
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、『コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-』(2024年3月22日公開)です。人工中絶が違法だった1960年代のアメリカで、中絶する権利を勝ち取った女性たちの実話の映画化。試写で鑑賞しましたが、こんな不自由で理不尽な扱いを受けていた時代があったなんて!と驚きでした。
では、物語からいってみましょう。
【物語】
アメリカのシカゴで暮らす主婦のジョイ(エリザベス・バンクスさん)。弁護士の夫(クリス・メッシーナさん)と高校生の娘と裕福な暮らしをしていました。そんなある日、ジョイに妊娠が発覚。しかし、心臓の病を持つ彼女は出産をやめないと生存率は50%と診断されるのです。
人工中絶をしたいけれど、当時のアメリカでは違法。でも、出産のために命を諦めたくない。ジョイが中絶する方法を模索していたとき「妊娠?助けが必要?そんなときはジェーンに電話を」という張り紙を見つけます。思い切って電話をかけてみると……?
【女性の権利が認められない時代に喝!】
冒頭からちょっとムカムカしましたね。ジョイが倒れて命を落としそうになっても「中絶はダメ」と言う医師。強く言い返すことなく「どうしよう〜」って感じのジョイ。
「女は何も知らない方が可愛い」とかいう人いますけど、本当にそういう時代だったんだなと。何も知らないから行動に移せないし、我慢を強いられてきたわけです。
アメリカは女性の社会進出が日本よりも進んでいるし、何もかも日本より先を行く国だと思っていましたが、60年代のアメリカはガチガチの男性社会だったのですね。ジョイのように命に関わる妊娠や、レイプなど犯罪に巻き込まれての妊娠でも人工中絶はNO!女性が自分で自身の体や人生を守る権利もないという現実に驚きました。
【女性の権利を取り戻す団体「ジェーン」】
ジョイは自力で命を守らなければならない。そのためには中絶しかないので、とりあえず張り紙で見た「ジェーン」に電話をします。
「ジェーン」は女性の権利擁護団体で、何人もの望まぬ妊娠に苦しむ女性を助けてきたという発起人のバージニア(シガニー・ウィーバーさん)に相談し、高額のお金で中絶を決心します。手術は20分くらいで終わり、ジョイは「ジェーン」の活動に徐々に参加するようになっていくのです。
【中絶手術を素人が???】
家族には「美術スクールへ行くの」と嘘をついて「ジェーン」に通うようになるジョイ。想像を超える人数の女性たちが人工中絶できずに「ジェーン」に助けを求めてきたからです。しかし、医師はひとり。しかも高額の謝礼が必要なので、金銭面がネックになっていました。
やがてジョイは「私が手術する」と宣言! これには驚きましたね。しかも、中絶手術の練習を巨大なかぼちゃで行うという……。一瞬「ふざけてんの?」と思いましたが、ジョイは本気! そして実際に施術を請け負うことになるのです。
【考えるきっかけをくれる映画】
実話とはいえ、個人的には中絶シーンや医師免許がない人物が中絶手術を行うことには抵抗がありました。あまりにも危険すぎる! 実際1万人以上の女性を助けて、命を落とした人はいないそうですが、かなり運に恵まれていたのではないでしょうか。
また命を断つ行為なのに、術後に女性たちが平然としていることも気になって。犯罪に巻き込まれた妊娠ならまだしも、ジョイは夫との子ですからね。
それでも「ジェーン」が多くの女性たちを救い、違法とされていた人工中絶の権利を勝ち取り、女性の人生と体と権利を守ったことは素晴らしい! ところが、2022年に人工中絶の権利は各州に委ねられることになり、女性が自分の体を守る権利は損なわれることに……。せっかく勝ち取ったのに、また逆戻りです。
内容は社会派ですが、60年代ファッションや美術に凝っているし、主要キャラも立っているので見やすいです。見終わったあとにいろいろ語りたくなる映画『コール・ジェーン-女性たちの秘密の電話』。ぜひ劇場でご覧ください。
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2022 Vintage Park, Inc. All rights reserved.
『コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-』
(2024年3月22日より全国ロードショー)
監督:フィリス・ナジー
出演:エリザベス・バンクス シガニー・ウィーバー
配給:プレシディオ






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