海外で超話題になっている映画『Saltburn(ソルトバーン)』をご存じでしょうか?
TikTokで「#saltburn」と検索すると大量の動画がアップされているし、劇中に登場する2001年の大ヒット曲『Murder On The Dancefloor』は23年ぶりのリバイバルヒット!
ゴールデングローブ賞のノミネートをはじめ数々のショーレースを席巻し、ノミネートは逃したもののアカデミー賞候補としても有力視されました。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Amazon Original『Saltburn』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
オックスフォード大学に入学した苦学生のオリヴァー。学校になじめずにいましたが、貴族階級の美青年・フィリックスと仲良くなったことで世界が変わります。そう、オリヴァーはフィリックスに対して恋愛感情にも近い想いを抱いていたのです。
夏の休暇中、フィリックス家に滞在することになったオリヴァーは、その豪華絢爛な暮らしぶりに圧倒されながらも楽しいひとときを過ごします。そして、滞在が長引くほど、オリヴァーの行動は常軌を逸するようになっていき……。
【ココが見どころ!】
<その1:どこを切り取っても絵画のよう! 耽美な映像美>
どのシーンを切り取っても絵になる本作。毎分毎秒が絵画のような美しさで、映画がはじまった直後から、熱に浮かされたようにポーッと見惚れてしまうことでしょう。
美しくも、どこか狂気的で退廃的な世界観には、底なし沼のような魅力があります。
お城のような豪邸、広々とした庭園、ジェイコブ・エロルディさんが演じる天使のように美しいフィリックス……。天国のような場所は、やがて地獄となるのですが、その地獄すらも震えるほどに美しいのです。
<その2:バリー・コーガンの怪演>
本作の主人公・オリヴァーを演じるのは、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017年)や『イニシェリン島の精霊』(2023年)などに出演するバリー・コーガンさん。
怪奇的な演技に定評のあるバリーさんですので、もはや画面に出てきた瞬間から不穏。しかも、わかりやすい不穏さではなく、わずかな違和感ほどしかない “なにかやらかしそうなオーラ” が漂っているのです。
このほのかな違和感は、物語が進んでいくごとに確信へと変わります。地味で冴えないオリヴァーが不思議な魅力を放つ人たらしへと変貌を遂げる演技に、あなたも鳥肌が止まらなくなるはず!
<その3:トラウマ級シーンの連続に注意!>
フィリックス家で夢のような時間を過ごすオリヴァー。しかしその目には狂気が宿っており、何食わぬ顔でひっそりとトラウマ級の行為を繰り返すのです。
私が思わず悲鳴をあげてしまったのは、「お風呂」「ヴァンパイア」「お墓」の3つシーンです。1度観たら、忘れたくても忘れられないシーンですので、覚悟してご鑑賞くださいね……。
そして、本作の終盤では、身の毛もよだつほどの華麗なる伏線回収が待っています。すべてを見届けたあと、勇気を出してもう1度本編を観なおすと、また違う目線で見れるかも。
【嫌なのに惹かれる怪作です】
アカデミー賞も受賞した映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督が手がけた『Saltburn』。
本作をひと言で表すなら「嫌悪感と快感の波状攻撃」。Amazonのプライム・ビデオ視聴ページにはなぜか「コメディ」とありますが、蓋を開けてみたら全然笑えないスリラーホラーでした(笑)。
ポップなフォントと物語の落差にもゾワゾワ。人に薦めたいけど薦めたくない、もう1度観たいけど観たくない……!
それなのに、謎の中毒性によって虜になってしまうから不思議です。約2時間9分間の悪夢に耽溺しましょう。
■今回紹介した作品
Amazon Original『Saltburn』
Prime Videoで独占配信中
※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。
執筆:田端あんじ (c)Pouch
コメントをどうぞ