日本では、海老嫌いよりも海老好きの方が多いように思います。近年、日本における海老消費量は減少傾向にありますが、それでも国民1人あたりの消費量は年間80尾とも100尾とも言われており、これは世界トップクラスの量。
そして、筆者も海老好きを自負してやまない海老ラバーのひとり。寿司屋で海老を頼まなかったことなど皆無です。が、しかし! 今年1月、東京・八重洲にオープンした海老専門料理店をチェックできずにいたなんて、これ恥ずかし……。
この「YAESU 海老バル」という店、海老専門店なだけあり、さまざまな海老料理が食べられるのはもちろん、さらに注目したいのは水槽の海老をお客が生け捕りし、それを料理してもらえる点。なに? 海老ちゃんと触れ合える、だと……? というわけで、まだ同店の存在を知らずにいる同志のため、実際にリサーチしてまいりました。遅ればせながら。
●海老、海老、海老!!! 海老尽くしのメニューに目移り●
場所は、東京駅八重洲中央口から徒歩約2分のところにあるビルの地下1階。入店するとまず、大きな水槽が目に飛び込んできます。中には、大きいオマール海老が10尾はいるでしょうか。噂の生け捕り体験の前に、まずはメニューをチェックしましょうか。
メニュー表には、海老を使った料理名がびっしりと書かれており、内容は刺身・カルパッチョ・パスタなど多岐に渡ります。なかには珍しいパテなんてのも。また、一言で海老と言ってもその種類は豊富で、水槽のオマール海老をはじめ、甘海老・紅牡丹海老・アルゼンチン赤海老・川海老などじつにさまざま。うん、さすが海老専門店を名乗るだけあります。看板に偽りなし。
●素手でオマール海老の生け捕り●
では、いよいよオマール海老の生け捕り体験をしたいと思います。通常はお店が用意したマジックハンドを使うそうですが、素手で捕まえられたお客さんは、そのオマール海老をパスタにする際のパスタ(400円)が無料になると聞き、迷わず腕まくりする筆者。まるまるとした1尾に狙いをつけ、肩近くまで腕を沈め、いざグワシッ!!!
水槽から取り出してみると、その体長は筆者の顔を優に超え、なかなかの大物! 腹をよじらせるところが可愛らしく、ちょっとしたサディズムをくすぐられる瞬間です。ニヤニヤが止まらないよ!
水槽から出したオマール海老は、店員さんがかごに入れて重さを計ってくれるのですが、まるで出産したばかりの我が子の体重を、助産師さんが優しく計ってくれているかのような光景に、ちょっとした感動を覚えます。さて、肝心の重さは503グラム。1グラム7円に設定されているので、3,521円なり。マジックハンドを使った人は、これをパスタで食べる場合プラス400円かかりますが、手づかみの場合そのままのお値段でパスタに変更できちゃいます。と考えれば、貴重な体験までできて3,521円はお安いかと。
●自分で獲った海老の旨さといったら!!!●
味付けは「アメリケーヌ」「ジェノベーゼ」「ペペロンチーノ」の3種類から選べるのでお好みで。筆者はアメリケーヌをチョイス。ほどなくして運ばれてきたオマール海老は……とにかく大きい! 大物であることは知っていたけれど、それでもパスタの具としてはあまりにも大きすぎる! その辺のペスカトーレなんて目じゃないほど。
肉厚な身を食べてみると、プリップリッと跳ね返してくる素晴らしい弾力。パスタにしっかり絡んだソースには、海老のエキスがこれでもかというくらい凝縮されており、魚介特有の塩気は白ワインによく合います。なにより、通常のメニューと違うのは、料理に対する「愛着」がある点であります。
というのは、筆者が動物に対して情が沸きやすい性(さが)であることもありますが、「あの子がこんなに美味しくなって帰ってきたわ」的な思いを少なからず味わえるのも、この掴み取り体験の良いところ。感謝の気持ちで残さずいただきました。
世界中の海老が堪能できる海老専門店「YAESU 海老バル」。海老好きならば1度は訪れておきたいスポットです。そして、来店の際にはぜひオマール海老の生け捕り体験をば。
店舗情報【YAESU 海老バル】
住所 東京都中央区八重洲1-8-9 八重洲ビルA-B1F
電話番号 050-5871-2282
営業時間 【月~木】16:00~00:00(L.O.23:15)【土・日・祝】16:00~23:00(L.O.22:15)【金・祝前】16:00~03:00(L.O.02:15)【平日】ランチ 11:00~15:00
定休日 なし
席数 55
撮影・執筆=井上こん(c)Pouch
▼お通しは殻ごと食べられるソフトシェルシュリンプ
▼海老のパテはお酒のおつまみとして最高
▼甘海老のカルパッチョ。バルサミコ酢で爽やかな仕上がり
▼紅牡丹海老の刺身。みずみずしい弾力がウリ
▼でもやっぱり自分で取ったオマール海老が最高!
▼身がプリップリッで震える
コメントをどうぞ