
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは2009年に起こった事件を映画化した『フルートベール駅で』(3月21日公開)です。妻と娘と生活をしていた男性が、ニューイヤーズデイ、フルートベール駅で命を落としました。そこで起こったこととは……。
虫けらのように殺された青年の生きた証を映画化した本作。「こんなことってあっていいの?」「何なのこれ」と記者は見た後しばらく放心状態でした。この映画は、決してあってはならない事件を描いているのです。
【物語】
サンフランシスコのベイエリアに住む22歳のオスカー(マイケル・B・ジョーダン)は、前科があるが、出所後は前向きに真面目に生きようとしています。妻と娘のためにも仕事を見つけなければ……。でも前科のあるオスカーはなかなか仕事を見つけることができません。やがて、以前のようにドラッグの取引に手を染めてお金を稼ごうとするけれど、家族を思い出しドラッグの世界には足を踏み入れないと考えを改めます。
ニューイヤーズデイ、友だちと妻と新年を祝うために花火を見に行くことにしたオスカー。母(オクタヴィア・スペンサー)の助言もあり、電車で行くことにしたけれど、車内で意味もなく因縁をつけられてしまい……。
【ひとりの青年の死が人々の心を動かした事件】
フルートベール駅はオスカーが警官に捕まった場所です。電車のなかでケンカをふっかけられ大騒動になったとき、駆け付けた警官はオスカーたちの話をろくに聞かずにオスカーと仲間を捕まえました。なぜオスカーが警官に目の敵にされたのか……彼が黒人だったから? 殺されたオスカーはきっと「なぜ、なぜ」という思いが巡っていたでしょう。
しかし、彼の無実を知る乗客がたくさんいました。朝、ニュースでオスカーの死が報道されると、多くの人が立ち上がって抗議運動をしたそうです。しかし、オスカーを殺した警官は、無実の青年を殺したにもかかわらず懲役2年。警官が白人だったからでしょうか。
【監督は語る……なぜこの事件を映画化したのか】
ライアン・クーグラー監督は、この事件をニュースで知り、衝撃を受けたそうです。
「これは自分に起こってもおかしくない事件でした。オスカーと僕は年も近かったし、彼の友人たちは自分の友人に似た感じもありました。この作品を撮らなければと思ったのは、自分も彼の為に何かをしなければと思ったからです。映画を通してこの事件に命を吹き込めば、オスカーは観客と一緒に時間を過ごすことができ、このような事件を減らせるかもしれないと思ったのです」
と話します。
映画化にあたって大変だったのは遺族の許可。クーグラー監督は自分の短編を見てもらったり、決して扇情的に扱わないと約束したりと遺族の信頼を得るためにあらゆる手を尽くしました。あのような悲劇に直面した遺族は、その死をショービジネスの餌食にさせたくなかったのでしょう。でも監督はビジネスチャンスだなんて思っていません。こういう事件がもう起こらないようにと願いをこめて映画化したのです。
「ドキュメンタリーではなく役者を使って映画化したのは、ドキュメンタリーだと出来上がるまで時間を要するからです。こういう事件はまた起こるかもしれないから、早く映画化したかった。それにうまく作ればドキュメンタリーよりドラマの方が人物に感情移入できるから。観客にオスカーを身近に感じてほしかったのです」
【オスカーに忍び寄る死の影と運命】
この映画は最初から結末がわかっています。それはオスカー・グラントの死。その死はあまりにも突然やってきますが、クーグラー監督は、劇中、オスカーに忍び寄る死の影に運命を重ねあわせて見せていきます。その手腕はドキュメンタリーでは描けないクーグラー監督ならではの視点でしょう。オスカーのママが「車じゃなくて電車で行けば?」と言い、その電車で、オスカーは以前スーパーマーケットで親切にした女性に声をかけられ、オスカーの話し声を聞いてチンピラが因縁をつけて……。
こんな風によからぬことが起こるときは、小さなできごとが負に繋がっていく。これって悪魔の仕業かも……とさえ思いましたよ。オスカーの運命を知っているからこそ、後半は胸の鼓動が止まらないわ、胸が痛くなるわ……悲しかったし悔しかったです。
オスカー・グランドがたどる運命は本当に悲劇です。でもこういう事件があったと知るのは大切なことだし、見た人はこの映画の悲しみの向こうに「このままこの事件を風化させてなるものか!」という怒りの炎を見るはずです。こんな事件は繰り返されてはいけない。だからこそ『フルートベール駅で』を見て、何かを感じて欲しいと思います。
執筆=斎藤 香(c)Pouch
『フルートベール駅で』
2014年3月21日公開
監督: ライアン・クーグラー
出演: マイケル・B・ジョーダン、メロニー・ディアス、オクタヴィア・スペンサー、ケヴィン・デュランド、チャド・マイケル・マーレイ、アナ・オライリー
(C)2013 OG Project, LLC. All Rights Reserved.




ロッキーの魂を受け継ぐ映画『クリード』が熱い! 強くて素敵な男とメンタル最強の女に泣ける物語【最新シネマ批評】
【奇跡のほっこり】あふれる母性! 親子のように仲むつまじいニャンコさんとひな鳥をご覧ください
【祝アカデミー賞】レオナルド・ディカプリオが来日! 世界中から報道陣が集結、レオの熱い語りに聞き惚れたー!!
さながらシャドーボクシング!? ドライヤーの風と懸命に戦うニャンコがめちゃカワです♪
洗濯・片づけ・ネコのごはん……家事をぜ〜んぶやってくれるワンコがお利口すぎる!
【店舗限定】サイゼリヤのモーニングは栄養も糖分もチャージできて最高!気になるメニューやお値段をご紹介しちゃいます🍽️
【夜の4コマ部屋】クリパ2025① / サチコと神ねこ様 第2551回 / wako先生
お友だちや同僚に配りたくなるかわいいプチお年賀まとめ5選!自分用にも買っちゃおっかな〜✨
罪悪感は減る?ノンフライヤー「COSORI(コソリ)」を使ってみたら手放せなくなるほど満足度が高かったので紹介させて🍤
イギリスで愛され続けるマクビティ「ホブノブ オーツビスケット」が日本上陸🍪 現地人が大好きな食べ方を試してみたら大優勝でした
ヨックモックの限定クリスマス缶は完売必至🎄ホリデーシーズンの手土産に「ヨックモック クリスマス コレクション2025」を今すぐチェック!
【夜の4コマ部屋】チーム作ろう!2⑫ / サチコと神ねこ様 第2549回 / wako先生
【夜の4コマ部屋】チーム作ろう!2 ⑪ / サチコと神ねこ様 第2548回 / wako先生
納豆ご飯にこんなレパートリーがあったなんて…!定番から変わり種まで『毎日納豆ごはん365日』でもっと楽しんじゃおう!
【2026年福袋まとめ⑥】今週は目移り必至!マクドナルドとフランフランの初コラボに紀ノ国屋やミスドの情報も解禁したよ〜!
【2026年福袋まとめ⑤】カルディ福袋の受注が始まってます!サンマルクのチョコクログッズやモスバーガーのマイメロ&クロミグッズにも注目!
【夜の4コマ部屋】にがて④ / サチコと神ねこ様 第2534回 / wako先生
小さなお道具箱みたい✏️InRedの付録「ムーミン ミニミニ文具セット」はムーミン好きにも文房具好きにも刺さること間違いなし♡
【夜の4コマ部屋】チーム作ろう!2 ⑦ / サチコと神ねこ様 第2544回 / wako先生
お茶を作って冷蔵庫に常備している皆さん!HARIO 「むぎちゃん」をお迎えすれば小さなストレスを解消してくれるぞ!
日本に4店舗しかないフランス紅茶専門店の「ロイヤルミルクティーソフト」を全力でおすすめしたい🍦あなたも芳醇な味わいのトリコに…♡
サーティワンのよくばりフェスの楽しみ方🍨10ポップを注文する前に “あるもの” を用意しておくと幸福感がUPするぞ…♡
全国に2店舗しかないフィナンシェ専門店「BEAN to FINANCIER」が手土産にぴったりすぎる!【#舞台女優の手土産リスト】
あじさいシーズン到来💙週末にふらっと遊びにいきたい「絶景あじさいスポット」10選
「美しすぎる女子プロレスラー」を発見! 上戸彩さんと同じ事務所「オスカー」所属でお父さんはあの元超有名ボクサー!!
【アカデミー賞】オスカー像に手を伸ばしたレオナルド・ディカプリオが……あと少しというところでクマに襲われちゃった!?
【漫画みたいな展開】男児がスパイシーピクルスを食べる→「んだこれぇぇえええ!!!!!」とぶっ倒れちゃいました
【限定】セサミストリートのUGGのコラボが可愛すぎる🍪エルモやクッキーモンスターと一緒にお出かけしよう♡
ギレルモ・デル・トロ監督が「生涯を通して映画化したい」と作り上げた映画『フランケンシュタイン』まずは劇場で見ていただきたい!
おとぎ話のその後を描いた映画「イントゥ・ザ・ウッズ」MovieNEX発売! メリル・ストリープが歌う幻の未発表曲が聴けるんだって♪
【ゆるすぎ】『ハリー・ポッター』を “子猫” で再現! 終始眠りっぱなしのハリーに胸キュンが止まりません
一夜限りの悪夢へようこそ…! 北欧ホラーを集めたオールナイト上映で『ミッドサマー ディレクターズカット版』が見れるぞ
2月28日は米アカデミー賞授賞式! 「視覚効果賞」にノミネートされた作品の見どころをまとめたマッシュアップ動画で、今年のオスカーの行方を予想しよう☆
アカデミー賞Twitterを使ったファン投票がスタート! ハッシュタグをつけて2021年の推し映画を応援しよう
コメントをどうぞ