超高齢化社会を生きる私たちにとって、切っても切り離せないのが「認知症」。

家族をはじめ、親戚や近所の人など、身近な人が認知症だというケースもあると思います。

そんな認知症を変わった形で知ることのできるWEBサイトがあります。その名も「認知症世界の歩き方」。

認知症未来共創ハブという団体がおこなった約100人のインタビューをもとに、どんな世界をみているのか、旅するよう経験できるサイトになっているのです。

【認知症世界を “旅” してみる】

医療従事者や介護者ではなく、当事者の視点から、日常で起こる148の困りごとをまとめた「認知症世界の歩き方」。

困りごとの背景として考えられる「44の心身機能障害」を結び付けた、全13のストーリーが公開されています。

ストーリーの舞台は、「認知症世界」。

動画の視聴者は、この世界にたどり着いた旅人となり、あちこちを冒険。

場所を変えるたびに起こる、様々な出来事を通して、認知症の方が直面している困りごとを体験していきます。

【自分はどこから来て、どこに向かっているの?】

旅の始まりの場所は、認知症世界の玄関口・ディメンシア港。

港の目の前にある「島内周遊バス」に乗り込んで目的地へ向かおうとしますが……いざ出発してみたら、ここがどこなのかわからない!

それどころか、なぜバスに乗っているのかも、自分がどこから来たのかもわからない!

実はこのバスは、乗り込んでしばらくすると、過去・現在・未来のことが全部わからなくなってしまう不思議なバス。

そしてまさしくこのシチュエーションこそが、認知症の方が体験していることそのものなのです。

【旅してみてようやくわかること】

旅の道中に出くわすのは、

・目に焼き付けたはずの絶景の記憶を真っ白に消し去ってしまう「ホワイトアウト渓谷」
・昔の記憶が今起きているように感じ、夢中になってしまう街「アルキタイヒルズ」
・正しい時の流れの感覚を完全に失ってしまう「トキシラズ宮殿」

といった場所。

中でも強く私の印象に残ったのは、入浴するたびに温度や匂い・肌触りなどが変わる「七変化温泉」。

認知症に伴う心身機能障害として考えられる「体性感覚や味覚・嗅覚が鈍感になる」を再現したストーリーなのですが、そういったことが起こりうるなんて知らなかった……!

ですが、こうして知ることで「自分ごと」として考えられるので、より理解が深まる気がします。

【認知症は誰もがなりうる症状です】

「認知症世界の歩き方」は、当事者と家族、支援者や研究者など様々な人々と、認知症とともによりよく生きる未来をつくることを目指して活動する「認知症未来共創ハブ」と、ソーシャルデザインプロジェクト「issue+design」によるプロジェクト。

動画・書籍・ゲームと、いろんな角度から、認知症についての理解を深める取り組みを行っています。

ちなみに……「認知症世界」で起こる出来事は、認知症かどうかに関わらず、誰もが直面する可能性があるとのこと。

加齢などに伴う認知機能の低下・心身の疲れ・不慣れな環境での生活などが原因で、起こりうることもあるんです。

私にとっては、この事実を知れたことも大きな発見でした。動画は1本につき1分半ほどで、気軽に観ることができるので、ぜひご覧になってみてください。

参照元:認知症世界の歩き方認知症未来共創ハブissue+design
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:©︎2021 issue+design

▼書籍
「認知症世界の歩き方」著者・筧裕介/ライツ社