現在放送中のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』。2017年8月20日に放送された第33回『嫌われ政次の一生』はこのドラマにおける大きな節目となるお話でした。

タイトルにある “政次” を演じているのは、高橋一生さん。

第33回では、徳川と内通していた直虎(柴咲コウさん)と政次に最大のピンチが訪れます。約束通り徳川勢による井伊谷への進軍を受け入れようとしたところに、突然矢を放ってきたのは、徳川の先導役を務めていた近藤康用(橋本じゅんさん)。徳川勢に弓を引いた罪を政次に押しつけて井伊谷をわがものにしようと、罠に陥れたのです。

【第33回の大まかなあらすじ】

「政次は潔白だ」と主張した直虎は、牢に閉じ込められてしまいます。一方の政次はいったん隠し里に身を寄せますが、最終的には「自分ひとりが犠牲になれば、他の者の血が流れなくて済む」と自らの意思で「自分がやった」と名乗り出て、ついには磔(はりつけ)の刑に処されてしまったのでした。

【処刑シーンに涙が止まらない】

この処刑シーンが圧巻で、ツイッターの大河ファンの中では「大河史上に残るラブシーン」とまで評されているほど。

政次を刺そうと左右に槍をかまえる兵たちが動くよりも前に、直虎は自ら槍を手に持って、政次の心臓を一突き

「地獄へ堕ちろ、小野但馬」「ようもここまで、我を欺いてくれたな」「日の本一の卑怯者と、未来永劫語り伝えてやるわ」と口にして、誰にも手を出させることなく、また政次を苦しませることなく、自分自身の手で送ってやったのです。

対する政次は、直虎の行動に笑顔を見せました。

「もとより、女子頼りの井伊に未来などあると思うのか」「生き抜けるなどと思うておるのか」「やれるものならやってみよ」「地獄の底から見届け……」と今わの際に語りかけ、安らかに旅立っていく姿は、これまでの2人の軌跡を知る者ならば泣かずにはいられないシーン……!

【「全て真逆の意味が込められている」と推測する人も】

直虎が主を務める井伊谷のため、そして愛する直虎のために(ここでいう “愛” はあまりに深い……)、最初から最後まで “嫌われ役” という立場に徹した政次。「地獄へ落ちろ」も「我を欺いてくれたな」も「日の本一の卑怯者」も、政次の志を完全に理解している直虎だからこそ出た言葉です。

命が尽きるその瞬間まで共に “演技をし続けた” 2人のやり取りの裏には、実は真逆の意味が込められているのではないかと考えるファンが後を絶ちません。たとえば「日の本一の卑怯者」は「日の本一の勇気のある者」、というふうにね。

【本当の名前だから「政次」とは言わなかった?】

またあえて政次の名を入れず、「地獄へ堕ちろ、小野但馬」とだけ直虎が言ったことにも、ある推測が生まれているようです。「小野」は井伊家中での奸臣の名前であり、「但馬」は今川の犬の名前。「政次」という名だけが本当の自分だからこそ、「政次」と言わなかったのではないかと……。

政次の「女子頼りの井伊に未来などあると思うのか」という一言も、実は生き延びている虎松(のちの井伊直政=菅田将暉さん)の存在を隠すためなのではないかと推測しているファンもいる模様。考えれば考えるほど深くて非常に奥行きのある、解釈しがいのあるシーンだったと言えましょう。

【辞世の句は政次から直虎への、最初で最後のラブレターなのかも】

最期に示された政次による辞世の句もまた、観る人の胸を打つものでした。

「白黒を つけむと君を ひとり待つ 天(あま)伝う日ぞ 楽しからずや」

いつか陽の光の下で碁を打ちましょう。そう思えば貴方が来るまで気長に待つのも辛くはありません。まるで政次が直虎に、そう語りかけているように思えます。なにこれ完全にラブレターじゃないのよ……泣ける。

「白黒」は直虎と政次がよく行っていた囲碁、「天(あま)」は出家した直虎を表しているなど、こちらの句に対してもさまざまな解釈が生まれているようです。

【公式でも「政次祭り」開催中!】

『嫌われ政次の一生』というタイトルにちなんで、ツイッターには「愛され政次の一生」というハッシュタグまで登場。 “政次ロス” という言葉まで現れるなど、政次亡き後もまだまだ熱は冷めそうにありません。

ちなみに現在は公式サイトも、 “政次祭り” 状態。政次のフォトギャラリー、さらには高橋さんのインタビュー記事が掲載されるなど、功労者である “政次” をフィーチャーした企画が目白押しとなっているので、ぜひともご覧になってみてくださいね。

いなくなってしまったことは本当に辛いし寂しいけど……政次、長い間本当にお疲れ様でした。あなたが身を挺して守りきった井伊谷の行く末を、最期の最後まで、絶対に見届けるからね……!

参照元:NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』5分でわかる「おんな城主 直虎」第33話Twitterハッシュタグ 愛され政次の一生
執筆=田端あんじ (c)Pouch

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5分でわかる「おんな城主 直虎」第33回『嫌われ政次の一生』