から降りられない男性」の事例。
いつものように出勤したものの、乗換駅に到着したのに降りることができず、終点まで行ってしまった。運転手さんに、結局どこで降りたかったのか尋ねられても答えられない……。
本書ではまず、なぜこのような事態が起きたのか推理します。考えられる理由は次の3つ!
①駅名を聞いても降車駅と気づけなかった or なぜ電車に乗っているかわからなくなった
②電車とホームの間の溝が怖くて降りれなかった
③身体が思い通りに動かなかった
①は、認知機能のトラブルによって、記憶情報の想起が難しかったケース。
私が予想できなかったのは②と③で、自分と対象物との距離や幅を正確に把握できなかったり、足が思い通りに動かなかったり……という場合があるという事実が「発見」でした。
推理の次は、どう対策すればいいのか「アイデア」を提案しています。
行き先や経路を書いた資料を持ち歩く、降りる時間にアラームをかける、予行演習をするなど、具体的な対策を挙げてくれているので、すぐにでも実行できそう!
【偏見を持たない、尊厳を奪わない】
このように、1つ1つの事例を知って、推理して、理解を深めて、対策を学んでいく本書。
とりわけ印象的だったのは、「偏見をもたない」「認知症当事者の尊厳を奪わない」という2つのことに重きを置いている点です。
「認知症だから」とひとくくりにするのではなく、行動の背景に存在する理由、認知機能の障害を丁寧に探ることが大切です。
また、トラブルを防ぐために、認知症の方からなにかを取り上げる、禁止する、諦めることは、本人の尊厳を損ないかねません。
自立した行動を可能なかぎり続けることが、認知機能の維持にもつながるそうで、もしもの事態に備えて心にとどめておきたいものです。
【不安な人こそ読んでほしい】
本書には、対話の仕方や、困ったときに頼れる具体的な対策(デバイスやアプリなど)も収録。
強いにおいや光のしげき、複雑で細かい操作など、認知症の方が暮らしにくさを感じるポイントを探り、解決していくページもあります。
ほぼ全ページにイラストが描かれているので、読みやすく、必要な情報を拾いやすいので、普段本をあまり読まない人にもオススメしたい!
私は本書を読んで、なによりも、「認知症への理解を深めることで不安が軽減する」ことに気づかされました。
超高齢化社会のいま、誰もが認知症に直面する可能性を秘めています。そして、認知機能のトラブルは、高齢者だけでなく誰にでも起こりうるのです。
参照元:認知症世界の歩き方カレッジ、楽天
執筆・撮影:田端あんじ
Photo:(c)Pouch
田端あんじ





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