[公開直前☆最新シネマ批評]

映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今週のピックアップはラブストーリー『ジュリエットからの手紙』。イタリアのヴェローナを舞台に、恋愛相談の手紙を受け付ける「ジュリエットクラブ」に協力することなったヒロインと、初恋の人を忘れられない老女との、友情と時を超えた愛を描く物語。

実は、この映画に登場する「ジュリエットクラブ」は実在します。ジュリエットとは「ロミオとジュリエット」のジュリエットのことで、このクラブには毎日恋愛相談の手紙が寄せられ、ジュリエットの秘書がこれに返事を書いているのです。

ジュリエットの秘書は現在15人。世界中から届く手紙に対応するためイタリア語のほか、5カ国語の返事が書けるスタッフがいるそうです。わからない言葉は知人に聞くなどして、すべての言語に対応して必ず返事をくれるというから驚きですね。

各国からさまざまな恋愛相談の返事を書いている秘書の話によると、手紙にもお国柄が出るようです。

「20代のパキスタンの女性からは、風習から親の決めた相手と結婚しなくてはならず、1分しか会ったことのない人と結婚することへの恐怖を綴った手紙を受け取りました。とにかく相手ともっと話して、知り合いましょうと励ましましたが、複雑な気持ちでしたね。またアメリカは宗教の違い、インドは階級の違いが恋愛の障害になることが多いようです」と、映画PR担当者のインタビューに答えるジュリエットの秘書。

ちなみに日本からの手紙は? というと

「日本からの手紙は少ないのです。いままで40通くらいでしょうか。私が思うに、日本人は恋愛相談をしたり、自分の喜びや悲しみを手紙で表現することに慣れていないのでは? 日本人は心をオープンにして、感じていることを綴るのが苦手なのでしょう。実際、日本から来る手紙は、『素敵な恋人が見つかりますように』など、祈りを綴っているものが多いのです」

たしかに、知らない人に恋愛相談しないかも? だけど、手紙で感じていることを綴るのが苦手……と思われているのはちょっと残念。昔から日本では、切ない恋心を和歌や俳句などで風流に綴ってきた文化があるのになぁ。

しかし映画が公開されてから、アメリカ、イギリス、ドイツ、と公開された順番に、それぞれの国から届く手紙が増えていったそうなので、日本からの手紙がドーンと増える可能性もありますね。

ちなみに手紙は若い女性からだけではありません。70歳のアメリカ女性から「クエート人の初恋の彼と再会するのにドキドキが止まらない」なんて、映画の内容とソックリな手紙もあり、おお、ロマンチック! 恋愛に年齢は関係ないのですね。

皆さんも映画を見て、ジュリエットに恋愛相談してみませんか?

(映画ライター=斎藤 香)

『ジュリエットからの手紙』

5月14日(土) Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

監督:ゲーリー・ウィニック

出演:アマンダ・セイフライド(『マンマ・ミーア』)、ヴァネッサ・レッドグレイヴ(『つぐない』)、ガエル・ガルシア・ベルナル(『モーターサイクル・ダイアリーズ』)、フランコ・ネロ  (『続・荒野の用心棒』)ほか

配給:ショウゲート

提供:東宝、テレビ東京

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参考:ジュリエットクラブ/英文(http://www.julietclub.com/index_en.asp

ライタープロフィール:http://bit.ly/hlZYAr