全国の夫婦のみなさん、家庭の「サイフ」はどっちが握っていますか? 旦那さん? それとも奥さん? それとも共稼ぎで両方パターン?

ハッキリ言って、サイフをどちらが握るのかで、その後の人生が決まります。一度決まった制度を変えるのは難しいということは、政治の世界と同じです。言うまでもなく最初が肝心。結婚したその瞬間、ビシッと制度を決めておかないと、あとあとその国は崩壊します。

ちなみに我が家は妻である私が完全キープしています。夫には毎月お小遣いを。俗にいう「お小遣い制度」の典型ですが、実にうまく運営できているのです。お小遣い制度はメリットだらけ、むしろメリットしかありません。ということで今回は、お小遣い制度がいかにして最強なのかを説明したいと思います。

メリットその1:ダンナがよく働く

なんやかんやで世の中ゼニ、日本は資本主義の国であります。街を歩いてもテレビを見ても、そしてネットを眺めていても、ほしい物だらけの世界なのです。もしもダンナがサイフの実権を握っていたら……迷うことなく買っちゃいます。しかし、お金がなければ買えないのです。だからと言って、ビタ一文あげないと必ず反乱が起こります。さじ加減が重要なのです。

ポイントとなるのは、一定金額にしないこと。「いくら給料が上がろうが、一定金額しかもらえない」、「給料が下がっても、一定金額はもらえるし」などという、悪い意味での公務員的な思考になるのです。それでは国家は育ちません。ここはひとつ、「給料の●%をお小遣いにする」という制度にしておきましょう。ダンナさんは、必死になって働くはずです。

例を挙げるなら、5パーセント。20万円稼いでくれたら、1万円のお小遣いという割り合いです。30万で1万5000円。「50万稼いでくれたらアンタ、2万5000円になるんやで」と、まあ、こんな感じです。そしてそこに、お昼ゴハン代を上乗せします。一食700円計算で、ざっくり月々1万5000円が妥当でしょう。つまり、20万なら2万5000円、30万円なら3万円のお小遣いが支給されるというわけです。なお、飲み代もタバコ代も全部込みです。

メリットその2:ダンナのモノが減って部屋スッキリ

どうしても欲しいモノがあるのにお金がない!という時、ダンナさんはあの手この手で「ナイショのお金」、すなわちヘソクリを作ろうとします。ここで登場するのがオークション。ダンナさんは、こっそり作ったクレジットカードと銀行口座を駆使し、意味不明なコレクションや、読みもしないマンガ本、聞きもしないCDやDVDなど……ありとあらゆる自分のモノを売り出します。気づいていても、知らないフリで。なぜならば、何もしないで自動的に、どんどん部屋が片付いていくのですから!

メリットその3:いらんことしないようになる

金欠時の男性は、研ぎ澄まされた集中力で本気モードに入ります。一箱500円近くにまで値上がりしているタバコなども、やめる可能性が高くなります。飲み代は別途支給されませんので、いらん飲み会などには参加しなくなるでしょう。風俗やギャンブルなどからも足を洗う可能性大です。

また、最強にして究極のメリットが、「浮気をしないようになる」ことです。そもそもお金が無いから浮気もできない。もしもダンナがサイフを握っていたら、見えないところで散財しまくりで浮気し放題。事実、お金が自由にできるから~と、浮気をしている男性(家庭持ち)も実は多く、家庭崩壊の第一歩と言ってしまっても過言ではありません。

メリットその4:子どもの弁当を作ってくれる

金欠のダンナは、少しでも昼メシ代を浮かそうと、朝早く起きて弁当を作るようになります。朝は何かと忙しく、そこまで凝ったものは作る時間はないので、落ち着くのが「ぶっかけ弁当」。弁当箱にゴハンをしいて、その上に昨晩の残りものを適当に配置するのです。あらやだ、自動的に冷蔵庫もスッキリしてる!

さて、ここで重要なのが「交渉」です。半年くらい弁当を作らせて、こなれた感じになってきたら、「どうせ弁当作るなら、子どもの幼稚園用の弁当もチャチャッと作っちゃってよ」と切り出します。「学期が終わったら、靴とかカバンとか高級なイヤフォンとか買ってあげるからさあ」と、褒美(ほうび)を与えるのがポイントです。

この時の「モノ」ですが、「ダンナが欲しいと思っているけど、自分の小遣いを使ってまで欲しくないモノ」をあらかじめリサーチしておくのが重要です。見当違いなモノを提示すると、「いらん」となり、弁当も作ってくれなくなる恐れも。

メリット5:自分の欲しいモノを買っても文句を言われない

ダンナがサイフを握っていると、なかなか自分の欲しいモノが買えません。家のお金をやりくりし、努力のうえに手に入れたとしても、「そんなもん買いやがって」と文句を言われるのがオチなのです。

そのまた一方、主婦がサイフを握っており、やたらめったら好き勝手に散財してたら、そりゃダンナも怒ります。そこで必要となってくるのが、「ボーナスを与えてガス抜きしつつ、自分の欲しいモノも手に入れる」という高度な心理テクニック。

例えば家族でデパートなどに行き、ダンナが何かを欲しがったりしたら、金額にもよりますが「いいんじゃない? 似合ってるよ。モノは出会い。いま買わないと二度と手に入らなくなるかもよ?」とホメちぎりつつ、家庭のサイフで買ってあげてしまうのです。ダンナが上機嫌になったら勝負あり。

虎視眈々と狙っていた自分の欲しいモノを手に取り、「あたしもいい?」と一言つぶやくだけです。自分も欲しかったものを手にした手前、ダンナが断る理由はありません。全員ニコニコ、夫婦円満でございます。

以上、5つのメリット、いかがでしたか? この「お小遣い制度」が最初から綺麗にキマっていれば、実にうまく家庭をコントロールできるのです。何度も言いますが、最初が肝心。結婚したその瞬間、夫婦の未来を決める家庭内の政治は始まっているのです。

(文=長州ちなみ
写真:Pouch編集部