8月にPouch編集部のメル、ハトポン、オオサカで挑戦した富士登山。山と言えば高尾山くらいしか行ったことのないオオサカは富士山経験者にリサーチしまくっていました。すると経験者が口をそろえて言うのは「富士山は岩だらけで山林としての景色がツマラナイ」「植物が全然ない」とのこと。「確かに噴火でできた山だし、そうなのかも」と妙に納得。ネットにもそう書いていますしね。

ですが実際に登ってみると、確かに他の山よりは少ないかもしれませんが植物がたくさん自生していました。しかも想像以上の可愛らしい姿で登山者を癒してくれます。登るならどんな植物があるのか知っておいた方が断然楽しいよ!

・日本最大級の花を咲かせる『フジアザミ
主に富士山周辺に分布するアザミ。大きさは日本固有種のアザミの中ではなんと最大級! ……なんですが、観光所のスタッフによると今年は例年より開花が遅れているそう。残念ながら日本一の大きな花は見られませんでした。

花も最大級なら葉もトゲもかなりの大きさです。うかつに短パンなんかで近づくと確実にささります。近づくときは注意した方がよさそう。

・宝石みたいにキラキラな『ヘビイチゴ
ヘビイチゴは平地では5月頃に実をつけますが、ここは日本一の高さをほこる富士山! 8月でもまだまだ花盛りと言ったところです。実がつきはじめているものもありました。

緑の中に咲く白い花や赤い実はとても鮮やか。当日は雨が降り、登山日和とは言い難い天気でしたが、山道のわきでキラキラ光るイチゴに癒されました。

・メルヘン要素満点の『ホタルブクロ
釣鐘状の花を持つホタルブクロは5合目~7合目付近でよく見られました。薄紫色と、決して派手な色ではありませんが、岩場や茂みからひょこっと顔を出す姿はなんともキュート!

小人でも住んでそうでなかなかメルヘンチックです。『とんがり帽子のメモル』の主人公・小人のメモルを思い出したアラサー女子は私だけじゃないはず♪




・凛とした姿に感動の『オンダテ
標高があがるにつれ植物が減っていくなか、最後まで見ることができた植物です。可憐な黄色やピンクの花をつけています。群生するとお花畑みたい! 突然現れた桃源郷みたいでほっこり。お花畑も素敵ですが、私が特に感動したのは水の吸収もままならないような砂礫状の土壌に、ひとり力強く咲く姿です。

低地では大きな顔をしている人間も、高山では植物よりずっと弱いのかも。私も酸素が足りなくてちょっと動くだけでヘロヘロ……そんななか、ひとりで凛とした姿で咲くオンダテには尊敬の念さえ抱きました。




きちんと装備も整えて山小屋の方にも助けてもらってやっと登れた富士山。そこで一人で生きろと言われても人間には無理ですね。うーん、自然ってすごい!

私たちが登った須走ルートでは、このほかにもオレンジ色がきれいなクルマユリや、名前はわからないのですが星形をしたコケ類、謎のキノコなどなど様々な植物を見ることができました。

ほかの季節やルートではまた違った植物を見ることができるそう。どうしても登山タイムに気を取られたり、登るのが辛くなると周りが見えなくなってしまいますが、そんなときはちょっと足元を見てみて! たくさんの植物にきっと元気をわけてもらえますよ。

(文=おおさか もぐみ / 写真=Pouchアウトドア部)

参照:『富士山へ登る人のために』(静岡県くらし・環境部環境局自然保護富士山保全班 発行)